JRの駅にソフトバンクのポスターが貼られていた。ヘッドコピーが「断トツの最下位から、つながりやすさNo.1へ。」というもの。ケータイをかけているタレントたち(スマップ?)と犬の写真と一緒に、折れ線グラフが掲載されている。
折れ線グラフを見ると、「スマートフォン通話接続率(全国・週間平均)」とあり、2012年7月24日から2013年3月5日までの接続率が経時的にグラフ化されている。なるほど、3月5日頃のグラフはソフトバンクが高い接続率を示している。赤い太い線はA社、赤い細い線がB社らしい。ソフトバンクは一時期A社に抜かれていたが、最近はトップの位置を押さえている。B社は終始3位に甘んじている。
そしてヘッドコピーの根拠となっている具体的な数字が添えられている。通話接続率が、ソフトバンク98.3%、A社98.1%、B社98.0%だ。えっと思った。首位ソフトバンクと最下位B社の数字はたった0.3%しか違わない。もう一度グラフを見直すと、グラフの左端のスケールの目盛りは97から始まっていて、その上が98で、数字はそこまでしか付されていない。つまり、極微の数字を大きく見せかけているのだ。
実は私も以前広告の仕事をしていたときに、似たような表現をしたことがあった。ある意味これは広告の常套手段なのだ。私はそれをダレル・ハフ『統計でウソをつく法』(ブルーバックス)で学んだ。いや、ウソをついている訳ではない。錯覚させてこちらの意図するように思いこませているのだ。
統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)
- 作者: ダレル・ハフ,高木秀玄
- 出版社/メーカー: 講談社
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