2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

銀座ニコンサロンの亀山亮写真展が興味深い

銀座ニコンサロンの亀山亮写真展「AFRIKA WAR JOURNAL」がとても興味深い(5月7日まで)。本展は「第32回土門拳賞受賞作品展」と銘打たれている。 亀山は1976年千葉県生まれ。96年より先住民の権利獲得運動を行なうサパティスタ民族解放軍など中南米の紛争…

海老坂武『加藤周一』が秀逸

海老坂武『加藤周一』(岩波新書)を読む。副題が「二十世紀を問う」、秀逸な加藤周一論であり加藤周一の小伝である。 海老坂は加藤の出生からていねいに見ていく。それが可能なのは加藤には『羊の歌』(岩波新書)という自伝があるからだ。加藤は一高から東…

鬼海弘雄の写真集『ぺるそな』がおもしろい

鬼海弘雄の写真集『ぺるそな』(草思社)がおもしろい。まえに鬼海の写真集『東京夢譚』を紹介したが、『ぺるそな』もとてもおもしろい。浅草の浅草寺の境内でそこに来る人々を1973年から2003年まで30年間撮りためたポートレート集だ。同じ場所で長期間撮影…

東京スカイツリー

4月のある日の朝と夕方の東京スカイツリー

山本容朗『人間・吉行淳之介』を読む

山本容朗『人間・吉行淳之介』(文春文庫)を読む。元角川書店の編集者だった山本が、編集者として長く担当した吉行淳之介のエピソードを綴っている。出典をみると、吉行の文庫本の解説として書いたものが多い。 私はかなりディープな吉行ファンだから、吉行…

『おどろきの中国』は本当におどろきの書だった

講談社現代新書の『おどろきの中国』は橋爪大三郎と大澤真幸、それに宮台真司という正に最前線の社会学者たちの鼎談をまとめたもの。これがすこぶるおもしろかった。 3人は一昨年の秋に中国を旅行して回った。旅行中、何人もの中国の社会学者たちと議論し、…

瀧田亜子展@なびす画廊を見る

東京銀座のなびす画廊で瀧田亜子展が開かれている(4月27日まで)。瀧田は1972年東京都生まれ。なびす画廊での個展は去年の11月に続いて今回で14回目になる。最近は春秋と年に2回も個展を行っている。作品は紙に顔料で描いている。 個展に合わせて雑誌『ギ…

鬼海弘雄『東京夢譚』を読む

鬼海弘雄『東京夢譚』(草思社)を読む。鬼海は筑摩書房のPR誌『ちくま』の表紙の写真を担当している。主に浅草寺にやってきた人を多分ハッセルブラッドというブローニー判(6x6cm)のフィルムを使う中型カメラで撮っている。モノクロ写真だ。 この表紙に…

丸谷才一『快楽としての読書 日本篇』を読む

丸谷才一『快楽としての読書 日本篇』(ちくま文庫)を読む。丸谷の日本の書評の集大成、海外篇は別に編集されている。取り上げられた書評が123篇、1964年から2001年に書かれたものから選ばれている。書評の大家が紹介しているので、また読みたい本が20冊以…

占い師に教えられたこと

山田宏一『映画とは何か』(草思社)は山田が23人の映画人にインタビューしたものだ。最初に山田宏一の大好きなフランソワ・トリュフォーへのインタビューがあり、2番目がフランスの女優ジャンヌ・モローとなっている。ジャンヌ・モローは女優でありながら…

小林紀晴『メモワール』を読む

小林紀晴『メモワール』(集英社)を読む。副題が「写真家・古屋誠一との二〇年」、自身が写真家でもある小林が、古屋との長い交友を通じて古屋の「人」に迫ったもの。最近読んだ本のうちで最も深い感銘を受けた。 新聞の書評は、いとうせいこうが朝日新聞に…

『物質と彫刻−−近代のアポリアと形見なるもの』を見る

東京芸大大学美術館陳列館で『物質と彫刻−−近代のアポリアと形見なるもの』を見る(4月21日まで)。隔年に開催してきた芸大彫刻科主催の展覧会シリーズの8回目だという。カタログの「ごあいさつ」から、 今回は「物質」をクローズアップさせ、彫刻における…

谷川俊太郎の評価

先日『自選 谷川俊太郎詩集』を紹介した。少々辛口の評価をしたが、丸谷才一も結構厳しいことを書いている。丸谷才一『快楽としての読書 日本篇』(ちくま文庫)より、谷川俊太郎『日々の地図』(集英社)に対する書評。 まっすぐ歩くと すぐ青空につきあた…

山田宏一『映画とは何か』を読んで(その2)

山田宏一『映画とは何か』(草思社)を読む。23人の映画人へのインタビュー集。内訳は、映画監督12人、女優4人、映画評論家3人、その他作曲家やプロデューサーなど。男優は俳優・射撃インストラクターとしてトビー門口ひとりだけ。外国人が14人。昨日の(…

山田宏一『映画とは何か』を読んで(その1)

山田宏一『映画とは何か』(草思社)を読む。23人の映画人へのインタビュー集。内訳は、映画監督12人、女優4人、映画評論家3人、その他作曲家やプロデューサーなど。男優は俳優・射撃インストラクターとしてトビー門口ひとりだけ。外国人が14人。 主な対談…

