ギャラリーゴトウの「アート・オブ・オーストラリア展」を見る

 東京銀座のギャラリーゴトウで「アート・オブ・オーストラリア展」が開かれている(6月24日まで)。このアート・オブ・オーストラリア展というのは、実はアボリジニアート展なのだ。アボリジニという言葉が分かりにくいからとこんなタイトルにしたのだろう。アボリジニとはオーストラリアの先住民のことなのだ。その素朴なミニマルっぽい美術をアボリジアートと言う。

 高校1年のとき、世界史を教えてくれた小宮山先生が、早稲田の同級生だったという若い人を連れてきて、授業でその人の話を聞かせてくれた。つい先頃探検部でオーストラリアに行っていたというその人はアボリジニの話をしてくれた。だからアボリジニのことは強く印象に残っている。のちにその人は、私が卒業した高校の校長先生になった。


 私の好きな画家谷口ナツコが香港のサザビーズに出品されたとき、欧米のコレクターからアボリジニアートみたいだと言われたとミズマのオーナーが言っていた。またアボリジニアートは一見ミニマルアートにも似ていると思うかもしれない。どちらとも似て非なるものだ。

 ミニマルアートは、作品から意味を排除するという強い意思がある。谷口ナツコはそれと真逆の強い意味を込めている。アボリジニアートが似ているとすれば、着物などの模様かもしれない。草間彌生との親和性も深いように思う。もっとも草間の偏執性はアボリジニにはないけれど。

 アボリジニアートをまとめて見るのは初めてだった。良い経験だった。

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「アート・オブ・オーストラリア展」

2023年6月19日(月)-6月24日(土)

12:00-18:00

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ギャラリーゴトウ

東京都中央区銀座1-7-5 銀座中央通りビル7F

電話03-6410-8881

http://www.gallery-goto.com