読売新聞の書評欄に読書に関する質問が載った(8月16日)。
病院の待ち時間は、いつ名前を呼ばれるかわからないので、なかなか本に集中できません。気持ちが軽くなる本(の紹介)をお願いします。(大阪市 主婦 44歳)
(前略)池内紀編訳「象は世界最大の昆虫であるーーガレッティ先生失言録」(白水Uブックス)は、いかがでしょうか。ドイツの歴史学者が遺したとされる、さまざまな失言を集めた本ですが、どこから読み始めても、どこでやめてもよく、とても楽しいのに、内容が頭に残りません。
ではと早速読んでみた。私が読んだのは1992年発行の白水社の単行本だが、705編の失言(短文)が掲載されている。
3 神は不死である。かかるがゆえに、死なない。
13 月桂冠は葉っぱにすぎない。だが、アポロンにとっては神聖な葉っぱである。
67 ロムルスがローマに入った頃、町には狼が駆けまわっていただけであった。
117 ホメロスが実在の人物であるのかどうかは不明である。だが、彼が盲目であったということに疑問の余地はない。
205 われわれがカラス麦を食するように、イスラエルの民はイナゴを食った。
260 ナポレオンにおいては、なにごとにつけ、すべてが極端である。たとえば、彼の最初の子供は息子であった。
335 川の右岸と左岸とは、源までさかのぼらなくては決められない。
534 古代ローマでは、1日は30日あった。
引用を続けるのも虚しいくらいつまらない本だ。それともドイツでは連想するものが日本とは別なんだろうか。出勤途中に読み始めて昼休みには読み終わってしまった。帰宅する電車の中で読むものがなくて困った。
- 作者: 池内紀
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2005/06/07
- メディア: 単行本
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