2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

大江健三郎の加藤周一への弔辞

昨年89歳で亡くなった加藤周一の「お別れの会」が東京朝日ホールで2月21日に行われ、大江健三郎、鶴見俊輔、水村美苗、吉田秀和が弔辞を読んだという。「世界」5月号に4人の弔辞が掲載されている。その中で大江健三郎の弔辞から、 私は(中略)尊敬する学…

吉田哲也遺作展

4年前に亡くなった吉田哲也の2度目の遺作展が始まった。この春、京橋から銀座1丁目に移転した藍画廊で5月9日(土)まで。(ただし、日曜・祝日休廊) 吉田哲也は若くして亡くなったが、きわめて優れた彫刻家だった。厳しい立体を造っていた。昔ストラヴ…

近所でトカゲを見かけた

近所の植物園でトカゲを見かけて撮影した。種名は分からないが、藤森照信のエッセイを思い出した。 東京の国分寺の家で、春、庭に出ると、石の上でトカゲが日なたぼっこしている。昔を思い出し、口の中に入れ、小学生の娘たちを手招きで呼び、くちびるを少し…

酒井啓之写真集「現代アートシーン」

「現代アートシーン」(美術出版社)という写真集がある。美術出版社のカメラマンだった酒井啓之が「みずゑ」や「美術手帖」の取材で撮影した画家たちの肖像を集大成したものだ。222人の画家、彫刻家、美術批評家の肖像が掲載されている。700ページ余、厚さ…

銀座でシロアリのスウォーミングが見られなかった

昨年の昭和の日に銀座でヤマトシロアリのスウォーミングに遭遇した。ヤマトシロアリは4月下旬から連休の頃、年に1回だけスウォーミング=結婚飛行を行う。雨の降った翌日、湿度の高い晴天の午前11時頃に地面の下から現れてパートナーを捜す。 昨日が終日雨…

荒川修作という謎

塚原史「荒川修作の軌跡と奇跡」(NTT出版)を読んだ。荒川修作は40年前、初めてその不思議な作品を見て驚いたことを今も強く憶えている。図面のような線だけの絵画で矢印が描かれていて、deskとかcatなどと書かれている。それが荒川修作のダイアグラム(図…

美術は金だ

美術は金だ。以前「これでいいのか、群馬県立近代美術館」(2007年1月25日)というエントリーを書いた。群馬県立近代美術館の収蔵品点数はたった数百点にすぎない。それに対して豊田市美術館の充実ぶりは目を見張るほどのものだ。世界で有名な画家や彫刻家の…

食べられるものと食べられないもの

NHKニュースで、ナベヅルが渡ってきて田圃や川のタニシを食べていますと言っているのに、テレビ画面に映っているのはタニシなどではなく、人には食べられない巻き貝だった。それを見たときの強い違和感! 娘から、父さんてコオロギ食べるよねと言われたとき…

電車のなかの面白い女性二人組

サラリーマンだった頃いつも同じ時刻の同じ電車の扉から乗って通勤していた。満員電車だったがいつも面白い若い二人の女性と一緒だった。彼女たちは私が乗るときにすでに乗って来ていた。そして降りる駅も私と一緒で、ある時昼時に二人と近所のコンビニで会…

尻ゾロエという言葉

以前文章を扱う仕事をしていた。その時の経験で気になったこと。パソコンのWORDは横組みで「左揃え」とか「右揃え」と言う設定をするが、同じことを元来の縦組みでは「頭ゾロエ」「尻ゾロエ」と言っていた。その尻ゾロエのことを「お尻ゾロエ」と言う同僚が…

木田元へのインタビュー

朝日新聞夕刊に「人生の贈りもの」というコラムがあり、毎週著名人へのインタビューが5回シリーズで掲載されている。先週が哲学者の木田元だった。インタビューなのできわめてやさしい言葉で哲学が語られている。 ーー(ハイデガーは)どんな人物だったので…

マンションの結露の問題

昨年の冬〜春頃、集合住宅の管理の仕事をしていたとき、住民の一人から結露がひどいから見てほしいと言われて、上司と二人で賃貸契約の民間マンションへ出かけた。すぐ玄関脇の北側の廊下に面した部屋を見せられた。4帖半くらいの部屋は荷物で一杯になって…

版画協会展を見て

東京上野の東京都美術館で版画協会展が開かれている(4月21日まで)。小学校中学校の同級生だった今村由男君の作品が展示されていた。これも版画なのか。むしろ版木に類するのではないか。 招待作家の部屋に笹井祐子の作品があった。ギャラリー21+葉の笹井…

臓器移植を巡る問題点

米本昌平「バイオポリティクス」(中公新書)はクローン技術やES細胞を巡る生命倫理について真剣に考察している本だ。 世界的な臓器不足は、よく知られているように経済格差を利用した「移植ツアー」を生んでしまっている。実際、湾岸諸国やマレーシア、シン…

塩田千春の作品が見られる展覧会

銀座8丁目の資生堂ギャラリーで「椿会展2009」が開かれている。椿会展というのは毎年その年度頃の旬の画家たちが集められて行われるものだ。 http://www.shiseido.co.jp/gallery/current/html/index.htm 今年の出品作家たちは、伊庭靖子、塩田千春、祐成政…

