幼児の絵がときにすばらしい!


うさぎ

ぞう
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 幼児の絵がときにすばらしい。これらの絵は1993年4月20日に撮影したもの。今から20年まえになる。当時東京の虎の門にあった教育会館で毎年子どもたちの絵が展示されていた。文部省主催で全国の幼児から小中学生、高校生までの絵の優秀作が選ばれ並べられていた。係の許可を得て、常時持ち歩いていたキャノンオートボーイというコンパクトカメラで撮影したもの。たくさん並んだ作品の中で、高校生まで含めてこの2点が最も良かった。
 描いた子の名前も年齢も分からない。3〜5歳くらいだったのではないか。とすると現在23〜25歳ということになる。
 「うさぎ」は母子うさぎを描いたもの。お母さんうさぎのお腹に子うさぎたちが取り付いて乳を吸っているのだろう。子うさぎは2頭か3頭いるようだ。小さな子うさぎに比べて母親うさぎの大きさが印象的だ。耳の内側が赤く、眼を見開いて口を開けている。画用紙に描ききれなくてお尻の部分が画面からはみ出している。でも尻尾はちゃんと描きこまれている。
 「ぞう」を描いた子の方が小さかったのではないか。画面の真ん中に黒い色で長い鼻が描かれている。大きな耳が両脇に広がり、黄色い牙も正確な位置に描かれている。小さな眼も。まさにゾウの特徴をよく捉え画面いっぱいに造形化している。
 これらを見て驚き感心して撮影したことを憶えている。幼児がこれだけ描けているのに、小学生、中学生、高校生となるにつれて描く技術が向上して絵はつまらなくなっている。するとこの目覚ましい才能を示した2人の幼児も、二十歳過ぎるとただの人になってしまっているのだろうか。