文化

青柳貴史『硯の中の地球を歩く』を読む

青�尹貴史『硯の中の地球を歩く』(左右社)を読む。青�尹は東京浅草で硯を作っている職人だ。祖父も父も硯を作っていた。その硯の魅力を自分の体験を具体的に書きながら教えてくれる。 父の助手として中国へ石を集めに行く。深い山へ入り硯に適した石を探す…

合掌の法則、再び

この2冊の本のカバーが短くて上部が数ミリ寸足らずになっている。2冊とも同じ著者(白井聡)の本で、講談社α文庫と集英社新書で出版社は違う。 カバーを取ってみたら、どちらもその下に別のカバーがあった。してみると、寸足らずのカバーは実はいわゆる「帯…

加藤周一+池田満寿夫『エロスの美学』を読む

加藤周一+池田満寿夫『エロスの美学』(朝日出版社)を読む。「比較文化講義」というシリーズの1冊で、二人がエロスをテーマに対談をしている。日本でトップクラスの評論家と、エロチックな版画を作り、エロ小説も書いている作家という組み合わせは「エロス…

合掌の法則

私が「合掌の法則」と名づけた考え方がある。ここに4点の写真を並べた。いずれも合掌の形をしている。 最初の写真は正しい合掌の形だ。両方の掌を合わせている。左手が右手に重なって見えづらいが、間違いなく重なっている。 2番目の写真は間違った合掌だ…

『世界の名前』を読んで

岩波書店辞典編集部 編『世界の名前』(岩波新書)を読む。これはちょっと変わった本だ。世界各国、各地域の人の名前の付け方をまとめたもの。小項目主義で編纂された事典のように、世界100の地域の命名法が100人の専門家によって執筆されている。これを読む…

村井康彦『千利休』を読む

村井康彦『千利休』(NHKブックス)を読む。これを読んだのは先週読み終わった赤瀬川原平の『千利休』(岩波新書)が、赤瀬川曰く「 この本は資料としては何の価値もない」という、その通りのものだったので口直しをしたかったからだ。村井を選んだのは、む…

再び、日本語のピジンイングリッシュ化を危惧する

白井恭弘『ことばの力学』(岩波新書)に、渋谷の街で英語の広告を見かけた話が紹介されている。 先日、渋谷の街を歩いていたら、目の前に巨大な広告塔があり、すべて英語でコンサートを宣伝していました。外国のアーティストかなと思って近づいて行ったら、…

石毛直道『世界の食べもの』を読む

石毛直道『世界の食べもの』(講談社学術文庫)を読む。石毛は京都大学系の文化人類学者。世界の食卓文化論や料理の歴史、リビア砂漠探険記、また石毛直道自選著作集全12巻などがある。 本書は、週刊朝日百科『世界の食べもの』の中から著者が執筆した分を編…

ブランド音痴

おしゃれな上司からそのネクタイどこのメーカー? と聞かれた。裏のタッグを示して「ニューヨークドキニーです」と答えたが、上司は腑に落ちない顔をしていた。 娘にそのことを話すとバカにされた。この「DKNY」というのは、「ダナ・キャラン・ニューヨーク…

時間か長さか太さか

いささか古い話だが、朝日新聞(2008年4月25日朝刊)に「射精まで3〜13分が普通」とのアメリカの記事が紹介されていた。 米ペンシルベニア州立大エリー校のエリック・コーティ準教授らのチームが、米国とカナダの性療法士計50人に「性交時に男性が射精まで…

13日の金曜日

昨日は13日の金曜日だった。13日の金曜日というといつも従兄を思い出す。あれは私が高校3年の時だったろうか。東京都の地方公務員の試験を受けるために東京の従兄の家に泊めてもらった。従兄は4歳上でまだ大学生だった。従兄が、お袋が癌で亡くなった日は1…

「履歴書は手書きで」の不可解さ?

8月12日の朝日新聞投書欄に「『履歴書は手書きで』の不可解さ」と題する投書が載った。投稿者は47歳、無職の男性。 世の中不景気と言われ続ける中、6月に体調を崩して退職し、現在、就職活動中の身です。工場の作業者として自分なりにがんばってきたつもり…

日本人の特異な食生活

辻井喬・上野千鶴子「ポスト消費社会のゆくえ」(文春新書)に日本人の特異な食生活が紹介されていて面白かった。 辻井 日本のスーパーの食品売場では、生鮮食品が半分を占めていて、驚くほど高額です。これはアメリカの小売業者もヨーロッパの小売業者も理…

歓迎会で伝統の踊りを見せてくれた女子生徒たち

文化人類学者の西江雅之が「図書」2010年5月号に「トロブリアンド島を訪ねる−−パプアニューギニアへの旅」を書いている。西江はパプアニューギニアのトロブリアンド諸島を訪ねる。 トロブリアンド諸島。ポートモレスビー(パプアニューギニアの首都)から直…

青木晴夫「滅びゆくことばを追って」が面白い

言語学者千野栄一の言語に関するエッセイ「ことばの樹海」(青土社)が面白かったが、そのなかで千野が、青木晴夫の「滅びゆくことばを追って−−インディアン文化への挽歌」を推薦している。 ある一人の日本人がアメリカのカリフォルニア大学の言語学科を卒業…

