2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧

梯久美子『戦争ミュージアム』を読む

梯久美子『戦争ミュージアム』(岩波新書)を読む。梯久美子が戦争や平和の博物館を訪ね歩いた記録。大久野島毒ガス資料館、予科練平和記念館、戦没画学生慰霊美術館 無言館、周南市回天記念館、対馬丸記念館、象山地下壕(松代大本営地下壕)、東京大空襲・…

小川洋子『妊娠カレンダー』を読む

小川洋子『妊娠カレンダー』(文春文庫)を読む。「妊娠カレンダー」「ドミトリイ」「夕暮れの給食室と雨のプール」の3短編が収録されている。ちょっと変わった小説集。『博士の愛した数式』が面白かったので手に取った。『博士~』の面白さには及ばなかっ…

原武史『象徴天皇の実像』を読む

原武史『象徴天皇の実像』(岩波新書)を読む。副題が、「『昭和天皇拝謁記』を読む」というもの。政治学者の原武史が、田島道治がまとめた昭和天皇とのやりとりを記した『拝謁記』を分析したもの。田島は戦後の2代宮内府長官、次いで初代宮内庁長官を務め…

ギャラリー砂翁&トモスの菅野美榮展を見る

東京神宮前のギャラリー砂翁&トモスで菅野美榮展「旅スル種子・アオギリ」が開かれている(12月7日まで)。菅野美榮は群馬県出身、1968年共立女子短期大学を卒業したのち、1971年日本デザインスクールを卒業している。1990年、銀座のギャラリー・オカベで…

ギャラリーなつかの邸嘉文展を見る

東京京橋のギャラリーなつかで邸嘉文展「変塗りと融合する漆造形」が開かれている(11月30日まで)。邸嘉文は1996年中国福建省生まれ、2019年に福建師範大学美術科漆専攻を卒業し、2023年金沢美術工芸大学漆・木工コースを修了、現在同大学工芸領域漆芸分野…

コバヤシ画廊の野沢二郎展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で野沢二郎展「そろそろと、時雨 November Rain」が開かれている(11月30日まで)。野沢二郎は1957年、茨城県生まれ。1982年に筑波大学大学院を修了している。これまで「VOCA展'97」や同年の「バングラデシュ. アジア美術ビエンエーレ…

櫻木画廊の杉原民子展を見る

東京上野桜木の櫻木画廊で杉原民子展が開かれている(12月1日まで)。杉原は佐賀県出身、1998年以来、OギャラリーUP・Sやギャラリーテムズ、Shonandai My ギャラリー、ギャラリートモス、櫻木画廊など多くのギャラリーで個展を開いてきた。昨年と2020年はギ…

ギャラリーテムズの深沢軍治展を見る

東京小金井市のギャラリーテムズで深沢軍治展「フリーハンドとゆがみ」が開かれている(11月24日まで)。深沢軍治は1943年山梨県生まれ、1971年に東京芸術大学大学院美術研究科を修了している。深沢は様々な画廊で個展を開いているが、みゆき画廊やそれを受…

ギャラリーKTO原宿のさとう陽子展を見る

東京神宮前のギャラリーKTO原宿でさとう陽子展「詩に場所を探す」が開かれている(11月26日まで)。さとう陽子は東京生まれ。1981年に日本大学芸術学部美術学科を卒業している。1986年から毎年様々なギャラリーで個展を開いて活発に活動している。 「光景身…

日本大学芸術学部 A&Dギャラリーの笹井祐子展を見る

東京江古田の日本大学芸術学部 A&Dギャラリーで笹井祐子展が開かれている(11月22日まで)。笹井祐子は1992年日大芸術学部研究所版画コースを修了している。最初の個展は1989年にJCBギャラリーで、次いで1991年ギャラリー21+葉で行っている。2010年に日大海…

クロスビューアーツの瀧田亜子展を見る

東京京橋のクロスビューアーツで瀧田亜子展が開かれている(11月30日まで)。瀧田亜子は東京生まれ、青山学院女子短期大学芸術学科を中退した後、中国ウルムチの新彊大学や杭州市の中国美術学院で書を学んでいる。帰国後早見芸術学院で日本画を学んだ。2003…

展示室showroomの佐藤梨香展を見る

東京雑司ヶ谷の展示室showroomで佐藤梨香展「顔」が開かれている(11月24日まで)。佐藤梨香は1965年東京生まれ、1988年多摩美術大学絵画科油画専攻を卒業している。1989年かねこ・あーとギャラリーGIで初個展、その後コバヤシ画廊、藍画廊、ギャラリーQ、オ…

