キャノンギャラリーSで鬼海弘雄写真展「INDIA 1982-2011」を見る


 東京品川のキャノンギャラリーSで鬼海弘雄写真展「INDIA 1982-2011」が開かれている(6月16日まで)。鬼海は1945年山形県生まれ。法政大学文学部哲学科卒業後、遠洋マグロ漁船乗組員、暗室マンなどの様々な職業を経て写真家になる。1973年より浅草で肖像写真を撮り続けていて、何冊もの写真集にまとめられている。
 今回の写真展は鬼海が30年以上前にインドで撮影したもの。キャノンギャラリーSへは初めて行ったが、とても広いスペースだ。そこにインドで撮影したモノクロ写真が大量に展示されている。数えてみれば110枚ほどあった。


 インドの、どちらかというと底辺に近い人たちを撮ったスナップだ。労働者、子どもたち、街頭風景、女たち、漁民などなど。全体にプリント状態がいわゆる眠い感じ(コントラストが弱い)がするのはネガが古くなっているせいか。
 鬼海といえば、もう40年間にわたって浅草で道行く人の肖像写真を撮り続けている。モデルに選ばれた人はちょっと変な人たちだ。その写真集はきわめて興味深い。キャプションも「境内裏で"ひと踊り"してきたという男」とか短いがおもしろい。私もこのブログで紹介したことがあった。
 最近はそれらを集大成した『世間のひと』(ちくま文庫)も出版された。昨年は1年間月刊雑誌「ちくま」の表紙を飾ってもいた。写真評論家飯沢耕太郎が選んだ日本の写真家100人の1人でもある。


鬼海弘雄の写真集『ぺるそな』がおもしろい(2013年4月28日)
鬼海弘雄『東京夢譚』を読む(2013年4月23日)
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鬼海弘雄写真展「INDIA 1982-2011」
2014年5月9日(金)〜6月16日(月)
10:00〜17:30(日曜・祝日休廊)
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キャノンギャラリーS
東京都港区港南2-16-6 キャノンSタワー
電話03-6719-9021
http://cweb.canon.jp/gallery/
JR品川駅港南口より徒歩8分
※港南口を出て右に曲がる。樹木の植え込みを挟んで品川インターシティ品川グランドコモンズが平行して東西に並んでいる。駅に近い手前のスカイウェイを西に進むと品川グランドコモンズの先にキャノンSタワーがある。エスカレーターを1階に下りるとギャラリーの入口がある。