{美術]川越市立美術館の浅見貴子と高橋大輔を見る

 埼玉県の川越市立美術館で「ペインティングの現在−−4人の平面作品から−−」が開かれている(12月23日まで)。その4人は、高橋大輔(1980〜)、荻野僚介(1970〜)、浅見貴子(1964〜)、樺山祐和(1958〜)で、いずれも埼玉県ゆかりの作家たちであるらしい。私は彼らのうち、浅見と高橋の作品が好きで今まで見てきていて、またこのブログにも取り上げてきた。今回この2人についてここに紹介したい。
 浅見は1964年埼玉県生まれ、1988年に多摩美術大学絵画科日本画専攻を卒業している。1992年に藍画廊で初個展をした後、毎年個展を開いている。またアーティスト・イン・レジデンスで大原美術館に滞在して制作したり、ニューヨークに滞在して制作したりもしている。
 浅見はガラス絵のように紙の裏から描いている。また初期には抽象画を描いていたが、しばらく前から具象画、具体的には樹木の葉叢を描くようになった。今回も屏風仕立てや大きなパネルの作品が並んでいる。豊かな表現力を感じさせる作品だ。





 高橋は1980年埼玉県生まれ。2005年に東京造形大学絵画専攻を卒業している。主な個展は、switch point、トキ・アートスペース、LOOP HOLE、T&Sギャラリー、リマスタ、HARMASギャラリー等。今年の夏には東京オペラシティアートギャラリーの「絵画の在りか」にも参加した。高橋はほとんど筆触だけで画面を構成している。それは具体の作家で足で描いた白髪一雄と共通しているように見える。絵具を描写の道具として使うのではなく、絵具という物質を表現の核としているのだ。
 道具として使った場合は絵具を通してイメージが現れ、同時に絵具そのものは消えることになる。ルビンの壺と同じことが起こるのだ。それが道具ではなく、絵具を物質として使用したとき、絵具そのものが直接作品となる。





 好きな2人の作家が公立美術館の企画に取り上げられて私も嬉しかった。紹介が遅くなったが、まだ2日間(22日と23日)あるので見てほしい。
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ペインティングの現在−−4人の平面作品から−−
2015年10月31日(土)〜12月23日(水)
9:00〜17:00(月曜日休館)
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川越市立美術館
埼玉県川越市郭街2-30-1
電話049-228-8080
http://www.city.kawagoe.saitama.jp/artmuseum/