2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『美術の窓』に山本弘展が紹介された

雑誌『美術の窓』7月号に銀座のギャラリー403で予定されている山本弘展が紹介された。「話題の展覧会 6.20〜7.19」というコーナーだ。 −ドローイングと油彩小品による−山本弘展 7月15日(火)〜7月21日(月) 1981年に51歳で逝去した山本弘。今展は3…

ギャラリースペースしあんの桑原理早展が良かった

東京東上野のギャラリースペースしあんで桑原理早展が開かれている(6月29日=今日まで!)。桑原は1986年、東京都出身。2013年武蔵野美術大学大学院造形研究科日本画コースを修了している。昨年、東京京橋のアートスペース羅針盤で初個展を開いている。 今…

犬と飼い主は目が似てる

少し古いニュースだが、「犬と飼い主は目が似てる」という実験結果がネットに紹介されていた(読売新聞 2013. 10. 26)。 ペットの犬の目つきは飼い主に似ている――。こんな実験結果を関西学院大(兵庫県西宮市)の中島定彦教授(動物心理学)がまとめ、25日…

執筆という行為自体が考える行為

ルイーズ・バレット/小松淳子・訳『野性の知能』(インターシフト)に執筆という行為について興味深いことが書かれている。 ……言語は私たちにコミュニケーション能力を与えるものだし、私たちの脳の構造にもうまく適している。しかし、それだけでなく、私た…

ブーイサック『ソシュール超入門』を読む

ポール・ブーイサック『ソシュール超入門』(講談社選書メチエ)を読む。タイトル通りの言語学者ソシュールの思想に関する分かりやすい優れた入門書だ。ソシュールは1910年〜1911年にかけての学年度に一般言語学講義を週2回行った。それは1年おきに行って…

ギャラリー58の山下耕平展を見る

東京銀座のギャラリー58で山下耕平展が開かれている(6月28日まで)。山下は1984年兵庫県生まれ、2007年に佐賀大学文化教育学部デザイン専攻を卒業している。東京では、2011年、2012年、2013年の同じギャラリーでの個展に続いて4回目だ。 山下は今年の第6…

とりとめなく色について:あしたのジョーとルビーロウムシ

東京京橋にブラザーのショールームがある。そのプリンターの宣伝キャラクターとして『あしたのジョー』と契約しているようで、ビルのファッサードにジョーや丹下段平、白木葉子などのイラストが大きく貼り出されている。この色彩が見るたびに違和感を覚えさ…

藤森照信設計:丘の上APTオープン

東京国分寺にギャラリー丘の上APTがオープンし、オープン記念展として「児島善三郎 国分寺時代の田園風景 1936-1951」が開かれている(7月20日まで)。画家児島善三郎は昭和11年からこの地に住んでいて、現在は孫の兒島俊郎氏が住んでいる。兒島氏は最近ま…

『書物の達人 丸谷才一』を読む

菅野昭正・編『書物の達人 丸谷才一』(集英社新書)を読む。菅野のほか、川本三郎、湯川豊、岡野弘彦、鹿島茂、関容子が書いている。丸谷が2012年10月に死去したことから、世田谷文学館で丸谷の業績を顕彰するため連続講演会を企画した。本書はその講演を記…

出光美術館の富岡鉄斎展が始まった

東京丸の内の出光美術館で没後90年富岡鉄斎展が始まった(8月3日まで)。ちらしのテキストより、 没後90年を迎えた近代文人画の巨匠・富岡鉄斎(1836-1924)。幕末・明治・大正という激動の時代を生きた彼は、学問の道を志し、儒学者として大成します。そ…

草森紳一『その先は永代橋』を読む

草森紳一『その先は永代橋』(幻戯書房)を読む。ふたつのエッセイ「その先は永代橋」と「ベーコンの永代橋」を合わせたもの。前者は『東京人』に6回連載されて中断し、後者は『en-taxi』に12回連載し、草森の死によってやはり中断した。 「その先は永代橋…

ドナルド・キーンの『百代の過客』を読んだ

ドナルド・キーン 著/金関寿夫 訳『百代の過客 上・下』(朝日選書)を読んだ。副題が「日記にみる日本人」というもの、上下2巻で平安時代の僧円仁の書いた『入唐求法巡礼行記』から徳川時代の川路聖謨の『下田日記』まで80冊近い日記を取り上げ、それぞれ…

画家の没後、絵の値段は上がるのか

画家が亡くなると絵の値段は上がるんでしょと聞かれる。だって、亡くなったからもう作品が描かれなくなって、そうすると値段が上がっていくんじゃないの? 答はノーです。一般的に画家が亡くなれば値段は下がるというのが美術市場の動向です。なぜでしょうか…

ギャラリーαMの飯嶋桃代展を見る

ギャラリーαMで飯嶋桃代展が開かれている(6月21日まで)。飯嶋は1982年、神奈川県生まれ。2006年に女子美術大学美術学科立体アート専攻を卒業。2008年に同大学大学院修士課程美術専攻立体芸術研究領域を修了し、2011年に同大学大学院博士後期課程美術専攻…

中沢新一対談集『惑星の風景』を読む

中沢新一対談集『惑星の風景』(青土社)を読む。1999年から最近までの対談で、今日の時点から見ても内容が古びていないものを選んで編んだという。中沢初めての対談集だ。 対談相手は、レヴィ=ストロース、ミシェル・セール、ブルーノ・ラトゥール、吉本隆…

