2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧
門田秀雄さんが亡くなったという。2月20日に群馬県の施設でだった。門田さんは美術評論家で美術作家だった。美術批評誌『構造』を一人で主宰・発行していた。最後に発行したのは2003年6月の第14号だった。2007年にまだ次の第15号を発行すると言われていた。…
荒川洋治 編『昭和の名短篇』(中公文庫)を読む。荒川洋治は現代詩人だが、本の読み巧者でもある。荒川の取り上げる書評は面白く私は絶大な信頼を寄せている。その荒川が取り上げた昭和の名短篇のアンソロジー。志賀直哉から色川武大までの14人の作家の14作…
東京外苑前(神宮前)のトキ・アートスペースで吉川和江展が開かれている(4月10日まで)。吉川は東京生まれ、1969年に武蔵野美術大学を卒業し、1976年ドイツのハンブルグ国立美術大学に入学し、1986年に同校を卒業している。現在ハンブルグ在住。1983年ハ…
小山登美夫『“お金”から見る現代アート』(講談社+α文庫)を読む。現代アートの代表的なギャラリスト小山登美夫が現代アートと呼ばれる最近の美術ついて、主に経済的な面から紹介している。「現代アートビジネスの入門書」というのが惹句。もっとも本書の親…
東京谷中のスカイ・ザ・バスハウスで遠藤利克展が開かれている(5月14日まで)。5年前に埼玉県立近代美術館で遠藤の大規模な回顧展があった。その時の美術館のちらしから、 遠藤利克(1950−)は現代日本を代表する彫刻家です。1960年代から70年代にかけて芸…
東京上野の東京都美術館で「人人展」が開かれている(3月31日まで)。「人人展」は異端の日本画か中村正義の提唱で生まれたグループ展だ。昨年はコロナで開催を見送ったが今年は予定通り開催された。 長く事務局長を務めてきた郡司宏が2020年の11月に亡くな…
東京六本木の国立新美術館で日本アンデパンダン展が開かれている(4月4日まで)。今まで知人たちが毎年出品していたのに、みな高齢のためか名前が見当たらなかった。残念だ。 気になった何人かの作品を紹介したい。 井上活魂「ぼくとおばあさん」 井上活魂…
江藤淳『石原慎太郎・大江健三郎』(中公文庫)を読む。江藤が石原と大江について書いたのをまとめたもので、文庫オリジナルとうたっている。とはいえ、石原への言及が多く、大江に関しては初期に高く評価したものの、『万延元年のフットボール』あたりから…
高見順の詩「三階の部屋」を引く。 三階の部屋 窓のそばの大木の枝に カラスがいっぱい集まってきた があがあと口々に喚(わめ)き立てる あっち行けとおれは手を振って追い立てたが 真黒な鳥どもはびくともしない 不吉な鳥どもはふえる一方だ おれの部屋は…
東京銀座の銀座K’sギャラリーと東京高円寺のポルトリブレ デ・ノーヴォで郡司宏遺作展が開かれている(3月26日まで=K’s、3月28日まで=ポルト)。郡司は1952年東京都生まれ、初め版画を制作していたが、その後タブローを発表していた。個展は1985年のシロ…
東京銀座のギャラリーナユタで中津川浩章展「木と話す」が開かれている(4月9日まで)。中津川は1958年静岡県生まれ。和光大学で学び、個展をギャラリイK、パーソナルギャラリー地中海などで数回ずつ開き、その他、ギャラリーJin、ギャラリー日鉱、マキイ…
曹良奎「密閉せる倉庫」 曹良奎という画家がいた。在日の画家だった。優れた絵を描いていたが、差別に苦しんだようで、北朝鮮への帰国運動のとき、北へ行ってしまった。曹自身は現在の韓国の済州島出身だったが。作品はほとんどを持って行って、洲之内徹や針…
高見順『死の淵より』(講談社文芸文庫)を読む。1963年(昭和38年)、高見順は食道がんと診断され、手術を受ける。翌年6月、再度入院し手術を受ける。詩集「死の淵より」を発表する。これによって野間文芸賞受賞。12月入院し手術を受ける。翌1965年3月、ま…
筒井康隆『誰にもわかるハイデガー』(河出文庫)を読む。副題が「文学部唯野教授・最終講義」で、32年前の1990年に池袋西武スタジオで講演した講演録。それに大澤真幸が長い解説を付けている。 いや、筒井康隆のハイデガーなんてどうせ面白エッセイの類だろ…
東京銀座のギャラリー枝香庵で野澤義宣展が開かれている(3月25日まで)。野澤は1947年東京都生まれ。1966年寛永寺坂美術研究所に学ぶ。1974年臥牛会を結成(2006年退会)。以前は真っ黒な画面を作っていた。現在は基本的に抽象的な作品を描いているが、同…
