中和ギャラリーの柴田和×池田孝友 二人展を見る

 東京銀座の中和ギャラリーで柴田和×池田孝友 二人展が開かれている(1月25日まで)。柴田は1934年生まれ、帝国美術学校(武蔵野美術大学の前身)を卒業。1960年代、美術グループ乱立の時代はネオ・ダダのメンバーらとも一緒に活動していた。1963年、最後の読売アンデパンダン展で出品拒否を受ける。翌年から空間創りを街中に移し、環境美術の提唱者となる。しかし、大阪万博前後から渓流釣りのフライフィッシングにのめりこんでいく。それが20年前後も続いた。その間もデザインと設計建築の会社を経営し、シバ・アートというギャラリーも開いていた。しばらく作品の発表からは遠ざかっていたが、ここ数年来再び都内のいくつもの画廊で個展を始めている。
 もう一人の池田は1979年大阪府生まれ、大阪で活動しているが、中和ギャラリーでも何度か個展を開いている。今回は画廊主の企画でこの二人展となった。
 まず柴田のテキストから、

「無彩色の空間いろいろ(ヒモ、繋ぐ)」

 

小生は以前からグレーを中心に無彩色の空間を創っていた。作品より無彩色の影の方がより実態らしい!という考え方だ。フランスの美術雑誌社も”日本の影法師作家だ!”なんておだてて特集を組んだりしてくれた。
今回はそんな色具合(無彩色)のみを使い、アートとデザインのコラボみたいにやってみた。両者が概念として落ち合う視覚面でモノをみいだすように……何パターンかで試みた。

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 柴田は箱の作品を作っている。箱のアートといえばコーネルを思い出す。しかしコーネルの神経質さは柴田にはない。柴田は本質的にユーモアがある作家だ。ユーモアを標榜するのではないが、自然に作品に現われてしまう。おそらく作家としての資質に関わっているのだろう。もう一つの特筆がシュールレアリスムではないだろうか。互いに無関係なものの組み合わせで、新しい世界を生み出している。
 だが、柴田の本領は画廊に収まらない巨大な造形なのだ。画廊に並んでいるのはそれらのマケットなのだろう。機会が与えられれば柴田は街中に大きな造形を展示するだろう。今年86歳になるが、100歳まで生きると言いきっている柴田にそれだけのエネルギーはあるはずだ。もっとも今年の春には柴田を中心とした野外の大きなプロジェクトが計画されているらしい。今年も柴田の動向に注目したい。
 もう一人の作家池田孝友の作品を以下に紹介する。

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柴田和×池田孝友 二人展
2020年1月20日(月)―1月25日(土)
12:00-19:00(最終日17:00まで)
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中和ギャラリー
東京都中央区銀座6-4-8 曽根ビル3階
電話03-3575-7620
http://www.chu-wa.com