東京銀座のギャラリーナユタで中津川浩章展「木と話す」が開かれている(4月9日まで)。中津川は1958年静岡県生まれ。和光大学で学び、個展をギャラリイK、パーソナルギャラリー地中海などで数回ずつ開き、その他、ギャラリーJin、ギャラリー日鉱、マキイマサルファインアーツ、Stepsギャラリー、櫻木画廊等々で開いている。
DM葉書に書かれた中津川のことば。
木はいつも話しかけてくる。でもその声は忙しく動き回っている人にはなかなか届かない。
病気の人、障害のある人、立ち止まって考えている人、途方に暮れている人、そんな人たちには何故かその声は内側から聞こえてくる。木を話すこと。木を描くことでその体験を届けられればと思う。
個展のタイトル「木と話す」にあるように、今回は身近にある実際の木を描いているという。それは日本画家の浅見貴子と共通する。二人とも初期には抽象画を描いていたが、ある時から具体的なものを描くようになった。浅見の場合はそれが樹木の葉群だったが、中津川は樹木であったり海や川や舟、動物であったりしている。人や鳥も描かれている。また二人に共通しているのは、それらを写実的には描かないことだ。
今回広くはない画廊が樹木の絵で取り囲まれ、あたかも森の中のようになっている。画廊の入口から森を眺め、画廊に入って森に囲まれているのを体験するという銀座の真ん中で得難い経験をしてみるのも一興ではないだろうか。
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中津川浩章展「木と話す」
2022年3月18日(金)―4月9日(土)
12:00-19:00(最終日17:00まで)水曜・木曜休廊
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ギャラリーナユタ
電話03-3567-4330
※銀座名物の画廊ビルである奥野ビル5階