シロタ画廊の小林敬生展を見る

東京銀座のシロタ画廊で小林敬生「新作 小口木版展―緑の星2024-」が開かれている(11月16日まで)。小林敬生は小口木版という技法で大型作品を作り、森や海や川に棲む動物たちを取り上げてきた。今回、大きな作品は左右232cmもある。これも小口木版なのかと…

The Whiteの元木孝美展を見る

東京神田神保町のオルタネイティブ・スペースThe Whiteルーム#205で元木孝美展「背景」が開かれている(11月30日まで)。元木は1975年神奈川県生まれ、2003年に東北芸術工科大学大学院芸術工学研究科を修了している。2014年から東北芸術工科大学講師を努めて…

ヒノギャラリーの多和圭三展を見る

東京入船のヒノギャラリーで多和圭三展が開かれている(11月30日まで)。多和は1952年愛媛県生まれ、1978年日本大学芸術学部美術学科彫刻専攻卒業、1980年日本大学芸術学部芸術研究所修了、2009年多摩美術大学彫刻科教授就任、そして2020年3月で多摩美術大学…

FUMAコンテンポラリー東京/文京アートの小山田二郎展を見る

東京八丁堀のFUMAコンテンポラリー東京/文京アートで小山田二郎展「欲望と安寧1950s-‘60s」が開かれている(11月16日まで)。ギャラリーのテキストから、 小山田二郎(1914 -1991)は2歳で顔に大きなアザが現れるウエバ―氏病を発症。 周囲から奇異の目に晒…

コバヤシ画廊の西成田洋子展を見る

東京銀座のコバヤシ画廊で西成田洋子展「記憶の領域2024」が開かれている(11月16日まで)。西成田洋子は茨城県生まれ、1987年より東京、水戸、ニューヨークなどでもう30回以上も個展を開いている。作品は大きな奇妙な立体で、古着などを縫い合わせて造形し…

村上春樹『TVピープル』を読む

村上春樹『TVピープル』(文春文庫)を読む。1989年ころの雑誌に発表した短編集。当時村上春樹40歳くらい。 「TVピープル」「飛行機」「われらの時代のフォークロア」「加納クレタ」「ゾンビ」「眠り」の6編が収録されている。 「飛行機」は昔で言う有閑マ…

飯山陽『イスラムの論理』を読む

飯山陽『イスラムの論理』(新潮新書)を読む。袖の惹句より、 神の啓示の言葉を集めたコーランによれば、異教徒は抹殺すべき対象である。彼らを奴隷化することも間違っていない。ジハードは最高の倫理的振る舞いである。(……)気鋭のイスラム思想研究者が、…

ex-chamber museumの鈴木知佳展を見る

東京日本橋茅場町のex-chamber museumで鈴木知佳展が開かれている(11月10日まで)。鈴木知佳は1982年生まれ、東京造形大学大学院を修了している。2017年ギャラリーOn the Hillで初個展、2019年にはex-chamber museumで鈴木のぞみとの二人展を行っている。 …

クロスビューアーツのSelection展を見る

東京京橋のクロスビューアーツでSelection展が開かれている(11月16日まで)。クロスビューアーツはギャラリーなつかの別室、参加作家は桑原理早、釘町一恵、瀧田亜子の3人。狭い空間で小品展だが、なかなか面白い展示になっている。 まず、桑原理早。一人…

ギャラリイKの李明淑(イ・ミョンスク)展を見る

東京京橋のギャラリイKで李明淑(イ・ミョンスク)展が開かれている(11月9日まで)。李明淑は韓国の作家、今まで中国や韓国で個展を開いていて、日本では好文画廊に続いて今回が2回目となる。 (上の作品の一部) (上の作品の一部) (上の作品の一部) …

ギャラリーQの井上修策展を見る

東京銀座のギャラリーQで井上修策展が開かれている(11月9日まで)。井上修策は1959年三重県生まれ、1984年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業している。長年ギャラリー現で個展を開いていたが、最近はギャラリーQやトキ・アートスペースなどで開催し…

森美術館のルイーズ・ブルジョワ展を見る

ちらし 東京六本木の森美術館でルイーズ・ブルジョワ展「地獄から帰ってきたところ/言っとくけど、素晴らしかったわ」が開かれている(2025年1月19日まで)。森美術館のホームページより、 ルイーズ・ブルジョワ(1911年パリ生まれ、2010年ニューヨークに…

川上未映子・村上春樹『みみずくは黄昏に飛びたつ』を読む

川上未映子(訊く)・村上春樹(語る)『みみずくは黄昏に飛びたつ』(新潮文庫)を読む。川上がインタビューアーになって村上が答えている。対談は4回行われ、最初は2015年に雑誌『MONKEY』に掲載され、翌年村上が『騎士団長殺し』を書きあげ、その作品を…