2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ガルリSOLの村田優大個展を見る

東京銀座のガルリSOLの村田優大個展「地平の人」が開かれている(3月4日まで)。村田は1994年東京都生まれ、2021年3月、金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科彫刻専攻を修了している。東京での本格的な個展としては今回が初めてになる。 画廊の中央に等…

山本弘の作品解説(114)「種畜場」

山本弘「種畜場」、油彩、F30号(天地72.7cm×左右91.0cm) 1978年制作。画家が住んでいた長野県上郷町(現飯田市)に、家畜の種付け場があった。大型動物の受精場だ。牛や山羊などの交配をしていた。そこを描いたものだという。 飯田市近郊は天竜川の流域に…

山本弘の作品解説(113)「なだれ」

山本弘「なだれ」、油彩、F12号(天地60.6cm×左右50.0cm) 1978年制作。赤いなだれを描いている。なだれは雪崩と書いて雪の崩れだが、斜面を崩れ落ちること、崩壊することもなだれだ。画面の右下に小屋のような小さな家がある。切迫感のある赤色で描かれたな…

蔦屋書店ギンザ アトリウムの上野裕二郎展を見る

東京銀座のギンザシックスにある蔦屋書店ギンザ アトリウムで上野裕二個展「Clash of Two Spirits ―天地の鬩ぎ―」が開かれている(2月25日まで)。ギャラリーのホームページから、 上野裕二郎は東洋思想の「気」の思想をベースに龍や虎、鳥などの生き物をモ…

山本弘の作品解説(112)「ネハン(臨終)」

山本弘「ネハン(臨終)」、油彩、F10号(天地45.5cm×左右53.0cm) 1978年制作、最晩年の作品。山本はこの3年後に自死した。キャンバスの裏に山本の手で「ネハン」と書かれ、その年に開かれた個展では「臨終」と題されて発表された。ネハン=涅槃は釈迦が高…

藍画廊の番留京子展を見る

東京銀座の藍画廊で番留京子展が開かれている(3月4日まで)。番留は富山県生まれ。1985年、創形美術学校を卒業している。1986年、ギャラリー青山で初個展。以来多くのギャラリーで個展を開いてきたが、ギャラリー・オカベが閉廊するまではそこがホームギ…

ガルリSOLの平野由果展を見る

東京銀座のガルリSOLで平野由果展が開かれている(2月25日まで)。平野は1992年に日大芸術学部美術学科版画科を卒業し、1992-1994年に日大芸術学部研究科に在籍していた。1993年にギャラリー21+葉アネックスで初個展、翌年九美洞ギャラリーで個展、その2…

東京都美術館のエゴン・シーレ展を見る

東京上野の東京都美術館でエゴン・シーレ展が開かれている(4月9日まで)。エゴン・シーレ展は久しぶりの開催で人気があるらしく、チケットは日時指定の前売券となっている。事実会場は混んでいた。 エゴン・シーレは好きな画家で画集も何冊か持っている。…

金子兜太・又吉直樹『孤独の俳句』を読む

金子兜太・又吉直樹『孤独の俳句』(小学館新書)を読む。副題が「“山頭火と放哉”名句110選」というもの。兜太が山頭火の55句を選び、又吉が放哉の55句を選んで、それぞれ解説をしている。 兜太の選んだ山頭火の句とその解説、 分け入つても分け入つても青い…

片山杜秀『片山杜秀のクラシック大音楽家15講』を読む

片山杜秀『片山杜秀のクラシック大音楽家15講』(河出文庫)を読む。片山は近代政治思想史が専門の慶應義塾大学教授。でありながら吉田秀和賞も受賞した音楽評論家、それも近現代音楽を最も好むと言う異端の評論家だ。特に『ゴジラ』の映画音楽を作曲した伊…

小山登美夫ギャラリー六本木のシュ・ニン(許寧)展を見る

東京六本木の小山登美夫ギャラリー六本木でシュ・ニン(許寧)展が開かれている(3月4日まで)。ギャラリーのホームページから、 1979年北京生まれ。北京の首都師範大学油画専攻専科卒業後、2006年家族とともに日本へ移住し、2020年多摩美術大学大学院修士…

ギャルリー東京ユマニテの林孝彦展を見る

東京京橋のギャルリー東京ユマニテで林孝彦展が開かれている(2月22日まで)。林は1961年岐阜県生まれ、1985年武蔵野美術大学油絵科を卒業、1987年東京藝術大学大学院美術専攻科を修了している。 個展は日本を始めアメリカやドイツの各地のギャラリーで数多…

s+artsのさとう陽子展を見る

東京六本木のs+artsでさとう陽子展「空空」が開かれている(2月19日まで)。さとうは東京生まれ。1981年に日本大学芸術学部美術学科を卒業している。1986年から毎年様々なギャラリーで個展を開いて活発に活動している。 ギャラリーのホームページから、 油…

