2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「和歌とは何か」で紹介された教育法

渡部泰明「和歌とは何か」(岩波新書)には、「古今伝授」についての1章が設けられている。古今伝授とは、「簡単にいってしまえば、それは師匠から弟子へと1対1で行われる、『古今集』ほか重要古典の教育プログラムである」。それに関連して、著者が中学…

丸谷才一「文学のレッスン」の興味深いエピソード

丸谷才一『文学のレッスン』(新潮社)には面白いエピソードがふんだんに載っている。これは文学について、湯川豊のインタビューに答えて丸谷才一が語ったもの。 丸谷 志賀直哉はスケッチ的短篇小説を書かせるとすばらしい。「焚火」とか「城之崎にて」とか…

ギャラリー椿のオークションが始まる

東京京橋にあるギャラリー椿のオークションが始まる(7月29日〜8月1日)。毎年恒例の「ギャラリー椿オークション2010」は今日から始まり日曜の8月1日午後3時に開札となる。 オークションといってもとても庶民的で、「成り行き」と表示されているものの…

ギャラリーなつかの豊泉綾乃展が良い

「新世代への視点2010」でギャラリーなつかが取り上げた画家が豊泉綾乃だった。彼女は1981年埼玉県生まれ、武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻版画コースを修了している。2007年のギャラリーなつかでの個展も銅版画だった。それが今回水彩画である。し…

「和歌とは何か」がおもしろい

渡部泰明「和歌とは何か」(岩波新書)がおもしろい。前半が「和歌のレトリック」として、枕詞、序詞、掛詞、縁語、本歌取りが解説される。これらが、具体的に和歌を引用して丁寧に解き明かされる。 後半は「行為としての和歌」として、問答歌、歌合、屏風歌…

「新世代への視点2010」が始まった

「東京現代美術画廊会議」という銀座、京橋の現代美術の主に貸画廊をしている画廊が1993年より合同で「新世代への視点ー画廊からの発言」という企画展を行ってきたが、今回その11回目が開催される。 これは各画廊が推薦する40歳以下の新鋭作家の個展を、同時…

黒テントの「世界の同時代リーディングシアター2010」を見て

劇団黒テントの「世界の同時代リーディングシアター2010」と銘打ったシリーズで、「殺戮の神」と「ザ・ワンダフル・ワールド・オヴ・ディソシア」(以下「ディソシア」)の2本立てを見た。7月23日に神楽坂のシアターイワトで。 「殺戮の神」はフランスのヤ…

「方丈記」が面白い?

娘が「方丈記」を繰り返し読んでいる。あんなものが面白いのかと思っていた。それが最近発行された丸谷才一の「文学のレッスン」を読んでいたら、すごいものだと書かれていた。 ……「方丈記」はすごいものなんですよ。昔、うちの息子が大学受験のとき、古文が…

ブリジストン美術館と三菱一号館美術館

数日前に京橋のブリジストン美術館へ「印象派はお好きですか?」展を見に行った。ピサロ、マネ、モネ、シスレー、セザンヌ、ルノワール、ゴーガン、そしてコロー、クールベ、ルソー、ボナール、マティス、ピカソ、ルオー、ヴラマンク、デュフィと本当に優品…

コレクターの発想、画商の発想

今年1〜2月、新宿区にある佐藤美術館で「山本冬彦コレクション展〜サラリーマンコレクター30年の軌跡〜」が開かれた。山本さんはサラリーマンのかたわらこつこつと美術品を収集して、それが30年間で約1,300点のコレクションになり、その中から厳選した160…

JTのコーヒーRootsの広告の評価

JTのコーヒーRootsのポスターが街のあちこちに貼られている。 http://www.jt-roots.com/main.html?3 そのコピーは、 人は忘れる。 だから生きていける。 強く、 香る。 強く、 生きる。 男(松田龍平)が目をつむって横になっている。「人は忘れる。/だから…

レイ・ブラッドベリのSF「火星年代記」を読んで

SF

今月、レイ・ブラッドベリ「火星年代記〔新版〕」がハヤカワ文庫から発行されてそれを読んだ。〔新版〕と表示されているのは、巻末の解説によると、1997年に原著を米国エイヴォン社から発行し直した際、 旧版では「1999年1月 ロケットの夏」とあった年代が…

私は妖怪腐れ外道か?

娘が「サムライスピリッツ」という対戦型格闘ゲームにはまっている。ゲームは好きなキャラクターを選んで、他のキャラクターと対戦する。父さん、私このなかの妖怪腐れ外道が好きなんだ。ほら、父さんに似ているじゃない。似ているのは腹が出ているところら…

銀座の柳並木が大変

東京銀座の柳並木が大変なことになっている。柳にヤナギルリハムシという害虫が大発生している。この害虫は特異的に柳の葉を食害するのだ。銀座の柳の葉が虫食いだらけになって無残な姿をさらしている。しかし、銀座だ、並木だ、殺虫剤は使えないだろう。柳…

日本画廊の山下菊二展

毎年夏、日本橋の日本画廊恒例の山下菊二展が今年も行われている(7月30日まで)。山下菊二は「あけぼの村物語」が代表作の優れた戦後の画家だ。以前ここで紹介したことがある。 ・山下菊二「あけぼの村物語」(2009年9月28日) 日本画廊は毎年夏に山下菊…

