藤森照信設計:丘の上APTオープン



 東京国分寺にギャラリー丘の上APTがオープンし、オープン記念展として「児島善三郎 国分寺時代の田園風景 1936-1951」が開かれている(7月20日まで)。画家児島善三郎は昭和11年からこの地に住んでいて、現在は孫の兒島俊郎氏が住んでいる。兒島氏は最近まで六本木で兒島画廊を経営していたが、そこを閉廊してこちらに移転し、新しく「丘の上APT」として画廊をオープンした。APTはアート・パーステクティブ・テキスタイルの略。
 丘の上APTは建築家の藤森照信が設計している。写真に見るように全面をトタンで覆っている。トタン板をまるで布のパッチワークのようにつなぎ、断熱材を挟んでビス留めしている。窓枠も亜鉛メッキしてトタンと調和させている。
 画廊の形は藤森が最初に設計した茅野市の神長官守矢史料館と共通のシルエットをしている。内部は奥が2階ロフトになっており、そこに児島のアトリエが再現されている。その構造も神長官守矢史料館と共通しているのではないか。史料館のことは写真で見ただけなので詳しいことは知らないのだが。
 丘の上APTのロフトの下はカンティレバー構造をしていて、車庫として利用できるようになっている。





 画廊の隣が兒島俊郎氏の自宅で、これも藤森が設計している。こちらは銅板で覆われており、チョコレートハウスと呼ばれているとのこと。やはり小部屋が突き出ていて、その壁のみ土壁様をしているのも藤森らしい。個人住宅なので、画廊と違って立入はできないが、入口近くの郵便ポストも住宅同様の銅板で作られている。





 オープン記念展では児島善三郎の風景画を多数見ることができる。そして、藤森照信の設計した建物を外と内からじっくり見ることができるのだ。建築好きなら十分楽しめるに違いない。そういえば東京江古田のギャラリー「ちめんかのや」も建築家齋藤裕が設計したものだった。


・神長官守矢史料館
http://www.city.chino.lg.jp/www/contents/1000001465000/
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「児島善三郎 国分寺時代の田園風景 1936-1951」
2014年6月21日(土)−7月20日(日)
12:00−18:00(月曜休み)
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丘の上APT
東京都国分寺市泉町1-5-16
電話042-207-7918
http://www.gallery-kojima.jp/
JR中央線国分寺駅南口下車、右斜めに走る大きな通りを真っ直ぐ進み、小さな野川を跨ぐ橋を渡ってすぐの泉町一丁目の信号を右折、まもなく左折して急な坂道を登り、登り切った左側に丘の上APTの銀色に輝くギャラリーが建っている。徒歩10分。