2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧
2019年は126冊の本を読んでいる。その中から特に良かったものを挙げてみる。順不同、思いつくままに並べていて、決して良い順というわけではない。小説は2冊だけで、どちらもスタニスワフ・レムのSFだ。美術史が3冊。音楽論が5冊だが、その内4冊が片山杜秀だ…
知人に勧められ江原順『日本美術界腐敗の構造』(サイマル出版会)を読む。1978年、もう40年以上前に出版された本。時事的な内容を扱っているので面白いのだが古さは否めない。「まえがき」の冒頭で以下のように書かれている。 この本を書くか、書かないか、…
東京上野の東京都美術館と東京藝術大学で東京藝術大学卒業・修了作品展が開かれている(2月2日まで)。その中からいくつかを紹介する。 須田紘平 田村なみちえ 上川桂南恵 赤澤玉奈 井上園子 和久千文 水野千尋 小林茉莉 驫木麻左臣 葛城龍哉 白井雪音 澤村…
島尾新『水墨画入門』(岩波新書)がとても良い。島尾は元東京国立文化財研究所勤務。島尾についてはこのブログでも何度か紹介している。 何かの本で水墨画については、矢代幸雄『水墨画』(岩波新書)がいいと書かれていた。たしかに良い本だったが、古いの…
長谷川義史『絵本作家のブルース』(読書サポート)を読む。長谷川が季刊雑誌『この本読んで!』の巻頭に見開き2ページで連載しているものを単行本化したもの。B5判の大型本で、季刊だから年に4回発行、33回までが収められている本書は8年以上連載したこと…
東京ステーションギャラリーで坂田一男展「捲土重来」が開かれている(1月26日まで)。ちらしの文章を引く。 キュビスム以降の抽象絵画の展開を核心で理解し、その可能性を究極まで押しすすめた画家坂田一男(1989-1956)。世界的にも稀有な高い次元に到達…
東京八丁堀のhinoギャラリーで多和圭三 多摩美術大学退職記念展が開かれている(2月15日まで)。多和は1952年愛媛県生まれ、1978年日本大学芸術学部美術学科彫刻専攻卒業、1980年日本大学芸術学部芸術研究所修了、2009年多摩美術大学彫刻科教授就任、そして…
道浦母都子『無援の抒情』(岩波同時代ライブラリー)を読む。感動して読み終わって、いくつか知っている歌やエッセイがあるのはどこで知ったのだったのかと考えていた。念のためにこのブログを検索したら4年前に読んで感想をアップしていた。すっかり忘れて…
東京銀座の中和ギャラリーで柴田和×池田孝友 二人展が開かれている(1月25日まで)。柴田は1934年生まれ、帝国美術学校(武蔵野美術大学の前身)を卒業。1960年代、美術グループ乱立の時代はネオ・ダダのメンバーらとも一緒に活動していた。1963年、最後の読…
東京銀座のStepsギャラリーで倉重光則「光と物の間」が開かれている(1月25日まで)。薄暗くなっているギャラリーの床にネオンが並んでいる。青い光を放っていて、それがとてもきれいだ。 壁面に倉重のテキストが貼られている。50年前に書いた文章だという。…
東京京橋のギャルリー東京ユマニテbisで川野昌通個展「鉄―徴表」が開かれている。川野は1995年、大阪府豊中市生まれ。2018年に大阪芸術大学芸術学部工芸学科金属工芸専攻を卒業し、今年金沢美術工芸大学大学院美術工芸研究科彫刻専攻を修了予定。今回が初個…
三島由紀夫『告白』(講談社文庫)を読む。副題が「三島由紀夫未公開インタビュー」、TBSの社内倉庫から平成25年に発見された録音テープを起こしたもの。三島の『太陽と鉄』などの翻訳者であるジョン・べスターが三島にインタビューしたテープだった。録音日…
河合隼雄・阪田寛夫・谷川俊太郎・池田直樹『声の力』(岩波現代文庫)を読む。本書は2001年に小樽市で行われた絵本・児童文学研究センター主催の講演・討議を記録したもの。4人が子供たちの歌や語りについて話している。私にはあまり縁のない世界で読んでい…
東京京橋のギャラリーなつかでチョン・ダウン展「酔ひどれ船」が開かれている(2月1日まで)。チョンは1989年韓国生まれ、2015年武蔵野美術大学造形学部油絵学科版画専攻を卒業し、昨年同大学大学院版画コースを修了している。2015年と2018年、このなつかで…
