臓器移植を巡る問題点

 米本昌平「バイオポリティクス」(中公新書)はクローン技術やES細胞を巡る生命倫理について真剣に考察している本だ。

 世界的な臓器不足は、よく知られているように経済格差を利用した「移植ツアー」を生んでしまっている。実際、湾岸諸国やマレーシア、シンガポールから、インドに腎臓移植手術を受けに行くことは定番化している。また台湾、香港、韓国、シンガポールからは、中国本土に手術を受けに行くケースが少なくない。(中略)また中南米では、子供をさらって殺害し臓器を摘出しているという情報が後を絶たないが、これに関しては確たる証拠は見つけられなかった。

 むかし村上龍が小説に取り上げていたし、カズオイシグロの評判の高い小説のテーマでもある。福岡伸一は臓器移植そのものに反対している。
 中南米の噂は、貧しいインディオから子供をアメリカで教育してやるからと騙して引き取り臓器を摘出して売買するというものだった。
 人間は何でもするのだ。