佐多稲子「夏の栞」が講談社文芸文庫から発売された

佐多稲子「夏の栞(しおり)ー中野重治をおくるー」は新潮文庫から発行されていたが、しばらく品切れだった。それが今回、講談社文芸文庫から発行された。その新聞広告から、 文学的友情で支え合った中野重治との永遠の別れを綴る感動の名作。 ここには何の…

今日は29回目の山本弘の祥月命日

今日は山本弘の29回目の祥月命日だ。山本弘は1981年7月15日に51歳で亡くなった。来年は没後30年ということになる。 生前の写真をここに紹介したい。今から37年前の1973年9月に山本一家の住むアパートの前で私が撮影したもの。当時山本弘43歳、愛子さんが32…

ギャラリイKの・・・・展「・・・・・・」が可笑しい

※作家からの要請により削除(2014年3月22日)

今野敏「初陣」の読後感

今野敏については、10日ほど前「今野敏『果断』が面白い!」(2010年7月2日)で紹介した。この警察小説は竜崎伸也大森署長を主人公として、「隠蔽捜査」「果断 隠蔽捜査2」「疑心 隠蔽捜査3」と続き、この5月にシリーズ4冊目の「初陣 隠蔽捜査3.5」が…

虫刺されの痛み痒みに朝顔の葉

朝日新聞7月11日の「声」欄に「虫刺されの痛み痒みに朝顔の葉」と題して、東京都江東区に住む無職68歳の八巻勇氏が投書している。 虫刺されに朝顔の葉汁が効くと知ったのは学生の頃、志賀直哉の随筆「朝顔」の一節「葉が毒虫に刺された時の薬になる……痛みで…

優れた描写力に感嘆! 銀座スルガ台画廊の松田一聡展

東京銀座6丁目の銀座スルガ台画廊で松田一聡展が行われた(10日まで)。松田は油彩で具象画を描いているが、その極めて優れた描写力に感嘆した。 松田は1973年京都生まれ、東京芸術大学大学院油画技法材料研究室を2000年に卒業している。個展は6年前にこの…

司馬遼太郎「ひとびとの跫音」を読む

司馬遼太郎「街道をゆく」全43巻は好きな作品で、朝日文庫で刊行されるのがとても楽しみだった。それに比べて司馬の小説はなぜか読む気になれなくて、1冊か2冊しか読んでないのではなかったか。特に英雄を描いた時代小説が苦手だったように思う。 最近、司…

四方田犬彦「『七人の侍』と現代」はお勧め

四方田犬彦「『七人の侍』と現代」(岩波新書)がすばらしい。四方田犬彦は明治学院大学で映画史を教えている。四方田にとって黒澤は偉大だが過去の映画監督だった。そう思っていたが、パレスチナとユーゴスラビアへ文化交流使として行ったとき、黒澤の映画…

ビルの中に作られた水田と菜園

私の勤める職場はビルの11階に食堂がある。食堂の窓から眺めると真向かいのビルの1階が何かやけに明るくて、あれは何だろうと同僚の間で話題になっていた。仕事の帰り道に覗きに行った。ガードマンが親切に案内してくれて、受付嬢たちが笑顔で説明してくれ…

ギャラリイKの奇妙な佐々木諒展「ねぎぼうず」

東京京橋のギャラリイKで佐々木諒展「ねぎぼうず」が開かれている(7月10日まで)。佐々木は1983年、長野県飯田市生まれ。今年多摩美術大学大学院彫刻専攻を修了した。彫刻を専攻したのにこの初個展は平面である。 作品は指で描いた顔の大きな絵が1点、そ…

資生堂ギャラリーの「チェコ写真の現在展」

東京銀座の資生堂ギャラリーで「チェコ写真の現在展」が開かれている(8月8日まで)。同展のちらしから、 近年、日本でもブックデザインや絵本、アニメーション映画をはじめとするチェコ芸術文化の人気が高まりつつあるなか、本展では、その独特な表現と作…

混乱する記憶

毎日新聞2010年6月6日の書評欄の「この人・この3冊」は「徳島高義・選による編集者としての寺田博」だ。寺田が編集した3冊、中上健次「枯木灘」、古井由吉「槿(あさがお)」、吉本ばなな「キッチン」を取り上げている。 寺田博氏に「ある酒場の終焉」と…

ギャラリー小柳の須田悦弘展

銀座1丁目のギャラリー小柳で須田悦弘展が始まっている。須田は木彫作家で、極めて写実的な植物を彫り、それに着彩している。本物の植物と見まごうばかりの高い完成度だ。 今回の展示は11点、それを広いギャラリーの壁や床などに設置している。まず一通り画…

今秋、山本弘個展が内定

今秋だが、3年ぶりに山本弘個展が内定した。いや昨年、銀座のギャラリーゴトウ2nd roomで小品展をやった。そこでは小さな部屋に小品を十数点並べた。大きな作品でも10号どまりだった。今回はまともな個展としてはギャラリー汲美での個展から3年ぶりだが、…

今野敏「果断」が面白い!

今野敏「果断」(新潮文庫)が面白い。副題が「隠蔽捜査2」と言い、「隠蔽捜査」シリーズ第2作だ。前作も面白かったが、本書はそれ以上に素晴らしい。あんまり面白くて1日で読んでしまった。前作同様主人公は竜崎伸也、今回は大森警察署長に降格されてい…