コバヤシ画廊の坂本太郎展を見る

 東京銀座のコバヤシ画廊で坂本太郎展が開かれている(3月28日まで)。坂本太郎は1970年、埼玉県生まれ、2000年に愛知県立芸術大学大学院修士課程を修了している。都内では2000年に当時早稲田にあったガルリSOL、2001年以降銀座のフタバ画廊や小野画廊、ギャラリーアートポイント、ギャラリー山口などで毎年個展を続けてきた。最近はコバヤシ画廊で発表している。
 今回画廊に入って昨年と大きくは変わらないみたいだと思いながら作品の後ろに回って驚いた。そこで今まで坂本はシンメトリーな造形だったと気づいた。今回はシンメトリーを崩していてそれがとても驚きだった。コバヤシ画廊で長く発表している坂本はこの画廊の空間を知悉していることがよく分かる造形だった。見事としか言いようがない。画廊の天井に割合大きな梁が走るのを計算に入れて今回の大きな木彫を制作している。
 周囲を回って見てみる。四方向からの鑑賞には別々の豊かな表情を見せてくれる。それがみな心地よく、美しいという形容が違和感なく相応しいのだ。内部にまで達しているような裂け目や、ボルダリングができそうな反り返った斜面、大きなボルトが埋め込まれた荒々しい肌合いなど。

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 聞けば重量は600kgくらいあり、高さは2.6mくらいだとか。コバヤシ画廊の入口は決して広くなく、階段がクランク上に折れ曲がっているので、それを計算して多数のピースに分解して搬入し、日曜日に画廊内で組み立てているのだとのこと。
 毎年一見似たような造形でありながら、こんな風に展開している! と驚かされる。坂本太郎展は楽しみなのだ。
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坂本太郎展-voice-
2020年3月23日(月)-3月28日(土)
11:30-19:00(最終日17:00まで)
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コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/