2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧
ここに掲げた絵は、雑誌『ちくま』4月号の表紙だ。この下手なような女性の絵は小林エリカが描いた詩人シルヴィア・プラスの肖像。表紙裏にシルヴィア・プラスについて小林エリカが書いている。 シルヴィア・プラスはアメリカ生まれの詩人、小説家。才色兼備…
水野朝『詩集ラピス・ラズリ』(広瀬企画)を読む。本書を知り合いの画商さんから頂いた。水野は1945年生まれ、本書が10冊目の詩集となる。また水野は画家でもある。画家として作品を5万点以上作り、4千点作品を売ったと詩の中で書いている。 水野は中学生…
諏訪兼位『岩石はどうしてできたか』(岩波科学ライブラリー)を読む。諏訪は名古屋大学名誉教授でありながら歌人でもあり、朝日歌壇に何度も選出され歌集も発行しているという。先月亡くなったと新聞の訃報欄で見て、岩石に関する著書も読んでみたいと手に…
東京上野公園の東京都美術館で「人人展」が開かれた(3月27日まで)。今回が第44階で、3月一杯の会期の予定だったが、コロナ騒ぎで会期が短縮されてしまった。私は見ることができたので、知人の作品ほかを紹介する。なお参加作家は34人になる。 内藤瑤子 大…
東京上野公園の上野の森美術館でVOCA展2020が開かれていた(3月27日まで)。本来の会期は3月30日までだったが、コロナ騒ぎで会期短縮で終わってしまった。幸い見る事ができたので受賞作品と気になった作品を紹介する。 黒宮菜菜【VOCA佳作賞】 Nerhol(田中…
加藤典洋『僕が批評家になったわけ』(岩波現代文庫)を読む。「批評とは何か」を考えて本書を書いたという。批評には文芸批評という狭義の批評と、評論という広義の批評があるという。この辺からもうよく分からない。 加藤は初期に『文藝』という雑誌から新…
渋谷のスペースエッジでサラ・ケイン作、川口智子演出のパンクオペラ『4時48分 精神崩壊』を見る。作曲が鈴木光介。 サラ・ケインはイギリスの劇作家、1971年生まれだが、28歳のときうつ病で自死している。川口は10年前からサラ・ケインの芝居を上演している…
東京墨田区のあをば荘でヨーコ・アンドレンYoko Andrenと入日洋子の2人展が開かれている(3月30日まで)。その入日の作品が興味深い。入日は1991年岡山県生まれ、2015年にスウェーデン王立美術大学へ留学し、2017年に筑波大学大学院人間総合科学研究科を修了…
東京銀座のコバヤシ画廊で坂本太郎展が開かれている(3月28日まで)。坂本太郎は1970年、埼玉県生まれ、2000年に愛知県立芸術大学大学院修士課程を修了している。都内では2000年に当時早稲田にあったガルリSOL、2001年以降銀座のフタバ画廊や小野画廊、ギャ…
今朝(3月22日)の朝日歌壇の高野公彦選の筆頭は諏訪兼位だった。 「わすれても大丈夫、僕が覚えておくよ」日福大生の認知症カルタ (名古屋市)諏訪兼位 選評「一首目、日本福祉大の女子学生たちが作ったカルタ。どの札も優しさに満ちているのだろう。なお…
久しぶりに『芸術新潮』1993年2月号を書棚から取り出した。30人の美術評論家が選んだ戦後美術のベストテンが特集されている。1993年、平成5年、戦後48年。この年は現天皇の当時皇太子が結婚した。細川護熙・非自民8党派連立内閣成立、田中角栄元首相が亡く…
東京国立の宇フォーラム美術館で達和子展が開かれている(4月5日まで)。達は1947年滋賀県生まれ。1969年に武蔵野美術大学を卒業している。その後1975年から15年間ほど香港に住み、2000年には武蔵野美術学園造形芸術研究科を卒業している。 達には大作が似合…
東京銀座のStepsギャラリーで勝田徳朗展「営みの在処」が開かれている(3月21日まで)。勝田は1953年千葉県生まれ、1977年に東京造形大学造形学部美術学科を卒業している。ルナミ画廊を始め各地の画廊でもう30回以上個展を繰り返している。以前SPCギャラリー…
美濃瓢吾『浅草木馬館日記』(筑摩書房)を読む。美濃は毎年3月に上野の東京都美術館で開かれる「人人展」の常連画家で、「大入」と書かれた文字の前に招き猫が座っている絵を描き続けている。初めて彼の個展を見たのは上野仲通りの入口近くのビルの高い階に…
東京北青山のかわかみ画廊で川城夏未展が開かれている(3月22日まで)。川城は1968年神奈川県生まれ、1992年女子美術大学芸術学部絵画科洋画専攻卒業、1995年東京藝術大学大学院美術研究科油画修士課程を修了している。2017年には損保ジャパン日本興亜美術館…
