2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧
新国立劇場演劇研修所の第4期研修生の修了公演「美しい日々」を同劇場の小劇場で見た。作が松田正隆、演出が宮田慶子だ。第4期研修生の公演は先月リサイタルホールで「マニラ瑞穂記」を見て圧倒された。それで今回楽しみにして来た。役者たちはとても良か…
先に紹介した佐野眞一「甘粕正彦 乱心の曠野」(新潮文庫)で甘粕正彦は、武藤富雄を相手に日本の歴史上の人物で嫌いな人物、好きな人物を挙げている。嫌いなのは菅原道真と乃木大将で、好きな人物は悪源太義平だという。 菅原道真は左大臣まで昇進したが、…
東京日本橋の日本画廊で山下菊二展「COLLAGES」が開かれている(3月18日まで)。山下菊二展は日本画廊で毎年夏に開催されるが、今回は神奈川県立近代美術館鎌倉別館で開催中の「山下菊二コラージュ展」に合わせて開かれた。夏にも個展は開くという。 山下と…
ゴールディング「蠅の王」(集英社文庫)を読む。高校生の時に初めて読んでからほぼ45年ぶりの再読だ。当時非常に強い印象を受けたことを憶えている。こんな世界観があったのかと驚いた。「十五少年漂流記」を絶望的に書き直したものだと思った。第三次世界…
以前紹介した銀座の無料カフェを提供している播磨屋本店の宣伝カーが銀座の晴海通りを走っていた。 「真実身命を賭して天皇に献言します」 環境問題は、世俗の迷妄人間では対処不能の異次元的超難問題です。その克服は、超俗の「天皇」の「神通力」に頼る以…
先週のギャラリー戸村での山本弘展最終日に、山本さんの小学校時代の同級生の弟という方が来られ、山本弘15歳頃の自画像のコピーを持ってきて見せてくれた。 驚くべき早熟なデッサンだ。少年の頃から絵の巧さでは大人も舌を巻いていたという。未亡人の愛子さ…
東京駅の銀の鈴という待ち合わせ場所でベンチに座って本を読みながら時間をつぶしていた時、目の前に若い娘が座っていた。その娘はミニスカートから太い足を出して組んでいて、iPodか何かをずっと見ていた。下を向いているので長い髪が顔にかかり、眼が全然…
佐野眞一「甘粕正彦 乱心の曠野」(新潮文庫)を読んだ。関東大震災後の混乱にまぎれてアナーキスト大杉栄と伊藤野枝、それに大杉の甥の少年の3人を虐殺したというテロリストとして、その後満洲国を作った政治の黒幕として有名だ。 次の言葉は、1998年の読…
佐多稲子「時に佇つ」(講談社文芸文庫)はまぎれもなく第1級の名作だ。佐多の経験した過去の12のエピソードが語られる。佐多は感情の微妙な揺れ、心の襞をていねいに記述してゆく。最初の短篇は隅田川沿いの高速道路を走るシーンから始まり、車は高速を降…
先日「ヴァレンタインのゴディバ」(2011年2月13日)でポトラッチを紹介した。プレゼントの贈答で、キモは相手から高価な贈り物を受けとることではなく、相手に多額の出費をさせることなのだと指摘した。信じられないようなことかもしれないが、その実例を…
ギャラリー戸村で2月7日から始まった山本弘展の会期もあと2日を残すのみとなった。山本弘とはどんな画家なのか。山本は1930年に長野県で生まれ、生涯のほとんどを長野県飯田市で過ごして、1981年、いまから30年前に51歳で亡くなった。ひどいアル中の果て…
貴田庄が書いた伝記「原節子 あるがままに生きて」(朝日文庫)を読む。「伝説の女優」と言われた原節子のことを何も知らなかった。昨年渋谷のシネマヴェーラで岡田茉莉子特集を見たとき、小津安二郎の撮った「秋日和」に、初めて見るが何か存在感のある女優…
乗り換えのために電車を降りた私の前を若い女性が歩いていた。彼女のファッションは、ベージュの短パンに黒いストッキングだった。短パンは刺繍だかレースだかで飾られている。それは下着を連想したが、まぎれもなくアウターである。もちろんインナーに似せ…
