東京銀座のコバヤシ画廊で村山隆治展が開かれている(11月13日まで)。村山は1954年茨城県生まれ、1980年に東京芸術大学大学院美術研究科を修了している。その後、ギャラリー山口やギャラリー手、ギャラリー21+葉などで個展を繰り返した後、2007年からは毎年コバヤシ画廊で個展を開いている。
村山は特殊な方法で作品を作っている。ガラス絵の技法だが村山はガラスではなくアクリル板を使う。ガラス絵同様に裏面に描く。キャンバスに描くのとは違って、最初に置いた絵具が一番の表面になる。キャンバスに描いた場合は、最後に置いた絵具が表面になるのと正反対なのだ。さらに村山は指で描いている。
大きな画面に腕をいっぱい広げてアクリル板の反対側で指で描く。それは足で描いた具体美術の白髪一雄を連想させる。しかし白髪が足で描くという特殊な技法で注目されたものの、造形的にはさほど面白くないのと反対に、村山は技法を離れても造形的に優れている。
抽象作品でありながら、少しばかり艶めかしい印象を受けるのは、手で描いたその筆触(?)のせいだろう。どこか愛撫を思わせると感じるのは私だけだろうか。
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村山隆治展「work」
2021年11月8に位置(月)―11月13日(土)
11:30-19:00(最終日17:00まで)
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コバヤシ画廊
東京都中央区銀座3-8-12 ヤマトビルB1
電話03-3561-0515
http://www.gallerykobayashi.jp/