クレオール語の例

クレオール語とはWikipediaによれば、 クレオール言語(クレオールげんご)とは、意思疎通ができない異なる言語の商人らなどの間で自然に作り上げられた言語(ピジン言語)が、その話者達の子供によって母語として話されるようになった言語を指す。公用語や…

一番難しい言語

私の好きな言語学者千野栄一の「ことばの樹海」(青土社)に「一番難しい言語」と題された章がある。そこにアメリカの外交官を対象とした語学の特訓施設に「外国語研修所」というアメリカ国務省付属機関があると紹介されている。そこではアメリカ人が学ぶ場…

犬の顔は飼い主に似る?

niftyニュースが紹介する読売新聞に「犬の顔は飼い主に似る?大学教授らが「顔面相似」調査」という記事が紹介されていた。 犬の顔は、やっぱり飼い主に似る?−−。関西学院大(兵庫県西宮市)の研究グループがペットと人間の「顔面相似」に関する調査結果を…

田中優子「春画のからくり」

田中優子「春画のからくり」(ちくま文庫)に面白いことが書かれている。 ところで、もし私がフェミニストの運動家だったら、許さないだろうと思う現象が巷では起きている。女性ヌードの氾濫である。なぜ、女性なのだろうか、なぜヌードなのだろうか。これは…

食べられるものと食べられないもの

NHKニュースで、ナベヅルが渡ってきて田圃や川のタニシを食べていますと言っているのに、テレビ画面に映っているのはタニシなどではなく、人には食べられない巻き貝だった。それを見たときの強い違和感! 娘から、父さんてコオロギ食べるよねと言われたとき…

尻ゾロエという言葉

以前文章を扱う仕事をしていた。その時の経験で気になったこと。パソコンのWORDは横組みで「左揃え」とか「右揃え」と言う設定をするが、同じことを元来の縦組みでは「頭ゾロエ」「尻ゾロエ」と言っていた。その尻ゾロエのことを「お尻ゾロエ」と言う同僚が…

「地名の由来 東京23区辞典」というHPの驚き

すごいホームページがある。「地名の由来 東京23区辞典 東京知ったかぶり!」というタイトルだ。タイトルどおり23区の地名に関するほとんど信じられないくらいのものすごい充実ぶり。しかも現在進行形で更新もハンパじゃない。情報を提供するとただちに反映…

朝鮮人と日本人の物腰

小熊英二・姜尚中編「在日一世の記憶」(集英社新書)の書評を小倉紀蔵が読売新聞に書いた(2008年12月7日)。そこに朝鮮人と日本人の興味深い文化の違いが指摘されている。 文化とは悲しいものだ。在日コリアンを描いた映画「血と骨」を見たとき、そう思っ…

不世出のお笑い芸人「林家三平」

筑摩書房のPR誌「ちくま」1月号に佐野眞一が連載している「テレビ幻魔館」で落語界に厳しい意見を呈している。泰葉の記者会見をテーマに書き始めて、最後に泰葉を全面的に支持している。「負けるな、泰葉。二代目林家三平を襲名するのは、間違いなく君だ。…

過剰な人たち

画廊回りをしていると同好のお仲間たちに会う。その中でも一番すごい人は三浦仂さん、ギャラリーの人たちは愛着を込めてイカさんと呼ぶ。名前の「仂(いさお)」の字を分解しているのだ。もう70歳くらいの方だが、年間に回るギャラリーの数が5,400軒だという…

五代目桂米團治の襲名披露

NHK-BSで五代目桂米團治の襲名披露を見た。襲名の口上が面白かった。桂小米朝改め五代目桂米團治を舞台の真ん中に、左から実父で師匠かつ人間国宝の桂米朝、小さんの孫の柳家花緑、三遊亭圓歌、林家正蔵、桂文珍、桂ざこぱが並び、司会を桂南光が勤める。落…

コンビニのゆで卵の謎

コンビニのサンドウィッチにはゆで卵が挟んである。そのゆで卵はすべて大きな円をしている。ゆで卵の両端の白味だけの部分とか、端に近い黄味が少ない部分が入っていることはない。それらは何に使われているのだろう。コストの追求が課題のコンビニだ、まさ…

首都医校の広告への疑問

やなぎみわという1967年生まれの現代美術作家がいる。デパートの案内嬢のコスチュームを着たモデルたちの写真を撮り、CGで加工した作品などでデビューした。その後2005年の原美術館の個展では、ガルシア=マルケスの「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じ…

印象に残った講演会3つ

今までに強く印象に残った講演会が3つある。もう30年以上前にNHK教育テレビで見た加藤周一の講演会、しかし感動したこと以外もう覚えていない。 十数年前に目黒区立美術館で聴いた宇佐美圭司の講演会。はじめに、この間ジャスパー・ジョーンズと飯を食べた…

筆跡鑑定は信じられるかもしれない

仕事で多くの若者の住所と名前の直筆を見ている。すると筆跡にいくつかのパターンがあることが分かる。ちまちまとした小さな文字、「八」の字のように下向きに開いた無警戒な文字、四方に広がった文字等々。これらを見ているとヴァルター・ベンヤミンを思い…