先崎学『摩訶不思議な棋士の脳』(日本将棋連盟)を読む。将棋の先崎9段の『週刊文春』の連載エッセイをまとめたもの。先崎は文章が上手くわずか3ページずつの短いエッセイながらちゃんと読ませるから大したものだ。 とは言え、短いので傑作といえるのはそん…
東京墨田区の曳舟駅周辺に小さな画廊が点在している。そのうち3軒を回ってみた。 TOWEDでは「日々 HIBI」というグループ展をやっていた、綱田康平、小淵祥子、佐貫絢郁の3人展。綱田は1988年北九州市生まれ、2013年に京都市立芸術大学大学院修士課程修了。小…
先日紹介した大矢雅章『日本における銅版画の「メティエ」』(水声社)の中に脅威深いエピソードが綴られていた。祖母の臨終に立ち会った経験から「生々流転」を体得したという。祖母の闘病の終わりに立ち会った時、集まった親類達の顔、姿がよく似ているこ…
東京銀座のギャラリーせいほうで石山修武展「建築ドローイング・石彫 アジアでの仕事」が開かれている(3月14日まで)。石山は1968年早稲田大学院建設工学科修士課程を修了している。すぐに設計事務所を開設し早稲田大学教授も務めた。現在名誉教授となって…
大矢雅章『日本における銅版画の「メティエ」』(水声社)を読む。300ページを超える分厚いもの。副題が「1960年以降の日本現代銅版画表現のひろがりからの考察」とある。なんだか難しそうだ。読んでいくと、出典にはすべて註が付されていて、巻末に註が187…
東京神楽坂に新しくオープンした√kコンテンポラリーで原口典之展が開かれている(5月6日まで)。√kコンテンポラリーは京橋の加島美術が新しく神楽坂に開いた現代美術を扱う画廊だ。1、2階の300平米の展示スペースに地下にも180平米のスペースを持つかなり…
東京銀座のうしお画廊で深沢軍治展が開かれている(3月21日まで)。深沢は1943年山梨県生まれ、1971年に東京芸術大学大学院美術研究科を修了している。深沢は様々な画廊で個展を開いているが、みゆき画廊やそれを受けついだうしお画廊での発表が多い。 深沢…
いま読んでいる本にフランス語の単語が載っていた。意味を調べようと本棚から何年振りかで仏和辞典を取り出した。中に新聞記事が挟まっている。書評のようだ。私はしばしば書評を購入した当の本に挟み込んでおく。しかしこの仏和辞典は古く、そんな古い本の…
東京外苑前のトキ・アートスペースで吉川和江展が開かれている(3月15日まで)。吉川は1945年東京生まれ、1969年に武蔵野美術大学を卒業し、1976年ドイツのハンブルグ国立美術大学に入学し、1986年に同校を卒業している。現在ハンブルグ在住。1983年ハンブル…
『青木繁・坂本繁二郎と梅野三代展』を読む。監修=芝野敬通で、現在東御市梅野記念絵画館で開かれている同名の企画展の図録である。 この梅野記念絵画館は、1985年に京橋のビルの一角に「美術研究 藝林」を開いた梅野隆が、その後自身のコレクション430点を…
先月24日に筒井伸輔が亡くなったと朝日新聞に訃報が載っていた(2月29日付)。 筒井伸輔さん(つつい・しんすけ=画家)24日、食道がんで死去。51歳。葬儀は近親者で営んだ。喪主は妻智子さん。 父は作家の筒井康隆さん。12~13年、朝日新聞に連載された康隆…
TOHOシネマズ錦糸町オリナスの「午前10時の映画館」で黒澤明監督の『七人の侍』を見る。『七人の侍』は先月BSプレミアムで放映されたばかりだが、劇場でみられるならそれに越したことはない。以前見たのはもう何十年も前になる。井上ひさしは何十回も見たら…
東京両国のアートトレースギャラリーで諸岡亜侑未展「Dig up and Build」が開かれている(3月22日まで)。諸岡は1991年大阪生まれ、2015年に東京藝術大学美術学部彫刻科を卒業し、2017年に同大学大学院美術研究科彫刻専攻修士課程を修了している。2012年に初…
山本弘「崩」、油彩、F4号(24.0cm×33.5cm) 1976年制作。山本弘46歳。最晩年の作品になる。左上から右下にかけて複雑に線が走っている。標題「崩」から見ると、山の斜面が崩れているように見える。崩壊する山腹を描いているのだろうか。右側に薄い赤や緑が…
読売新聞 朝日新聞 毎日新聞 読売新聞と毎日新聞の書評欄は毎週日曜日にそれぞれ3ページが充てられている。朝日新聞は土曜日に4ページ充てている。書評欄下の広告スペースは出版社にとって読書家が最も注目する場所だと思っていた。 3月1日の読売新聞の書評…