東京中央区の日本橋三越本店6階美術特選画廊で内田あぐり展「ながれ」が開かれている(3月7日まで)。これは第2回JAPA天心賞受賞記念として企画されたものだ。
内田は現在武蔵野美術大学名誉教授。2020年に神奈川県立近代美術館葉山で個展、またその後丸木美術館でも個展を開いていた。どちらも見逃していて、今回初めて内田の個展を見ることができた。素晴らしい個展だと思う。
私は現代の日本の絵画では野見山暁治が正統の位置を占めていると考えているが、洋画と日本画の違いはあれども、野見山の後継は内田あぐりではないだろうか。外連味もなくひたすら正面から描いて優れた絵画を作っている。
また多数のドローイングが展示されているが、それらもきわめて魅力的だった。
野見山がかつて自身とわが師山本弘との類似を指して、二人のものの見方が似ているのだろうと言われた。すると、野見山と内田も、ものの見方が似ているのかもしれない。
内田の個展を初めて見て、今まで知ることのなかった不明を恥じるとともに、これから内田を見るという楽しみができたことを喜ぶ。
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内田あぐり展「ながれ」
2022年3月2日(水)―3月7日(月)
10:00―19:00(最終日17:00まで)
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日本橋三越本店6階美術特選画廊
電話03-3241-3311