2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ボケの実がなっている

久しぶりにボケの実がなっているのを見つけた。あちこち探して歩いたら3カ所で10個あまりを見つけた。このまま子どもたちが悪戯して採ってしまわなれば、何年ぶりかでボケ酒が作れそうだ。ボケ酒は果実酒の王様と言われている。あと1カ月ほど採られないよ…

ドナルド・キーン『日本文学史 近世篇一』を読む

ドナルド・キーン『日本文学史 近世篇一』(中公文庫)を読む。この巻は、主に俳諧から芭蕉への流れを扱っている。その歴史が的確に整理され記述されていて、浅学の身に大変参考になった。 初期の俳諧の重要人物として松永貞徳が挙げられている。 貞徳は、(…

鹿島茂『ドーダの人、小林秀雄』を読む

鹿島茂『ドーダの人、小林秀雄』(朝日新聞出版)を読む。朝日紙新聞出版のPR誌『一冊の本』に連載していたもの。徹底して小林秀雄批判をしている本。鹿島は亡くなった丸谷才一と親しく、丸谷の小林批判を引き継いでいる印象もあるが、鹿島の方が論理的かつ…

ジャン・ジオノ『丘』を読む

ジャン・ジオノ/山本省・訳『丘』(岩波文庫)を読む。ジオノ(1895−1970)はフランスの作家。生涯オート=プロヴァンスで過ごし、その土地を舞台に小説を書いていた。処女作の『丘』がアンドレ・ジッドの賞賛を受けたという。 日本では昭和11年に最初の訳…

H.G.ウェルズ『宇宙戦争』を初めて読む

SF

H.G.ウェルズ『宇宙戦争』(ハヤカワ文庫)を読む。SFの古典中の古典作品だが、今回初めて読んだ。オーソン・ウェルズがラジオ・ドラマ化して、アメリカ社会をパニックに陥れた「火星人襲来」の原作でもある。宇宙人が地球に攻め込んで来るという侵略ものの…

倉本一宏『蘇我氏』を読む

倉本一宏『蘇我氏』(中公新書)を読む。副題が「古代豪族の興亡」となっている。継体天皇の次に立った欽明天皇の時代頃、蘇我稲目が登場、欽明王権を支えることで権力を握った。欽明に娘を嫁がせ、そこに生まれた用明天皇や崇峻天皇、推古天皇の外戚となる…

ギャラリー・オカベの番留京子展「Lovely Wonderland」を見る

東京銀座のギャラリー・オカベで番留京子展「Lovely Wonderland」が開かれている(9月3日まで)。番留は富山県生まれ。1985年、創形美術学校を卒業している。1986年、ギャラリー青山で初個展。以来多くのギャラリーで個展を開いてきたが、最近はギャラリー…

ギャラリー現の品川はるか展を見る

東京銀座のギャラリー現で品川はるか展が開かれている(8月27日まで)。これは東京造形大学と慶応義塾大学の共同企画による交流展「UNKNOWNS 2016」のひとつで、同時期に銀座の藍画廊でも菊池遼と瀬端秀也の2人展という形で開催されている。東京造形大学か…

最近撮った写真

最近撮った写真。 資生堂のショーウィンドウ、口紅で作った薔薇。さすが商売道具、でなかったらなかなかこんなに蕩尽できない。 東京駅丸の内北口。フランス映画の一シーンみたいだ。 弥生式土器発掘ゆかりの地、という石碑。東大近くにある。 国立がんセン…

飯田市の焼肉屋に対する朝鮮労働者の影響

先に長野県飯田市の焼肉店の数が人口比で全国1との報道に関して、それは戦時中の平岡ダム建設で朝鮮人労働者が大勢連れてこられて、彼らの食習慣である焼肉がタレとともに飯田市に伝わったのだと書いた。 友人の原英章君がさらに資料を送ってくれた。彼は飯…

中条省平『フランス映画史の誘惑』を読む

中条省平『フランス映画史の誘惑』(集英社新書)を読む。とても良い本。フランス映画史なんて何冊も書かれていたような気がしていた。序章を読むとそうではないことが分かった。 ……わたしの知るかぎり、『フランス映画史』と銘うった書物は、これまで3冊あ…

「ギャラリー椿オークション2016」が始まる

今年も8月20日から京橋のギャラリー椿で恒例のオークションが始まる。 オークションは8月20日(土)、21日(日)、22日(月)の3日間。誰でも自由に入札できる。500点近い出品点数だ。ギャラリー椿は銀座・京橋地区でも特に大きなギャラリーだが壁面はぎ…

東京の海抜(その4)

東京中央〜東部の海抜。海に近い勝どき駅が海抜1.6mなのに、内陸の墨田区中央の八広が海抜−1.4mだ。縁の方が高くなっている。 東京メトロ半蔵門線・銀座線・千代田線 表参道駅:海抜33.7m 東京メトロ日比谷線 六本木駅:海抜31.6m 東京メトロ銀座線 外苑前駅…

ヨシダ ナギ『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』を読む

ヨシダ ナギ『ヨシダ、裸でアフリカをゆく』(扶桑社)を読む。実に楽しい読書。ヨシダは1986年生まれ、中学2年で学校をドロップアウトしたという。それって不登校の引きこもりじゃないか。5歳のときテレビで見たマサイ族に惹かれ、本気でいつかマサイ族にな…