東京京橋のギャルリー東京ユマニテで奥村浩之彫刻展「Ciclo/Cycle」が開かれている(2月1日まで)。奥村は1963年石川県生まれ、1986年に金沢美術工芸大学彫刻科を卒業し、1988年に同大学大学院修士課程を修了している。その翌年メキシコに渡り、以来メキシコ…
マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット構成・絵、谷川俊太郎 詩の『あのひと』(スタジオジブリ)という〈やおい〉絵本を読む。 谷川俊太郎の詩が「私はひとり そらのした/私はひとり くさのうえ/私はひとり ひとりがいい/あのひとを ゆめみて」と書かれ、…
横浜桜木町の横浜市民ギャラリーで第8回横浜開港アンデパンダン展が始まった(1月19日まで)。その「特別展示 横浜の縄文、美と力」に山本弘を出品した。「削道AB」(30F)と「黒い丘」(10F)、「川」(10F)、「森」(4F)の4点の油彩と書「泥遊」だ。 今…
池袋の中華料理店新珍味でタ―ローメンを食べる。タ―ローメンについては店頭の看板に説明がある。 同店が65年の長きに渡りその味を守り続けてきたという、名物《タ―ローメン》は酸味と辛みとニンニクの香りがクセになる、餡かけラーメンです。ラーメンの上に…
藤森照信+大和ハウス工業総合技術研究所『近代建築そもそも講義』(新潮新書)を読む。明治以後の日本近代建築の歴史を上下水道から始めて具体的に詳しく語ってくれる。 東京の防火計画で暗くなった室内に明かりを取り入れるために窓を作りたいが硝子は高価…
東京品川御殿山の原美術館で加藤泉展が開かれている(1月13日まで)。加藤は1969 年島根県⽣まれ。1992 年武蔵野美術⼤学造形学部油絵学科卒業。1993年にモリスギャラリーで初個展。 原美術館のホームページから、 原始美術を思わせるミステリアスで⼒強い⼈…
鬼海弘雄『SHANTI』(筑摩書房)を見る。インドの子どもたちを撮った白黒の写真集。170点近くの写真が1ページ1枚掲載されている。鬼海は浅草寺の境内に来るちょっと変わった人たちの肖像写真で有名だ。境内で待っていて、変な人が来ると声をかけて撮っている…
東京銀座の藍画廊で立原真理子展が開かれている(1月18日まで)。立原は1982年茨城県生まれ、2006年に女子美術大学芸術学部洋画専攻を卒業し、2008年に東京芸術大学大学院美術研究科修士課程を修了している。2007年に銀座のフタバ画廊で初個展を開き、その後…
東京銀座のギャラリー・オカベで番留京子版画展「be born again」が開かれている(1月18日まで)。番留は富山県生まれ。1985年、創形美術学校を卒業している。1986年、ギャラリー青山で初個展。以来多くのギャラリーで個展を開いてきたが、最近はギャラリー…
宇野千代『青山二郎の話・小林秀雄の話』(中公文庫)を読む。青山、小林と併記されているが、青山が全体の3/4を占め、その中でも「青山二郎の話」が全体の半分を占めている。「青山二郎の話」は宇野が最晩年に雑誌に連載していたもので、おそらく執筆途中…
ジェニファー・アッカーマン『鳥! 驚異の知能』(ブルーバックス)を読む。副題が「道具を作り、心を読み、確率を理解する」というもの。著者はサイエンスライターで、数多くの鳥類学者たちにインタビューして、その結果を本書にまとめている。通常の新書の…
須藤靖「我々は宇宙人をどこまで理解できるか」を読む。東大出版会のPR誌『UP』2019年12月号に掲載されたもので、連載エッセイ「注文(ちゅうぶん)の多い雑文 その48」になる。 テーマは、地球人と宇宙人は互いのメッセージを理解できるのか。 これは我々が…
元旦は近所の吾嬬神社へ初詣に行ってきた。吾嬬神社は東京都墨田区立花に位置している。早朝7時ころ行ったが。参拝客は私のほかたった2人だった。実は吾嬬神社はきわめて古い神社なのだ。最寄りの駅は東武亀戸線東あずま駅だし、東吾嬬小学校や橘吾嬬の森小…
謹賀新年2020年元旦 老残と言っぱ樹上の裂け柘榴 幽草 豪雪教える百舌のハヤニエ 正好 ※幽草さんはわが岳父、現在96歳で健在だが、句は11年前のもの