ギャラリーOUT of PLACEの内山聡展「ワーキング・ワークス」を見る

 東京外神田のギャラリーOUT of PLACEで内山聡展「ワーキング・ワークス」が開かれている(10月2日まで)。内山は1978年神奈川県生まれ。2005年に多摩美術大学大学院日本画研究領域を修了している。2003年にアートスペース羅針盤で初個展、その後神奈川県のギャラリーHIRAWATAやギャラリー現、eitoeiko、そして最近はこのギャラリーOUT of PLACEで個展を開いている。
 内山の文から、

これまでの私の作品では色は「単位」であり、「違い」を生むものと考えてきました。また一般的には絵画の美しさをつくる情報の一部であります。
私は色を取り去る(単色化する)ことで、より手工業的な製造者としての純度を高め、絵画の持つ手工業生産性を日本人の立場で考えています。
言い換えると
 1.作家が絵画作品の前提をフォーカスダウンさせることで強く立ち上がってくる作家自身の身体行為。
 2.ものの中に入っている様々な現象(時間、テクノロジー、文化)。
を抽出してみたいのです。


 以前、ギャラリー現では10色の紙テープを使った円盤状のオブジェを作っていたが、今回は白い紙テープで円盤を作っている。直径170cm、使った紙テープは700個くらいで、作品の右下に使い終わったたくさんの芯が置かれている。内山はほぼ3カ月間かけてこれを巻いて制作したという。ギャラリー現の個展のときも書いたが、これは紙テープという物質と巻くという作家の行為の集積なのだ。


 ほかに矩形の作品があった。梱包材(いわゆるプチプチ)に白い絵具を注入したもの。これまた物質性が極めて露わであり、それが同時にミニマルでもあるとても興味深い作品になっている。ここで物質性が露わと書いたのは、単に絵具を塗った場合はイメージが成立した後絵具が素材として隠れてしまうのに、ここではプチプチとして素材が自己主張している。しかも美しさも犠牲にしていない。


 紙テープの作品では薄い斜面のような小さな作品もあった。丸いテープの1周を台紙に貼り、それを重ねていくと中心に近づくにつれ、テープが徐々に短くなる。それが斜面のような形を作る。そんな作品だ。
 この他、古い作品や新しい試みのきれいな小品などが展示されている。内山は物質性にこだわった制作を続けている。初期からぶれることがない優れた作家だ。海外でも注目されているという。


ギャラリー現の内山聡展が興味深い(2012年7月24日)

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内山聡展「ワーキング・ワークス」
2016年9月2日(金)−10月2日(日)
12:00−19:00(月火水 休廊)
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ギャラリーOUT of PLACE
東京都千代田区外神田6-11-14 3331アーツ千代田 207号
電話03-6803-0248
http://www.outofplace.jp/