東京谷中のスカイ・ザ・バスハウスで遠藤利克展が開かれている(5月14日まで)。5年前に埼玉県立近代美術館で遠藤の大規模な回顧展があった。その時の美術館のちらしから、
遠藤利克(1950−)は現代日本を代表する彫刻家です。1960年代から70年代にかけて芸術の原理をラディカルに問い直したミニマリズムや「もの派」の洗礼を受けながらも、それらの地平を越えることを課題として、遠藤は1980年代の現代美術シーンに関わっていきました。美術における物語性の復権を掲げた遠藤の作品では、舟や桶、柩などのモチーフが古の文化や神話的な物語を喚起する一方、水や火などのプリミティヴな要素が、人間の生命の根源にあるエロス(生の衝動)とタナトス(死の衝動)を呼び覚まします。作品の圧倒的な大きさは身体感覚にダイレクトに働きかけ、畏怖と恍惚が、そして生と死が一体となった、より高次元の間隔へと観る者を導いていきます。それは遠藤にとって、芸術を通じて「聖なるもの」に近づくことなのです。
広い画廊の中央に黒く焦げた棺桶が置かれている。実際に人の遺体を収める棺桶より少し大きいようだ。使われている木材もかなり厚いものを使っている。
スカイ・ザ・バスハウスは大きな画廊なのに作品が小さいと感じたのは、いつも遠藤が個展をしていた秋山画廊では、画廊いっぱいの大きな作品を展示していたから。あるいはスカイ・ザ・バスハウスは秋山画廊と違って企画画廊だから、大きすぎるのは売れないと考慮したのだろうか。埼玉県立近代美術館でも大きな作品に圧倒されたので、ついそんな作品を期待してしまった。
黒焦げの棺桶のほかに、鉛と鏡を使った小品が展示されていた。
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遠藤利克展
2022年3月8日(火)―5月14日(土)
12:00-18:00(日・月・祝日休廊)
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スカイ・ザ・バスハウス
東京都台東区谷中6-1-23
電話03-3821-1144
https://www.scaithebathhouse.com