シロバナタンポポの小さな群落

近くに団地があり、そこの植え込みにシロバナタンポポの小さな群落がある。去年見つけたときはたった1株だったが、それがこんなにも増えたらしい。 10年近く前に、2キロメートルほど離れた某植物園のシロバナタンポポを採種して私のマンションのベランダの…

サリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」の新訳

サリンジャーの「ナイン・ストーリーズ」の新訳について4月12日の毎日新聞に池澤夏樹による書評が載った。本書の発行は奥付で見ると昨年の10月20日だから、書評としてはちと遅いがそれは良しとしよう。柴田元幸全編新訳と謳ってある。 池澤夏樹は書いている…

桜のマニエリスム

墨田区立緑と花の学習園でギョイコウ(御衣黄)が満開になっている。御衣黄は緑色の花が咲く桜だ。はじめ緑色をしていて、やがて中心が赤みを帯びる。ちょうどこの写真がその時期だ。 桜はソメイヨシノがきれいで各地に植えられている。ヤエザクラもぼってり…

片山杜秀「音盤考現学」が面白い

片山杜秀の「音盤考現学」(アルテスパブリッシング)を読んだ。著者はあの「近代日本の右翼思想」(講談社選書メチエ)を書いた人だ。 「音盤考現学」は雑誌「レコード芸術」に「傑作!? 問題作!?」というタイトルで連載されていていつも読んでいた。しかし…

飯田市周辺の桜

所用で昨日長野県の飯田市へ行った。飯田市の北に位置する高森町には瑠璃寺という古い寺があり、桜の古木で有名だ。頼朝が建久8年(1197年)に寄進した枝垂桜の苗が今は巨木に育ち長野県の天然記念物に指定されていて、その名も頼朝桜と呼ばれている。それ…

加藤周一「日本文学史序説」からの抜粋

加藤周一『日本文学史序説』(ちくま学芸文庫)がすばらしい。「日本では、文学史が、日本の思想と感受性の歴史を、かなりの程度まで、代表する」ので文学史を語ることが思想史を語ることになるのだ。「比喩的にいえば、日本では哲学の役割まで文学が代行し…

ティッシュペーパーは何枚入っているのか

ティッシュペーパーは2枚づつ重ねられ、1箱が400枚200組で販売されている。それはJISなんかとは関係なく、単純にそういうものとして標準(デフォルト・スタンダード)になっているのだろう。だから改めて消費者もそれを疑うことが少なかった。写真の製品に…

猫のごはんの皿になりたい

浅生ハルミン「猫座の女の生活と意見」(晶文社)を読んでいたら、次のような一節があった。 もし生まれ変われるのなら猫ではなく、猫の舌に毎日舐められる猫のごはんの皿になりたいと妄想にあけくれる猫好きの私ですが、そんな魔法はこの世に存在するするわ…

shiseido art egg という公募展

資生堂が主催する「shiseido art egg 」という美術の公募展、新人賞がある。資生堂のホームページによれば、shiseido art egg とは、 shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)は、広く資生堂ギャラリーの門戸を開放する公募展です。発表の場を求める新進…

播種後11か月、ヤブザクラが発芽した

昨年5月13日に播種したヤブザクラが発芽した。この実生苗からちゃんと盆栽に育てられるだろうか? ・「ヤブザクラを播種した」(2008年5月13日) ・「野生のサクランボ」2008(年5月8日) ・「ヤブザクラ開花」(2008年3月10日)

早とちり癖が抜けない

朝日カルチャーの案内を見ていたら、私の好きなピアニストの河合祝子のレクチャーコンサートがある。「名曲でつづるショパンの生涯 青年期編」がそのタイトルだ。河合祝子がショパン? とは思ったが、でも申し込もうと案内書を取り寄せたら全4回で毎週水曜…

フジテレビの広告がおかしい

月曜日の朝日新聞朝刊にフジテレビのカラーの全面広告が載っている。「フジ感度全開!!!」というキャッチフレーズで、アナウンサーが大勢駆けてくる写真だ。何か変だ、何がおかしいのだろう。 すぐに分かった。全員が走っているのに、顔が走っているときの顔…

吉田暁子の個展が東京画廊で開かれている

吉田暁子の個展「視/夜(しや)_意義黎明」が銀座8丁目の東京画廊+BTAPで開かれている(4月18日まで)。吉田暁子はコンセプチュアル・アートの作家で作品はきわめて難解だ。だが難解であると同時にきわめて魅力的でもある。履歴を見ると多摩美術大学在…

ペッパーズギャラリーの彫刻展

銀座7丁目のペッパーズギャラリーで岩城諒子と村山まりあの彫刻二人展が開かれている(4月4日まで)。 これがとても面白い。まず岩城諒子の作品は「未現」と題されている。手がいくつも並べられている。それは層のように重ねられて手の形を作っている。そ…

ギャラリー小柳の内藤礼展を見た

銀座1丁目のギャラリー小柳で内藤礼展が始まった。タイトルが「color beginning」、5月16日までだ。 タイトルにあるように薄いピンク色をまぶしたような平面作品が大小12点展示されている。そのほかに横浜トリエンナーレの三渓園で発表された電熱器に揺ら…