東京表参道のギャラリーMUSEE Fで高柳恵里展が開かれている(3月19日まで)。高柳は1962年神奈川県生まれ。1988年に多摩美術大学大学院美術研究科を修了し、1990−1991年イタリア政府給費留学生としてミラノ国立美術学院に留学している。現在多摩美術大学教…
東京銀座の藍画廊で日比野絵美展が開かれている(3月26日まで)。日比野は1986年神奈川県生まれ、2009年に日本大学芸術学部美術学科版画コースを卒業し、2011年に同大学大学院芸術学研究科博士前期過程を修了している。2011年に藍画廊で初個展、その後も藍…
東京京橋のクロスビューアーツでこづま美千子展が開かれている(3月26日まで)。クロスビューアーツはギャラリーなつかの小さいスペース。こづまは1987年に多摩美術大学美術学部絵画科油画専攻を卒業。1984年から個展やグループ展で発表を続けている。1988…
東京銀座の東京画廊+BTAPで関根美夫展が開かれている(3月19日まで)。関根美夫(1922―1989)は和歌山県生まれ、1954年に具体美術協会の結成に加わったが、1959年には同協会を脱退する。関根は読売アンデパンダン展で初めて「そろばん」の絵画作品を発表す…
閻連科『年月日』(白水uブックス)を読む。閻連科は「えんれんか」と読み、1958年生まれの中国の作家。2014年には村上春樹に続いてアジアでは二人目となる、フランツ・カフカ賞を受賞している。 本書は象徴的な小説で、ヘミングウェイの『老人と海』やカフ…
谷口忠大『僕とアリスの夏物語』(岩波科学ライブラリー)を読む。副題が「人工知能の、その先へ」とあり、帯には「まさかの青春小説×本気の解説」とある。青春小説? 岩波科学ライブラリーは科学の普及書ではなかったか。 本書は小説とAI解説の2部構成にな…
DM葉書 東京日本橋小舟町のガルリH(アッシュ)で古井彩夏展「作為の優位性」が開かれている(3月19日まで)。古井は1988年東京都生まれ、2011年に女子美術大学立体アート学科を卒業し、2013年に女子美術大学大学院立体芸術研究領域を修了している。個展は2…
長く銀座で営業していた中和ギャラリーが三越前に移転して、3月8日より営業を開始した。最近三越前で営業していたギャラリー砂翁が神宮前に移転したが、入れ替わりに中和ギャラリーが移転してきたことになる。 こちらには以前から中和ギャラリーの姉妹店ア…
東京銀座の藍画廊で福田正明個展「考察―オタクについて―」が開かれている(3月14日まで)。福田は1986年神奈川県生まれ、和光大学を卒業している。初個展はギャラリー坂巻、最近はここ藍画廊でもう数回個展を開いている。 福田は流行りの若い娘の美人画を描…
北川央『大坂城』(新潮新書)を読む。北川は大阪城天守閣館長、大坂城や城づくりなどに関する著書多数とある。大坂城に関するエピソードを50篇まとめたもので、豊富な知識から面白いネタを繰り出してくれる。 秀吉は大徳寺の総見院に信長の墓を作った。しか…
東京銀座の養清堂画廊で「ヒットパレードIII」が開かれている(3月12日まで)。参加者は小野耕石、重野克明、染谷悠子、松田修の4人。ここでは重野克明を紹介する。重野は1975年千葉市生まれ、2003年に東京藝術大学大学院修士課程美術研究版画専攻を修了し…
東京三越前にあったギャラリー砂翁&トモスが東京神宮前に移転し、3月1日から16回目の「希望展―新しいドアをあけて―」で営業を再開した。希望展には佐藤杏子、杉原民子、野澤義宣、和田祐子など30人以上の作家たちが参加している。 ギャラリーの正面 新しい…
DM葉書 東京神宮前のトキ・アートスペースで森岡純展が開かれている(3月6日まで)。森岡は1949年島根県隠岐島生まれ。いままで長くギャラリー檜で個展を続けてきた。 森岡はいつも日常的な風景を撮っている。人物が登場することはあまりない。街の一角や…
東京表参道の表参道画廊でマギー・J・リー展「端役」が開かれている(3月5日まで)。マギー Maggie J Leeはマレーシア生まれ、日本工学院専門学校で舞台技術を学んだ後、和光大学芸術学科へ編入して現在同大学3年生。 アーチ 屋根 街灯 レンガ マギーは普…
東京中央区の日本橋三越本店6階美術特選画廊で内田あぐり展「ながれ」が開かれている(3月7日まで)。これは第2回JAPA天心賞受賞記念として企画されたものだ。 内田は現在武蔵野美術大学名誉教授。2020年に神奈川県立近代美術館葉山で個展、またその後丸…