東京銀座のギャラリーQで井上修策展が開かれている(11月9日まで)。井上修策は1959年三重県生まれ、1984年に武蔵野美術大学造形学部油絵学科を卒業している。長年ギャラリー現で個展を開いていたが、最近はギャラリーQやトキ・アートスペースなどで開催している。
井上の言葉、
物事は見る立場、視点によって見え方が違う、誰もが認める客観的な事実(基準)ではなく、多視点的な解釈が必要である。
このキャンバスは集合体として層をなし、正面性を著しく否定する。キャンバスと絵の具は白いままで、なにも語らないようだが、視点を変えるとキャンバス側面の隙間から仄かに下層のキャンバスに反映した光彩が認められる。下層のキャンバスには、なにか白色絵の具で描かれているが全容は隠されている。
物を見るとは光が物に反射して物の像が網膜を経由し、脳の感覚や思考領域等へ到達することだが、光源画像はより網膜を刺激する。その刺激をキャンバスと絵の具で出来ないものかと考えた。
キャンバスの裏に描いた絵画の色彩を下層の白色キャンバスと絵の具にreflect させ、その仄かな光彩を反映させ微かな刺激を得ようとした。
キャンバスに隠された絵画にも想像と思考をかたむけてもらいたい。
「仄」とは
ほのかに。かすかに。
かたむく。かたよって。わきから。うらがえる。
などの意味がある。
井上は本来平面である絵画を多層化し、非平面化することを狙っているように見える。かと言って平面を否定して立体にすることを志向しているのではない。レリーフにニュアンスは似ているが、レリーフが彫刻の一種なのに対して、井上の作品は絵画=平面の世界で試行錯誤しているようだ。もの派の造形に似ているように見えながら、思想としては全く異なっている。あるいは井上は絵画(平面)の物質化を模索しているのではないか。
・
井上修策展
2024年11月4日(月)-11月9日(土)
11:00-19:00(最終日17:00まで)
・
ギャラリーQ
東京都中央区銀座1-14-12 楠本第17ビル3F
電話03-3535-2524