坂上弘『故人』を読む

坂上弘『故人』(講談社文芸文庫)を読む。裏表紙の惹句に「34歳で早世した山川方夫の人生を、最も近くで生きた著者が小説に刻んだ鎮魂の書」とあった。坂上は今まで読んだことがなかったが、評伝文学や自伝が好きな私としてはこれは読んで見ようと思った。…

馬場あき子『寂しさが歌の源だから』を読む

馬場あき子『寂しさが歌の源だから』(角川書店)を読む。副題が「穂村弘が聞く馬場あき子の波瀾万丈」というもので、角川の雑誌『短歌』に1年間連載されたものをまとめている。馬場は最も好きな歌人だし、穂村も嫌いな歌人ではない。 馬場の名前を初めて知…

東京ステーションギャラリーの「12 Rooms 12 artists」を見る

東京駅の東京ステーションギャラリーで「12 Rooms 12 artists」が開かれている(9月4日まで)。タイトルの由来は、東京ステーションギャラリーの12の部屋に12人のアーティストを展示しているから。UBSアート・コレクションよりとある。そのUBSとは「民間企業…

『お父さん、一緒に死のう』を読んで

豊田実正『お父さん、一緒に死のう』(東洋出版)を読む。知り合いから、彼の知人が本を書いたけど読みますかと言われて借りた。ひと目見て自費出版だと分かった。副題が「永遠の恋人 永遠の宝物」とある。カバーの表裏に中年のきれいな女性の写真が使われて…

『基礎講座 哲学』を読む

木田元/須田朗 編著『基礎講座 哲学』(ちくま学芸文庫)を読む。編者の2名のほか、財津理、村岡晋一、福田収、後藤嘉也、滝浦静雄が分担執筆している。 第1部が「哲学とは何か」と題して、西洋哲学の歴史が古代ギリシア哲学から、現代の現象学、実存主義、…

ときわ画廊の驚くべき展示

銀座で30年間続いた現代美術の貸画廊が来年春で閉廊することになったという。とても良い画廊なので残念だ。30年も続けたのだから過去の展示の記録をまとめて本を作ったらどうですかと言うと、村松画廊の記録はすごいけど、お金がかかってしまうとの答え。村…

Kanzanギャラリーのヨシダ ナギ展を見る

東京馬喰町のKanzanギャラリーでヨシダ ナギ写真展が開かれている(8月28日まで)。ヨシダは1986年生まれ、独学で写真を学び、2009年から単身アフリカへ渡り、少数民族をテーマに写真を撮り、写真集を出版し西武渋谷で写真展を開き、BS朝日「地球紀行」に取…

朗読劇『ひめゆり』を見る

新国立劇場演劇研修所公演 朗読劇『ひめゆり』を見る。新国立劇場には付属の演劇研修所(NNTドラマ・スタジオ)があり、舞台俳優の育成をしている。毎年夏に3年生が朗読劇をしていて、昨年までずっと井上ひさしの『少年口伝隊 一九四五』が演じられていた。…

C. ブランド『薔薇の輪』を読む

クリスチアナ・ブランド『薔薇の輪』(創元推理文庫)を読む。英国推理作家協会の会長も務めたことのあるベテラン作家とのこと。私は初めて読んだ。昨年毎日新聞に若島正が書評を書いていた(2015年7月5日)。 このミステリの中心にいる(ように見える)のは…

ミヅマアートギャラリーの会田誠展を見る

東京飯田橋のミヅマアートギャラリーで会田誠展が開かれている(8月20日まで)。朝日新聞に丸山ひかりの紹介が載っていた(8月2日夕刊)。 ……開催中の個展では、プラスチック製の使い捨ての弁当容器に発泡ウレタンを盛り、アクリル絵の具で塗った新作約50点…

クッツェー『恥辱』を読む

池澤夏樹が、くぼたのぞみ『鏡のなかのボードレール』(共和国)についての書評を毎日新聞に書いている(2016年7月24日)。そこにクッツェー『恥辱』(ハヤカワ文庫)についての言及があった。 ……その後で本論に戻ってクッツェーの代表作『恥辱』における肌…

「木々との対話」の須田悦弘がおもしろい

上野の東京都美術館で開館90周年記念展と銘打って「木々との対話」が開かれている(10月2日まで)。木という素材を使った作品を制作している5人の立体作家、國安孝昌、須田悦弘、田窪恭治、土屋仁応、舟越桂の作品を展示している。昨日は國安を紹介したが…

「木々との対話」の國安孝昌が圧倒的

上野の東京都美術館で開館90周年記念展と銘打って「木々との対話」が開かれている(10月2日まで)。木という素材を使った作品を制作している5人の立体作家、國安孝昌、須田悦弘、田窪恭治、土屋仁応、舟越桂の作品を展示している。5人の中でも國安の作品…

竹田青嗣『哲学は資本主義を変えられるか』を読む

竹田青嗣『哲学は資本主義を変えられるか』(角川ソフィア文庫)を読む。副題が「ヘーゲル哲学再考」とある。角川ソフィア文庫の解説から、 大量生産、大量消費、大量廃棄を特徴とする現行の資本主義は、格差の拡大、資源と環境の限界を生んだ。この矛盾を克…

リーディング公演で別役実『門』を見た

先月、新国立劇場のマンスリープロジェクトで別役実の『門』のリーディング公演を見た。マンスリープロジェクトは毎月行われていて、多くは講義が多いのだが、年に1回リーディング公演がある。すべて無料なのだ。今までもリーディング公演は何回か見てきた。…