六本木のShonandai MY Gyalleryで杉原民子展が開かれている(2月18日まで)。杉原は佐賀県生まれ、前回ギャラリートモスでの個展から1年4カ月ぶりの発表だ。今回はモノクロの小さなドローイング20点前後と大きなペインティングが1点、それに短時間で描き…
京橋のギャラリー戸村で開かれている山本弘展が2週目に入った。会場には50号2点、20号5点、12号1点、10号7点、ほかに小品を4点と、合計19点を展示している。今回良い作品を並べることができたと自負している。会場風景を紹介したい。 山本弘展 2011年…
ヴァレンタインが間近になって高級チョコレートのゴディバに客が群がっている。なぜか? ゴディバは高いから。バブルの頃贈り物に胡蝶蘭が選ばれた。当時胡蝶蘭は花茎1本1万円だった。胡蝶蘭とゴディバに共通するものは何か? 高価でしかも値段が推察でき…
井上ひさしのエッセイ「ふふふ」(講談社)を読む。雑誌「小説現代」に連載したものをまとめたもの。途中までは400字詰め原稿用紙2枚程度の長さだったが、のちに6枚くらいに増やされた。こんなに少ない分量でも興味深いことが書かれるのだ。 まず「林芙美…
末盛千枝子の「人生で大切なことはすべて絵本から教わった」(現代企画室)は東京・代官山にあるヒルサイドテラス(槙文彦設計)の一角にある会員制図書室で1年間にわたったセミナーをまとめたものだ。末盛は初め絵本の出版社で編集者をし、のちに自分の出…
丸谷才一の「コロンブスの卵」(筑摩書房)を読んだら、石川淳の「文学大概」(中公文庫)のことを優れた文学入門書だと推薦している。 文学入門の書といふものがある。おほむね詰まらぬことがゴチャゴチャ書いてあるだけで、読むに価しない。なるべくなら、…
近所の小さな植物園の福寿草が咲いた。昨年末に蕾を出し、先週の日曜日に蕾の頭が黄色くなっていた。それが2月6日の日曜日にはこんな風に咲きほこっていた。 フキノトウも大分大きくなっていた。 昨年は誰かに残らず採られてしまったが。
山本弘の作品をギャラリー戸村に搬入して、「流木」と「削道A」をよく見たら、先日書いた「削道」についての感想を訂正しなければならなくなった。 同じ時(1978年)の個展に発表したやはり赤が主体の「削道A」という作品もある。 「削道」とは辞書にはない…
2月3日の朝日新聞に哲学書の広告としては異例の大きな新聞広告が掲載された。ハイデガーという20世紀最大の哲学者の決してやさしくはない本格的な哲学書で、分厚くて5,040円もする。この大きさの広告代は200万円くらいするのではないか。この広告のコピー…
1月10日の朝日新聞「GLOBE」に写真の特集があって、11人の写真家への質問と答えが載っていた。質問は、1.いつも使っているカメラは? 2.撮りたいものは? 3.写真はどうなるのでしょうか? というものだったが、このうち1.の「いつも使っているカメ…
ここ数年かもっとか、節分に恵方巻きを食べるのが流行っているらしい。どうして誰も言わないのだろう? あれってすごく下品な食べ方だって。どうしても何やら怪しい行為を連想してしまう。 これに比べたら、廣田新七氏(仮名)がニューヨークのレストランで…
東京・京橋の戸村美術で山本弘展が開かれる。DM葉書の絵は「流木」という作品を選んだ。以前から、なぜこの絵が「流木」と題されているのか不思議だった。葉書を見た山本さんの娘の湘ちゃんからメールをもらって、その謎が分かった気がした。湘ちゃんのメー…
昨年末に芽生えを確認した墨田区の小さな植物園の福寿草が、ひと月後の1月末になってようやく蕾が黄色くなっていた。こんなに時間がかかるとは知らなかった。 ・福寿草が芽生えていた(2010年12月28日)
「月刊ギャラリー」2月号に戸村美術での山本弘展が紹介された。 山本 弘展 1930年長野県で生まれた山本弘は、東京で滝川太郎に師事していたこともあったが、20代から再び長野県飯田市に戻り制作を続ける。アルコール依存症に苦しみながら抽象画を描き続け、…