東京京橋のギャラリーなつかで高浜利也展「風景と風土」が開かれている(6月28日まで)。高浜は1966年、兵庫県姫路市生まれ。1990年に武蔵野美術大学大学院修士課程を修了している。初めて見たのが1993年頃のギャラリイKでの個展で、大きくて力強いモノタイプの作品を展示していた。もう21年前になる。その後も抽象的な版画作品や木の立体作品、家屋の床を画廊内に再現したインスタレーションなどを発表している。1998年と2005年の2回、国際交流基金等により、タイのバンコクにそれぞれ2年間ほど滞在した。2011年からは母校武蔵野美術大学の教授に就任した。
画廊で配布しているちらしより、
落石(おちいし)計画をはじめとする、作家が各地で展開しているプロジェクトで可視化された『風景』や、その背景となる『風土』を考察しながら制作した連作シリーズの銅版画・モノタイプなどの新作15〜20点を展示。
なるほど、家やビル、道路や木々などが描かれている。高浜は昔は抽象的な作品を作っていたが、タイへ留学した後から具象的な形が現れてきて、それは現在まで続いている。高浜のこの極度に省略された具象的な形で構成された版画作品はとてもすばらしい。「作家が各地で展開しているプロジェクトで可視化された『風景』や」『風土』が作品化されたものと知って納得した。「世界」は豊穣であり、それを体験した結果生み出された作品世界は、単に思弁的に造形を追求した結果とは明らかに異なっている。仮に遠く離れていても、作品には「世界」の裏打ちが必須なのではないか。
高浜は版画制作にとどまらず、木を使った立体制作やインスタレーションも試みている。それらが別個のものとしてではなく、版画作品にも響き合っているのを感じる。今回の個展会期もほとんど6月一杯を予定していてギャラリーなつかの意気込みも伝わってくる。
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高浜利也展「風景と風土」
2014年6月2日(月)−6月28日(土)
11:00−18:30(土曜日17:00まで)日曜休廊
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ギャラリーなつか
東京都中央区京橋3-4-2 フォーチュンビル1F
電話03-6265-1889
http://homepage2.nifty.com/gallery-natsuka/