2009-08-01から1ヶ月間の記事一覧

いいカモに見えるらしい

10年ほどの間に数回声をかけられた。歩道を歩いている私に乗用車などで近づいてきて側へ止まり、これをあげるよと小さな箱を差し出す。高級ブランドの腕時計だという。決まっているのは、車には男が二人乗っていて、ちゃんとしたスーツを着ていること、助手…

ビッグマックの値段

数日前の日経NETニュースによれば、ビッグマック1個を買うための各国の労働時間の比較が紹介されていた。東京:12分 ソウル:27分 北京:44分 バンコク:46分 ジャカルタ:2時間16分 ビッグマックって日本でも地域によって少し値段が違うみたいだけれど、…

岡田斗司夫の回答が秀逸

今日の朝日新聞の「悩みのるつぼ」は相談者が50歳の主婦。大学2年生一人暮らしの20歳の一人娘が、帰省した折りダッコをせがむことを、いい年をしてこんな風でいいのかと相談している。 岡田斗司夫の回答が優れている。「安心してください。あなたの娘は自立…

開高健「人とこの世界」〜岡本太郎、中井恒夫

佐藤優責任編集「現代プレミアーーノンフィクションと教養」(講談社)で佐野眞一がこう発言している。 佐野 でも、僕はノンフィクションは必ずしも移ろいやすいとは思わない。移ろわない作品という意味で、開高健の最高傑作ノンフィクションは対談集の「人…

マリーゴールドに大発生したハダニ

都営住宅の前にある植え込みのマリーゴールドにハダニが大発生している。白く糸を張るのを見てもハダニがクモの仲間であることが分かる。ハダニというのは植物の葉や花に寄生して樹液を吸うので「葉ダニ」なのだ。動物や人に寄生することは全くない。 こんな…

こわいこわい検察官のはなし

佐藤優がこわい話をしている。検察官の被疑者に対する追いつめ方がすごいらしい。佐藤優・佐野眞一・加藤陽子の鼎談から。「ノンフィクションと教養」(講談社) 佐藤 もう一つ、検察の作る「真実」を信じ切れなくなった例が、佐野さんもお書きになった、199…

ギャラリー現の中村岳展がおもしろい

銀座1丁目のギャラリー現で中村岳展が開かれている(29日まで)。このインスタレーションがおもしろい。 作品は写真で見るように柱を組み合わせたものだ。日本建築の柱梁構造の骨格を再現したように見える。しかし実はこれが非常に複雑で、見る位置によって…

樹木の名前

樹木の名前をほとんど知らない。まあ、松を知らなかった三島由紀夫ほどではないが。近くの公園で変わったものを見つけた。虫こぶのエゴノネコアシだ。 エゴノネコアシはエゴノネコアシアブラムシがエゴノキの果実に食入してつくる虫こぶだ。この虫こぶができ…

黄龍起の写真展「筑豊・ケツワリ峠」がとてもいい

銀座ニコンサロンで開かれている黄龍起(ファン・ヨンギ)の写真展「筑豊・ケツワリ峠」がとてもいい。作家は韓国の大学を卒業した後来日して日本で写真を学んでいる。ニコンサロンのホームページから。 2006年、ある日の夕方、作者は「田川」で日本に住んで…

ランボーの「別れ」

この頃なぜかしきりにランボーの「地獄の季節」の1章「別れ」が思い出される。まず小林秀雄の訳で。 友の手が何だと俺は語ったか。有難いことには、俺は昔の偽りの愛情を嗤(わら)うことが出来るのだ。この番(つがい)になった嘘吐きどもに、思いきり恥を…

広島と東京のセミ

テレビで広島市の原爆慰霊祭のニュースを見た。激しいセミの声が聞こえている。それはほとんどクマゼミのようだ。クマゼミは戦後北上を続けている大型のセミだ。数日後の長崎市の慰霊祭でも聞こえるのはすべてクマゼミのようだった。 私の住む墨田区の公園で…

「象は世界最大の昆虫である」を読んで

読売新聞の書評欄に読書に関する質問が載った(8月16日)。 病院の待ち時間は、いつ名前を呼ばれるかわからないので、なかなか本に集中できません。気持ちが軽くなる本(の紹介)をお願いします。(大阪市 主婦 44歳) 回答者は政治学者・日本政治思想史の…

愛の行方

愛し合う二人が脱出を試みる。先にリーマスが壁を乗り越え、続くリズの伸ばした手をつかんだ。 突然、全世界が焔の海に落ちこんだかに見えた。上方から、左右から、あらゆる個所から、強烈な光線が集中して、残酷な正確さで、ふたりの姿を浮かびあがらせた。…

ミステリとSEX

ミステリとSEXは似ている。どちらも結末を追い求める。ミステリの謎の解明を求めて読み進めるが、待望の謎が解き明かされたときは物語が終わるときだ。だからといって、それらの過程が目的なのではない。

お礼の礼儀作法

以前読んだ扇谷正造の礼儀の本に、画家から個展の招待状をもらったときの対応が書かれていた。原則として、作品を1点買うことが期待されているし、その期待には応える必要がある。もし経済的にそれが難しければ、花や菓子、酒などを手土産として持参するこ…

