犬と飼い主は目が似てる

 少し古いニュースだが、「犬と飼い主は目が似てる」という実験結果がネットに紹介されていた(読売新聞 2013. 10. 26)。

 ペットの犬の目つきは飼い主に似ている――。こんな実験結果を関西学院大兵庫県西宮市)の中島定彦教授(動物心理学)がまとめ、25日付の英国の国際学術誌「アンスロズーズ」12月号(電子版)に発表した。
 中島教授は「目を見れば誰が飼い主か見分けられる可能性が高い」と話す。
 中島教授は2009年に「犬と飼い主の顔つきは似ている」という調査結果を同誌に発表。今回は、顔のどの部分が似ているかを探ろうと、実験を行った。
 トイプードルやシバ犬などの犬と飼い主40組の顔写真を用意し、正しいペア20組と、わざと間違えたペア20組の2グループに分けた。顔の一部を隠すなどして、どちらのグループが似ているかを学生ら547人に尋ねた。
 目だけを見せたところ、73.3%が正しいグループの方を選び、「よく似ている」と答えた。一方、飼い主の目を隠した場合の正答率は50.8%、犬の目を隠した場合は47.3%だった。

 もう45年も前になるが、当時私は飯田市内にあるT鉄工所でアルバイトをしていた。家族経営的な小さな工場で、社長一家と数人の工員が、養蚕用の施設(ハウスと呼んでいた)とか、簡単な車庫の骨組みなどを、鉄を切ったり溶接したりして作っていた。休憩時間には社長を囲んで皆でお茶を飲んだ。そこでは1匹の犬を飼っていて、雑種の中型犬が社長によくなついていた。
 社長は初老の穏やかな人で、部下の工員を怒鳴ることなど一度もなかった。むしろ奥さんの方が気が強い印象だった。社長は養子だと聞いた。その社長の癖が横目を使うことだった。休憩でお茶を飲んだりしているときなどに、誰かが発言というか喋ったときなど、そちらを向かないで目だけで見た。典型的な横目だった。
 その社長の飼い犬が同じように横目を使った。犬が飼い主に似ることをこの時知った。長いこと忘れていた記憶が、関西学院大学の実験結果を読んで思い出されたのだった。