キャノンギャラリーSで鬼海弘雄写真展「INDIA 1982-2011」を見る

東京品川のキャノンギャラリーSで鬼海弘雄写真展「INDIA 1982-2011」が開かれている(6月16日まで)。鬼海は1945年山形県生まれ。法政大学文学部哲学科卒業後、遠洋マグロ漁船乗組員、暗室マンなどの様々な職業を経て写真家になる。1973年より浅草で肖像写…

ギャラリートモスの野澤義宣展「−己事記−」を見る

東京日本橋本町(三越前)のギャラリートモスで野澤義宣展「−己事記−」が開かれている(6月19日まで)。野澤は1947年生まれ。数年前から具象的な作品を描いているが、それ以前の10年間ほどは真っ黒な画面を作っていた。 正面の壁のアクリル作品は「己事記」…

近藤等則×佐藤卓『空の気』を読む

近藤等則×佐藤卓『空の気』(みすず書房)を読む。フリージャズ・トランペッター近藤と売れっ子グラフィック・デザイナー佐藤との対談集。トランペッターとデザイナー、やはり接点が少ない。すると対談はどうしても抽象的に語らざるを得ない。近藤の世界=フ…

田中博文『真田一族外伝』を読んで

田中博文『真田一族外伝』(産学社)を読む。副題が「伝説の英雄はなぜ誕生したのか」というもの。真田という豪族の出自を滋野一族から解き明かし、のち海野姓を名乗るようになり、海野の娘が嫁して真田幸隆(のちの幸綱)が生まれたという説を紹介している…

東野圭吾『疾風ロンド』を読む

東野圭吾『疾風ロンド』(実業之日本社文庫)を読む。昨年11月17日の朝日新聞朝刊に本書の全面広告が載った。冒頭の写真がそれだが、そのコピーが、 まさかの文庫書き下ろし!! こんなに面白くなるとは! 自分でも驚き 東野圭吾 「いきなり文庫」で107万部!! …

座・高円寺レパートリー『リア』を見る

座・高円寺レパートリー『リア』を見た(6月6日)。シェイクスピア作『リア王』を脱構築したような『リア』。構成・演出が佐藤信、リアを女優の渡辺美佐子が演じ、植本潤と田中荘太郎の2人の男優がリアの3人の娘と道化などを演じる。 パンフレットに佐藤…

松本輝夫『谷川雁』を読む

松本輝夫『谷川雁』(平凡社新書)を読む。副題が「永久工作者の言霊」といい、詩人であり思想家であり、反体制運動家で労働争議活動家、言語教育者、経営者でもあった谷川雁のコンパクトな伝記だ。 谷川雁については、その魅力的な詩と「原点が存在する」と…

ギャラリー愚怜の古茂田杏子展がおもしろい

東京本郷のギャラリー愚怜で古茂田杏子展が開かれている(6月11日まで)。古茂田杏子は1946年生まれ、両親とも画家で、父が古茂田守介、母が美津子、2012年に目黒区立美術館で古茂田守介+古茂田美津子展が開かれた。 ギャラリー愚怜の月刊ニュースペーパー…

ギャラリーなつかの高浜利也展「風景と風土」を見る

東京京橋のギャラリーなつかで高浜利也展「風景と風土」が開かれている(6月28日まで)。高浜は1966年、兵庫県姫路市生まれ。1990年に武蔵野美術大学大学院修士課程を修了している。初めて見たのが1993年頃のギャラリイKでの個展で、大きくて力強いモノタイ…

グレアム・グリーン『国境の向こう側』を読んで

グレアム・グリーン『国境の向こう側』(ハヤカワepi文庫)を読む。日本オリジナルの短篇集。比較的初期の作品を収めたためかあまりおもしろくない。詩人のT. S. エリオットが探偵小説の可能性について繰り返し論じていた影響で書かれた推理小説っぽい短篇も…

正津勉『「はみ出し者」たちへの鎮魂歌』を読む

正津勉『「はみ出し者」たちへの鎮魂歌』(平凡社新書)を読む。副題が「近代日本悼詞選」という。「悼詞」について、巻頭に『広辞苑』を引いて説明している。 【悼詞=とうし】「人の死をいたみ弔う詞。弔詞」 はみ出し者として取り上げられたのは18人。東…

會津八一記念博物館の荒川修作展を見て

早稲田大学の會津八一記念博物館で「荒川修作の軌跡−天命反転、その先へ」が開かれている(6月14日まで)。今年の春〜夏にかけて荒川修作+マドリン・ギンズにまつわる展覧会やトークイベント、ワークショップや映画上映など様々なイベントが開催されている…

青澤隆明『現代のピアニスト30』を読む

青澤隆明『現代のピアニスト30』(ちくま新書)を読む。1987年生まれのユジャ・ワンから1925年生まれのアルド・チッコリーニまで、現代活躍する30人のピアニストを取り上げている。日本人ピアニストとしては内田光子と清水和音の2人。 出版されてすぐ購入し…

ジャン・フォートリエ展を見る

東京ステーションギャラリーでジャン・フォートリエ展が開かれている(7月13日まで)。フォートリエは1898年生まれ、戦後のアンフォルメルを代表する画家だ。今回が日本で初めての回顧展とのこと。 フォートリエは初めドランに影響された写実的で暗い絵を描…

上野千鶴子『身の下相談にお答えします』を読む

上野千鶴子『身の下相談にお答えします』(朝日文庫)を読んだ。朝日新聞の土曜日に掲載された人生相談「悩みのるつぼ」の上野の回答をまとめたものだ。「悩みのるつぼ」は4人の回答者が交替で回答している。上野のほかは、車谷長吉、岡田斗司夫、金子勝だ…