練馬区立美術館の「絵画の、あつみ」展

練馬区立美術館でコレクションによる企画展「絵画の、あつみ」を開催している(23日まで)。これは「絵画の外側に付随している額装や表具についての問いを展示の背骨にしてい」るという。 毎週土曜日は学芸員による「あつみ体感ギャラリートーク」がある。額…

好きな役者2人

好きな役者といえばまず中村美代子。俳優座の女優で1924年生まれ。木冬社の芝居で何度か見たが、脇でごちゃごちゃ言っているおばあちゃんのような役が多い。坂本竜馬を描いた清水邦夫の「弟よ」とか、「冬の馬」「わが夢に見た青春の友」・・・。 3年前に見…

中森明菜のSONGS、「悪女」を歌った

12日のNHK総合テレビ「SONGS」は中森明菜だった。スタジオで何曲か歌っていた。カバーアルバムがヒットしているそうで、今回歌ったのも中島みゆきの「悪女」、石川セリの「ダンスはうまく踊れない」、尾崎豊の「I love you」、ユーミンの「ベルベット・イー…

小谷野敦のAMAZONの書評がユニーク

AMAZONに掲載されている小谷野敦の書評がユニークで面白い。★☆☆☆☆は5点満点の評価1点の意味。 『寝園 』(講談社文芸文庫) 横光 利一著★☆☆☆☆いや驚いた どういう役がらで横光利一というのが当時大作家扱いされたのか、ぜひ研究しなければならん。「機械」そ…

原田かほるの句

長谷川櫂「麦の穂ーー四季のうた2008」(中公新書)に原田かほるの冬薔薇の句が紹介されていた。真夏に冬の季語の句だが。 咲 き 次 ぎ て 冬 薔 薇 と な る 人 も ま た 寒さに耐えて咲く冬の薔薇は、夏の薔薇と違って清らかな印象がある。この句は「冬薔…

スパイ小説の傑作「寒い国から帰ってきたスパイ」

ジョン・ル・カレ「寒い国から帰ってきたスパイ」(ハヤカワ文庫)を読む。30年振りの再読だが内容はほとんど忘れていた。しかし文句なく傑作であることは再確認した。本書はル・カレの3作目で、評者によっては代表作とする意見もあるが、ル・カレの最高傑…

進化は個体の死に興味を持たない

私の住むマンションは結構大きくて、端から端まで100メートルくらいある。北側の長い廊下を通ってダストシュートに行く時、しばしば廊下の隅ににひっくり返っている落ちゼミを見かける。飼っている猫のお土産にしようと拾おうとすると逃げてしまう。衰弱して…

無人島プロダクションのChim↑Pom展

高円寺の無人島プロダクションでChim↑Pom展「FujiYAMA, GEISHA, JAPAnEse!!」が開かれていた(8月8日まで)。 ギャラリー内には写真やオブジェなどが展示してあるが、目玉は実は窓外のパフォーマンスだ。無人島プロダクションは高円寺のビルの3階にある。…

濡れ場の表現いろいろ

私は以前「ねじめ正一『荒地の恋』を読んで、また猫山のこと」(2007年11月19日)に、ねじめ正一が書いた晩年の北村太郎の伝記で、北村が若い恋人阿子と知り合い「北村は合羽橋で買った専用の小鍋で上手に親子丼を作った。二人で向かい合って食べ、それから…

直木賞作家・車谷長吉の奇人変人ぶり

先日「車谷長吉の危ない身の上相談」(2009年6月14日)でこの作家の変さ加減を紹介したが、本当に変な作家なのだ。芥川賞の候補になって落選したのを恨んで選考委員の藁人形を作ったとか、特に強く受賞に反対した日野啓三が亡くなったときは赤飯を炊いて祝…

山口晃「すゞしろ日記」発行される

山口晃が東京大学出版会のPR誌「UP」にこの7月号で52回も連載している「すゞしろ日記」がまとめられて羽鳥書店から出版された。B5判2,625円。元々はA5判という小さな判型で、その1ページに24コマも詰め込んでいる。でも毎回楽しみなページだ。 過去に2…

歴史は味なことをする

読売新聞の8月2日の書評欄に、池内了によるデズモンドとムーアの「ダーウィンが信じた道」(NHK出版)の書評が載っている。 名門のダーウィン家および姻戚関係にあるウェッジウッド家(ダーウィンの妻エマはその末娘)は代々奴隷制に反対する活動を行って…

ツバメが巣をかけた

近所のマンションの防犯カメラの上にツバメが巣をかけた。雛が孵り親が忙しく餌を運んでいる。ここはちょうど通路の真上になるので糞が落ちてくる。それを注意する貼り紙があった。 ツバメの数が減っているようだ。農作物の害虫を捕食してくれていたので益鳥…

皇帝の精力剤

小泉武夫が雑誌「波」に「男精食のすすめ」を連載している。6月号の「黄帝たちと性欲活性素」から。 というわけで、今度はその古代中国の黄帝あるいは皇帝が、いかに精力絶倫を願い、男根強悍を祈って自らのハーレムの貴い女性たちを満足させようとしたか、…

蝶の道

長谷川櫂「麦の穂ーー四季のうた2008」(中公新書)に近藤沙羅の句が紹介されている。 高々と紫苑の花や蝶の道 北鎌倉の東慶寺は草花の美しい寺。今ごろ、花畑では高く伸びた紫苑の花が風に揺れているはず。どこからともなく現れた蝶を眺めているうちに、紫…