ギャラリーOUT of PLACEの内山聡展「stripe(s)」を見る

 東京外神田の3331アーツ千代田にあるギャラリーOUT of PLACEで内山聡展「stripe(s)」が開かれている(1月27日まで)。内山は1978年神奈川県生まれ。2005年に多摩美術大学大学院日本画研究領域を修了している。2003年にアートスペース羅針盤で初個展、その後神奈川県のギャラリーHIRAWATAやギャラリー現、eitoeiko、そして最近はこのギャラリーOUT of PLACEで個展を開いている。
 今回の展示は無数とも見える細い糸が垂れ下がっているオブジェだ。これについて、ギャラリーが配布している印刷物に次のように書かれている。

●私は色材として糸を用いている。
●糸には9色のカラーバリエーションと支持体として用いる黒い横糸で計10色がある。
●両腕を目一杯広げた長さ(中には肩幅をイメージしたものもある)で9色の糸を切り、3本ずつ纏めた糸を黒い横糸(支持体)に括り付けていく。
●3本の糸は、規則性なく組み合わせられたものになっている。
●糸という素材の特性も相俟って、上記の行為が繰り返され集積していき、結果として垂直方向に矩形の平面が生まれる。
●制作日の体調や気分、着ていた衣服の厚みなどにより腕を広げた長さ、あるいは切られた糸の長さにはばらつきがあり、矩形の下辺は不揃いの状態になる。


私の制作は、絵画の中の物質的、身体的な「条件」を基盤にすることで、習慣を拡大することを目的にしている。



 一番大きな作品は2万7千本の糸で作られている。これが両腕を一杯に広げた長さの糸だという。2万7千本の糸を使っているということは、3本ずつだから9千組の糸を選んで括り付けているということになる。膨大な作業量、膨大な糸の量がここに結実している。内山はいつもそれを制作するに要した膨大な時間、膨大な物質を具現させた作品を作っている。コンセプチュアルでありながら造形的に美しい作品だ。
 これ以外の小さめの作品は肩幅の長さの糸で作られている。赤や緑の糸の作品だけは9色の糸を使わないで単色の糸で作っている。毎回コンセプトは同じながら、違った切り口で制作している内山の創造性が見事だと思う。



 同じ建物3331アーツ千代田内にあるタマビ21(多摩美術大学が運営するギャラリー)で1月下旬から始まるグループ展「終わらない始まり」にも内山聡が参加するらしい。
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内山聡展「stripe(s)」
2018年12月14日(金)−2019年1月27日(日)
12:00−19:00(月、火、水休廊)
12月24日―1月10日は冬季休廊
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ギャラリーOUT of PLACE
東京都千代田区外神田6-11-14 3331アーツ千代田 207号
電話03-6803-0248
http://www.outofplace.jp/
東京メトロ銀座線末広町駅から徒歩3分