神田日勝生誕75年記念展が開かれる

神田日勝記念美術館の開館20周年を記念して、同館で神田日勝・浅野修生誕75年記念展が開かれる。神田は1937年、東京都練馬区生まれ。8歳のとき北海道へ移住して定住し、農業をしながら独学で油絵を学んでいたが、1970年、32歳で亡くなった。 私はこの画家の…

JCII フォト・サロンで南良和作品展「秩父三十年」を見る

東京千代田区一番町のJCII フォト・サロンで南良和作品展「秩父三十年」が開かれている(5月6日まで)。南は1935年、埼玉県秩父生まれ。東京綜合写真学校を卒業している。今回の写真展「秩父三十年」は1957年から1991年までの秩父の農民の生活を撮ったもの…

ギャラリー ジーの染谷レイコ写真展「passed portraits」を見る

東京北青山のギャラリー ジーで染谷レイコ写真展「passed portraits」が開かれている(4月28日まで)。染谷は1980年、埼玉県生まれ、このギャラリー ジーで10回以上の個展をしている。 いつも主として若い女性のポートレートを撮っている。渋谷や表参道など…

亀戸石井神社はすごく古い神社だ

亀戸近辺を自転車で走っていたら小さな社があった。挨拶をして行こうと立ち寄ると石井神社という名前だった。以前勤めていた会社の石井さんが、亀戸にぼくの名字の神社があってお詣りしてきたよと言っていたのを思い出した。とても小さな神社だと言っていた…

詩集『蜜月』を読んで

武田多恵子詩集『蜜月』(深夜叢書社)を読んだ。武田の詩は谷川俊太郎のように平易ではない。難しいのだ。しかし、よく読むと喪失したものへの愛惜と甘やかな官能が見えてくる。「近似P・W(palm and womb)」の全編。 初めに言っておこう 全ては仮説である…

過度な敬語使用の弊害を憂う

最近過度な敬語の使用が目立つ印象がある。とくに職場での敬語や店の店員の使用する敬語が多すぎるように思う。上司が部下に敬語を使っている例さえまれではない。おそらく敬語使用に関して自信がないのではないか。過度に使うことで敬語を使わないミスを防…

意外に不潔な作家たち

作家ってお洒落でダンディーだと思われがちだが、意外にも汚い不潔っぽい作家たちもいるらしい。丸谷才一対談集『文学ときどき酒』(中公文庫)に、対談相手の里見とんが島崎藤村について「髪はボウボウで、フケが肩にいっぱいでね」と語っている。 里見 (…

「集落が育てる設計図」という展覧会が興味深い

東京京橋のLIXILギャラリーで開かれている「集落が育てる設計図」という展覧会が興味深い(4月13日まで)。副題が「アフリカ・インドネシアの住まい展」というもの。集落の正確な図面と、これまた正確な模型が展示されていて、とても魅力的なのだ。それに併…

コバヤシ画廊の窪田俊三追悼展を見た

東京銀座のコバヤシ画廊で窪田俊三追悼展を見た。残念ながら4月6日までだったので既に終わってしまったが。窪田は1945年、神奈川県川崎市生まれ。1970年に多摩美術大学大学院を修了している。同年銀座の竹川画廊で初個展、以来さまざまな画廊で個展を開い…

幼児の絵がときにすばらしい!

うさぎ ぞう ・ 幼児の絵がときにすばらしい。これらの絵は1993年4月20日に撮影したもの。今から20年まえになる。当時東京の虎の門にあった教育会館で毎年子どもたちの絵が展示されていた。文部省主催で全国の幼児から小中学生、高校生までの絵の優秀作が選…

御衣黄が咲いている

ソメイヨシノはほぼ散っているが、渋い桜の代表「御衣黄(ギョイコウ)」が咲いている。 Wikipediaによると、 ギョイコウ(御衣黄)は、サクラの栽培品種である。花期はソメイヨシノより遅く、京都市や石川県白山市では4月の下旬頃。花の大きさは、京都市や…

K'sギャラリーの上田泰江展がすばらしい

東京京橋のK'sギャラリーの上田泰江展がすばらしい(4月13日まで)。上田は1930年、京都生まれ。今も京都に在住している。長く新宿にあった杏美画廊で個展をしていたが、10年以上前に杏美画廊は店を閉じてしまった。以来どこにも発表しなかったが、2010年か…

フォレスト・ミニの立澤香織展が魅力的

東京銀座のギャラリー銀座フォレスト・ミニの立澤香織展「Portrait extra」が魅力的だ(4月6日まで)。立澤は1986年福島県生まれ、女子美術大学を卒業している。2010年よりさまざまなグループ展に参加した後、2011年にこのギャラリー銀座フォレスト・ミニ…

『新・百人一首』を読む

『新・百人一首』(文春新書)を読む。選者が、岡井隆、馬場あき子、永田和宏、穂村弘の4人。副題が「近現代短歌ベスト100」。楽しい読書だった。 雑誌「文藝春秋」創刊90周年を記念して、2013年の1月号に掲載されたものを新書に編集した。永田と穂村が100…

グラフのまやかし

JRの駅にソフトバンクのポスターが貼られていた。ヘッドコピーが「断トツの最下位から、つながりやすさNo.1へ。」というもの。ケータイをかけているタレントたち(スマップ?)と犬の写真と一緒に、折れ線グラフが掲載されている。 折れ線グラフを見ると、「…