2018-01-01から1年間の記事一覧

吉田秀和『マネの肖像』を読み返す

吉田秀和『マネの肖像』(白水社)を読む。26年ぶりの再読だった。最近、ここにも紹介した三浦篤『エドゥアール・マネ』を読んだことにより、マネにまた興味を持った。むかし『マネの肖像』を読み終わったその日に『マネ』(新潮美術文庫)を購入した。小型…

「すゞしろ日記」の大そうじ

山口晃の「すゞしろ日記」が今回は大そうじがテーマだ(『UP』2019年1月号)。 最初に『マカロニほうれん荘』のギャグが引用される。主人公は「なつかしい」と思っているが奥さんには通じない。 ついでそうじ個所を表にしている。そうじの手順を図示すること…

朝日新聞書評委員が選ぶ「今年の3点」から

朝日新聞も年末書評欄で恒例の「書評委員が選ぶ今年の3点」を特集している(12月29日)。書評委員がそれぞれ2018年のベスト3冊を推薦している。その中から私も興味を持った思った本を選んでみた。 椹木野衣(推薦) 『時のかたち 事物の歴史をめぐって』(ジ…

毎日新聞「2018この3冊」から

毎日新聞が年末書評欄で恒例の「2018この3冊」を2回にわたって特集した(12月9日、12月16日)。書評委員がそれぞれ2018年のベスト3冊を推薦している。その中から私も興味を持った思った本を選んでみた。 山崎正和(推薦) 『エドゥアール・マネ 西洋絵画史の…

堀江敏幸『傍らにいた人』を読む

堀江敏幸『傍らにいた人』(日本経済新聞出版社)を読む。版元から分かる通り、日本経済新聞に毎週連載していたもの。現在表参道のギャラリー412で野見山暁治「カット展」が開かれているが、それは堀江の日経の連載に挿絵として描かれたものを展示している(…

地下鉄丸ノ内線四谷三丁目駅近くのお岩水かけ観音について

小林紀晴『写真で愉しむ 東京「水流」地形散歩』(集英社新書)を読むと、四谷三丁目のお岩水かけ観音に触れている。 ……四谷三丁目の交差点近くにあるスーパーマーケットの丸正食品総本店前のお岩水かけ観音。かなり目を引く存在なのだが、あの四谷怪談と深…

山崎省三『回想の芸術家たち』を読む

山崎省三『回想の芸術家たち』(冬花社)を読む。副題が「『芸術新潮』と歩んだ40年から」。山崎は1948年に新潮社に入社し、1950年『芸術新潮』創刊とともに編集部に勤務し、のちに編集長を務める。5つの章からなっていて、「林芙美子の〈絵〉と『芸術新潮…

インドネシアでの津波被害

インドネシアジャワ島で大きな津波の被害があった。今日の発表で200人以上が亡くなっている。津波の原因は地震ではなく火山の噴火によるものだという。スンダ海峡にあるアナウクラカタウ島の火山が噴火した。クラカタウと聞いて『生物の消えた島』(福音館書…

中松商店の「現代画廊の案内状――洲之内徹からの便り――」を見る

東京銀座の中松商店で「現代画廊の案内状――須之内徹からの便り――」が開かれた(12月23日まで)。洲之内徹の現代画廊(1961−1987)が発行した展覧会案内状を展示していた。 DM葉書は最初に画廊を構えた銀座7丁目あたりの案内図を表示していて興味深い。オーナ…

『ありがさき 第2号』より

いつもはあまり見ない居間の本棚に『ありがさき 第2号』という歌集が挟まれていた。編集発行 松本市蟻ケ崎北町短歌会となっている。会員9人の短歌が集められている。義母曽根原嘉代子の作品もあった。そこからいくつか拾ってみる。 皮の手袋 なんとまあ背丈…

人形町ヴィジョンズの羽藤雅敏展を見る

東京日本橋堀留町の人形町ヴィジョンズで羽藤雅敏展が開かれている(12月22日まで)。羽藤は1977年神戸市生まれ、大阪芸大美術科を卒業後、関西で活動している。2010年にギャラリー現での個展を見たことがあった。 今回羽藤はヴィジョンズの左手の壁面一杯に…

ギャラリーOUT of PLACEの内山聡展「stripe(s)」を見る

東京外神田の3331アーツ千代田にあるギャラリーOUT of PLACEで内山聡展「stripe(s)」が開かれている(1月27日まで)。内山は1978年神奈川県生まれ。2005年に多摩美術大学大学院日本画研究領域を修了している。2003年にアートスペース羅針盤で初個展、その…

うしお画廊の「あなたのためのカレンダー展III」を見る

東京銀座のうしお画廊で「あなたのためのカレンダー展III」が開かれている(12月26日まで)。百数十人の作家に依頼してカレンダーのための作品を作ってもらった。カレンダー用の額が用意されていて、選んだ作品をはめればオリジナルのカレンダーになる。額装…

三浦篤『エドゥアール・マネ』を読む

三浦篤『エドゥアール・マネ』(角川選書)を読む。すばらしい本だ。副題が「西洋絵画史の革命」とあり、マネこそが伝統絵画を引き継いで大きく展開し、現代にいたる流れを作った革新的な画家だと主張している。読後それがほぼ納得できたように思う。 三浦は…

藍画廊の亀山尚子展を見る

東京銀座の藍画廊で亀山尚子展が開かれている(12月22日まで)。亀山尚子は1970年静岡県生まれ、1995年に武蔵野美術大学大学院を修了している。大学院在学中の1994年に東京芸術劇場展示室で初個展を開いた。初個展から非凡な作家だった。その後、藍画廊を主…