トキ・アートスペースの高橋理加展を見る

東京外苑前のトキ・アートスペースで高橋理加展「パンとサーカスを…」が開かれている(2月19日まで)。高橋は1963年東京生まれ、多摩美術大学絵画科を卒業している。トキ・アートスペースでの個展は3年ぶりになる。画廊のホームページに高橋の言葉が掲載さ…

ギャラリー58の山下耕平展を見る

東京銀座のギャラリー58で山下耕平展が開かれている(2月18日まで)。山下は1984年兵庫県生まれ、2007年に佐賀大学文化教育学部デザイン専攻を卒業している。東京では、2011年から毎年このギャラリー58で個展を続けている。 山下は常に新しい試みに挑戦して…

藤田嗣治の「サイパン同胞臣節を完うす」

藤田嗣治「サイパン同胞臣節を完うす」 藤田嗣治の戦争画「サイパン同胞臣節を完うす」についても菊畑茂久馬は高く評価している。『絵かきが語る近代美術』(弦書房)より 私共同胞のむごたらしい死出の旅を描いた絵の、どこに戦意高揚のプロパガンダの意図…

藤田嗣治の「アッツ島玉砕」

藤田嗣治「アッツ島玉砕」 藤田嗣治の戦争画「アッツ島玉砕」は毀誉褒貶のある作品だ。批判する意見も多い。だが菊畑茂久馬は絶賛している。『絵かきが語る近代美術』(弦書房)より ……この絵は何度見ても美しい。どこか夢見るような詩情漂う絵、地獄の殺戮…

岡崎乾二郎『絵画の素』を読む

岡崎乾二郎『絵画の素』(岩波書店)を読む。500ページ近く厚さ4cmほどもある大著でオールカラーという豪華版。だから5,000円+税と高価だ。 古今東西の名画を取り上げてその作品を解説し、それにまつわるトピックを紹介している。そしてその作品に関連した…

養清堂画廊の菅原二郎展を見る

東京銀座の養清堂画廊で菅原二郎展が開かれている(2月18日まで)。菅原は1941年奈良県生まれ、1967年東京藝術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。1970~1984年イタリア政府給費留学生としてイタリアへ留学。 会場には壁面に版画が並んでいる。そして木彫作…

資生堂ギャラリーの岡ともみ展を見る

東京銀座の資生堂ギャラリーで岡ともみ展「サカサゴト」が開かれている(2月26日まで)。本展は資生堂が主催する公募プログラム「第16回shiseido art egg」入選者3名による個展の一人目。3人の個展が終ったあと、一人にグランプリが与えられる。 岡は1992…

ギャラリイKの葉緑素為吉展「ドローイング」を見る

東京京橋のギャラリイKで葉緑素為吉展「ドローイング」が開かれている(2月11日まで)。ドローイング展とタイトルにあったのに、画廊には床にスプーンが置かれていてドローイングは展示されていない。作家の葉緑素為吉さんにそのことを問うと、このスプーン…

藍画廊の葛生裕子展を見る

東京銀座の藍画廊で葛生裕子展が開かれている(2月6日まで)。葛生は東京生まれ、1988年に多摩美術大学絵画科を卒業している。1986年にかねこあーとギャラリーで初個展をし、その後西瓜糖、コバヤシ画廊、藍画廊、ルナミ画廊、秋山画廊、モリスギャラリー…

節分の夜の短歌

2月3日は節分だった。節分の夜は大島かづ子の短歌を思い出す。 追儺の豆外には打たじ戸はたてじ召さりし護国の鬼の兄来よ 追儺(ついな)は節分の夜、桃の弓で葦の矢を放って悪魔を追い払う儀式。戦死した兵は鬼となって国を守るとされた。戦死した兄を妹…

菊畑茂久馬『絵かきが語る近代美術』を読む

菊畑茂久馬『絵かきが語る近代美術』(弦書房)を読む。九州派の重鎮菊畑茂久馬が平成13年から14年にかけて福岡県立美術館で連続講演をした記録を再構成・加筆したものとのこと。菊畑は画家だけれど、日本近代美術史としてきわめて面白い。 前半は江戸時代か…

TS4312の田淵安一展を見る

東京四谷三丁目のTS4312で田淵安一展が開かれている(2月26日まで)。田淵は1921年福岡県生まれ、1945年東京大学文学部美術史学科に入学、在学中から猪熊弦一郎に師事。1951年渡仏、以後パリを拠点に制作・発表を続けた。1985年フランス政府より芸術文化勲…

銀座 蔦屋書店の堀本達矢個展を見る

東京銀座のギンザシックスにある銀座蔦屋書店ギンザ アトリウムで堀本達矢個展「Meet the KEMONO」が開かれている(2月8日まで)。堀本は1993年三重県生まれ、沖縄県立芸術大学大学院彫刻専修を修了している。2016年に沖縄県立芸術大学ピロティで初個展、…

コバヤシ画廊の保科豊巳展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で保科豊巳展が開かれている(2月9日まで)。これは「80年代の美術」というシリーズの6回目だ。保科は1953年長野県生まれ、1979年に東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業し、1984年に同大学大学院博士後期課程美術専攻を満期退…