山内昌之・細谷雄一 編著『日本近現代史講義』を読む

f:id:mmpolo:20190912213308j:plain


 山内昌之細谷雄一 編著『日本近現代史講義』(中公新書)を読む。昨日読み終えて今朝の新聞を見たら半五段の大きな広告が載っていた(朝日新聞)。新書1冊だけの広告としては異例の扱いだ。“これぞ最新、最前線の「令和の日本史」!”とある。

 14人の著者が1人20ページほどを分担して書いている。「立憲革命としての明治維新」とか「日清戦争と東アジア」とか「日露戦争と近代国際社会」など細かく区切って手際よく書いている。しかし、「第一次世界大戦と日中対立の原点」を書いた奈良岡聰智などは対華21か条要求に関して、自衛隊元幕僚長の田母神俊雄の論文を引用するなど、総じて保守的な言説が目立っている。
 「おわりに」を読んでそのわけが分かった。細谷雄一がこう書いている。

 本書は2015年12月から2018年7月まで、自由民主党本部で行われた「歴史を学び未来を考える本部」での講義をもとに、その内容を新書の形式にまとめたものである。2015年11月29日、自由民主党立党60年記念式典開催日に、「歴史を学び未来を考える本部」、いわゆる歴史本部が設置された。

 この歴史本部は、谷垣禎一本部長、稲田朋美本部長代理、中曽根弘文事務総長、棚橋康文事務局長として発足し、本書の編者2人がアドバイザーを務めたとある。それでこの内容が納得できた。