サイト青山の井上活魂展「平成の貝塚より」を見る

東京南青山のサイト青山で井上活魂展「平成の貝塚」が開かれている(12月16日まで)。井上に会ったことはないと思うけど、作品は上野桜木の画廊での個展や日本アンデパンダン展で何度か見ている。50代くらいの作家だと思う。 今回はインスタレーションで、画…

TIME & STYLE MIDTOWNの高柳恵里「自明」を見る

東京六本木のミッドタウン ガレリア3階にあるインテリアショップTIME & STYLE MIDTOWNで高柳恵里「自明」が開かれている(12月21日まで)。高柳は1962年神奈川県生まれ。1988年に多摩美術大学大学院美術研究科を修了し、1990−1991年イタリア政府給費留学生と…

片山杜秀『ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる』を読む

片山杜秀『ベートーヴェンを聴けば世界史がわかる』(文春新書)を読む。これが素晴らしい。片山は近代日本政治思想史の専門家、でありながら音楽評論家としても一流で、音楽に関する著書で吉田秀和賞を受賞している。私も何冊も片山の政治史の本をここで紹…

MAHO KUBOTAギャラリーの多田圭佑展「エデンの東」を見る

東京神宮前のMAHO KUBOTAギャラリーで多田圭佑展「エデンの東」が開かれている(12月22日まで)。多田は1986年名古屋市生まれ、2010年に愛知県立芸術大学美術科油画専攻を卒業し、2012年同大学美術研究科博士前期課程を修了している。2007年に名古屋造形大学…

ギャラリー・ビー・トウキョウの松浦悠子個展を見る

東京京橋のギャラリー・ビー・トウキョウで松浦悠子個展が開かれている(12月15日まで)。松浦は1995年愛知県生まれ、2018年に金沢工芸美術大学工芸科を卒業し、現在同大学大学院修士課程に在学している。今回が初個展となる。 松浦は乾漆の技法で作品を制作…

ギャラリイKの洞山舞展「鉄に溶ける」を見る

東京京橋のギャラリイKで洞山舞展「鉄に溶ける」が開かれている(12月15日まで)。本展は毎年恒例の多摩美大学院彫刻専攻生の選抜展だ。つまり多摩美大学院彫刻科一押しの作家が取り上げられている。 洞山は1992年岐阜県生まれ、2017年に多摩美術大学彫刻学…

ギャラリー川船の「歳末正札市」が始まった

東京京橋のギャラリー川船で師走恒例の「歳末正札市」が始まった。150点近くの作品が画廊の壁を覆っている。いずれも大変安い価格が付けられている。 一例をあげると、一番高いのが山下菊二のガッシュが90万円だが、井上長三郎の4号油彩が38,000円、麻生三郎…

高橋源一郎『今夜はひとりぼっちかい?』を読む

高橋源一郎『今夜はひとりぼっちかい?』(講談社)を読む。副題が「日本文学盛衰史 戦後文学篇」というもの。日本文学史を扱ったものと思って読み始めたが違った。 ゼミ生の前で先生が講義しているように見える。映像を流しているが、そこではイノウエさん…

TAKU SOMETANIギャラリーの小西景子展「Co-shape」を見る

東京日本橋馬喰町のTAKU SOMETANIギャラリーで小西景子展「Co-shape」が開かれている(12月16日まで)。小西は2016年に京都市立芸術大学美術学部版画専攻を卒業し、2018年に同大学大学院修士課程版画専攻を修了している。DM葉書のテキストから、 小西景子は…

ギャラリーなつかの高浜利也展を見る

東京京橋のギャラリーなつかで高浜利也展が開かれている(12月22日まで)。高浜は1966年兵庫県姫路市生まれ、1988年武蔵野美術大学を卒業し、1990年に武蔵野美術大学大学院修士課程を修了している。1998年からタイ国立大学に脚韻研究員として滞在した。 高浜…

ガルリSOLの石垣むつみ展を見る

東京銀座のガルリSOLで石垣むつみ展が開かれている(12月8日まで)。石垣は東京生まれ、文化学院デザイン科・芸術科を修了している。1993年に目黒のギャラリークラマーで個展を行い、その後この砂翁や空想ガレリア、ギャラリーYORI、ギャラリー紡、ギャラリ…

小林紀晴『写真で愉しむ 東京「水流」地形散歩』を読む

小林紀晴『写真で愉しむ 東京「水流」地形散歩』(集英社新書)を読む。写真家である小林が大型カメラを担いで、東京の河川を歩き回った記録だ。小林は写真家でありながら『メモワール』とか『ニッポンの奇祭』など興味深いエッセイを書いている。 本書はち…

Art Mallの山崎康譽コラージュ展を見る

東京日本橋三越前のArt Mallで山崎康譽コラージュ展が開かれている(12月9日まで)。山崎は1952年東京生まれ、1978年に東京学芸大学大学院を修了している。その後バングラデシュ国立芸術大学へ留学してリトグラフを学んだ。1979年にバングラデシュのダッカで…

堀田百合子『ただの文士 父、堀田善衛のこと』を読む

堀田百合子『ただの文士 父、堀田善衛のこと』(岩波書店)を読む。堀田善衛の娘が父のことを書いている。とても気持ちの良い読書だった。著者堀田百合子のことは長谷川康夫の『つかこうへい正伝1968−1982』(新潮社)で知った。つかは堀田百合子と慶応大学…

虫明元『学ぶ脳』を読む

虫明元『学ぶ脳』(岩波科学ライブラリー)を読む。副題が「ぼんやりにこそ意味がある」というもの。裏表紙の惹句より、 脳では様々なネットワークが常に切り替わりながら活動している。何もしていない時にも、脳は活発に活動する。その活動は、脳全体を統合…