言葉

難解な文章のこと

朝日新聞の書評欄に宮崎章夫が「ひもとく/1968年のナックルボール」というエッセイを寄せている(10月6日)。60年代の難解な文章について書いている。 黒テントの佐藤信による『演劇論集眼球しゃぶり』(晶文社・絶版)について、かつて「難解」だと発言し…

鴻巣友季子『翻訳ってなんだろう?』を読む

鴻巣友季子『翻訳ってなんだろう?』(ちくまプリマ―新書)を読む。副題が「あの名作を訳してみる」とあり、10冊の英語の小説の一部を実際に訳している。その10冊は、 モンゴメリ『赤毛のアン』 ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』 エミリー・ブロンテ…

徳川夢声『話術』を読んで

徳川夢声『話術』(新潮文庫)を読む。裏表紙の惹句に「人生のあらゆる場面で役に立つ、“話術の神様”が書き残した(話し方)の教科書」とある。しかしながら、私にはほとんど役に立たなかった。気になった個所がある。 小学校の先生方よ、次の時代の国民を、…

黒田龍之助『世界のことばアイウエオ』を読む

黒田龍之助『世界のことばアイウエオ』(ちくま文庫)を読む。世界の100の言葉を見開き2ページでエッセイ風にまとめている。配列はアイウエオ順で、アイスランド語から始まってアイヌ語、アイルランド語と続き、ルーマニア語、レト・ロマンス語、そしてロシ…

円満字二郎『漢和辞典的に申しますと。』を読む

円満字二郎『漢和辞典的に申しますと。』(文春文庫)を読む。円満字は出版社で国語教科書や漢和辞典の編集者として働いていた。本書では160の漢字を取り上げて、それぞれ見開き2ページでコラムのように解説している。これが意外におもしろかった。私も漢字…

今井信吾『宿題の絵日記』を読む

今井信吾『宿題の絵日記』(リトルモア)を読む。今井は多摩美術大学名誉教授。二人目の娘が強度の難聴だった。住んでいるところに近い私立日本聾話学校に通わせた。ここは手話を使わずことばを話す教育をしていた。聾話学校ではそのころ補聴器の力を借りて…

沼野允義の書評から

毎日新聞に沼野允義が阿部公彦『史上最悪の英語政策』(ひつじ書房)と鳥飼玖美子『英語教育の危機』(ちくま新書)の書評を書いている(1月21日)。 阿部の本は大学入試の改革に焦点を合わせた緊急提言だという。入試改革ではスピーキング(話す能力)もテ…

駅のアナウンス

駅のアナウンスが英語で「野郎ライン」て言っているように聞こえる。娘に話したら、後日、あれは「イエローライン」だよって教えてくれた。そういえば、日本語で「安全のため黄色い点字ブロックの内側までお下がりください」と言っている。こう言っているの…

おこげという植物

私が育った長野県の飯田地方は昆虫食のセンターでもあるが、「おこげ」という灌木の新芽をお浸しにして食べていた。春芽吹いた時、それを摘んでお浸しにする。ちょっとでも葉が大きくなると硬くなって食べられない。だから食べられるのはほんの短い期間だ。 …

アーサー・ビナードの危惧

アメリカ出身の詩人アーサー・ビナードが「日本語は破滅に向かっている」と危惧している記事が毎日新聞に掲載されていた(2017年11月29日)。 大好きな宮沢賢治の詩など美しい日本語がいつまでも残ってほしいと願うビナードさんにとって一番の気がかりは日本…

誤解していた諺

吉行淳之介の『やややのはなし』(小学館)を読んでいたら誤解されている諺について書かれていた。「顧(かえり)みて他を言う」の意味について、何人かの知人にその意味を尋ねると皆その意味を誤解していたという。「自分自身にたいしての反省の上に立って…

橋本治+橋爪大三郎『だめだし日本語論』を読む

橋本治+橋爪大三郎『だめだし日本語論』(太田出版)を読む。これがわくわくするほど面白かった。橋本治は小説の『桃尻娘』シリーズで人気を博した小説家。その後『枕草子』や『源氏物語』などの古典の現代語訳の仕事も定評がある。橋爪大三郎はきわめて有…

今野真二『かなづかいの歴史』を読む

今野真二『かなづかいの歴史』(中公新書)を読む。目次を見ると、「仮名の成立とかなづかい」「平仮名で日本語を書く」「片仮名で日本語を書く」「中世から近世にかけてのかなづかい」「明治期のかなづかい」「『現代仮名遣い』再評価」となっている。 本書…

大野晋・丸谷才一『日本語で一番大事なもの』を読む

大野晋・丸谷才一『日本語で一番大事なもの』(中公文庫)を読む。分かりにくい題名だが、本書は古文の主に助詞と助動詞について大野と丸谷が語っている。つまり日本語文法の本なのだ。文法の本だといえば、ややこしくてうっとうしいものだという印象を持つ…

東京女子大篠崎ゼミの方言チャートがスグレモノ

数年前から話題になっている東京女子大学の篠崎晃一ゼミとジャパンナレッジが開発した「出身地鑑定!! 方言チャート」がおもしろい。 方言に関する質問に答えるだけで、あなたの出身地を当ててしまうのが「出身地鑑定!! 方言チャート」。東京女子大学篠崎ゼミ…

町田健『ソシュールと言語学』を読む

町田健『ソシュールと言語学』(講談社現代新書)を読む。ソシュールはスイスの言語学者で、現代言語学を築いた偉大な学者だ。またその方法から構造主義が生まれた。 全体の3分の1を占める第1章で町田は難解なソシュールの言語学をやさしく丁寧に解説してく…

金田一春彦『美しい日本語』を読む

金田一春彦『美しい日本語』(角川ソフィア文庫)を読む。2002年に角川oneテーマ新書21として刊行された『日本語を反省してみませんか』を改題したもの。5つの章からなっていて、「『常識度』模擬試験」「周りを引き付ける人の日本語力」「『話せばわかる』…

黒田龍之助『その他の外国語 エトセトラ』を読む

黒田龍之助『その他の外国語 エトセトラ』(ちくま文庫)を読む。初めてのエッセイ集の由で、4つの章に分かれていて、「33文字の日常」「22の不仕合せ」「海外旅行会話11の法則」「11年目の実践編」からなっている。 黒田はロシア語から始めて、ウクライナ…

瀬戸賢一『時間の言語学』を読む

瀬戸賢一『時間の言語学』(ちくま新書)を読む。「はじめに」より、 本書は小著だが、一般に世にある時間論とは一線を画する。私たちが頭の中で時間をどのように考えるのかを、数多くの実際のことばの分析によって明らかにし、無意識的に使われるメタファー…

鈴木孝夫『教養としての言語学』を読む

鈴木孝夫『教養としての言語学』(岩波新書)を読む。同じ著者の岩波新書『ことばと文化』『日本語と外国語』を読んできたが、本書は題名ほど硬い本ではない。 記号、あいさつ、指示語、人称、言語干渉の5章からなっている。鈴木は少年の頃から野鳥が好きで…

鈴木孝夫『日本語と外国語』を読む

鈴木孝夫『日本語と外国語』(岩波新書)を読む。鈴木はアメリカのホテルでレンタ・カーを呼んだとき、オレンジ色の小型車が行くからと言われた。ところが車はなかなか現れなかった。ハッと気がついて、さきほどから停まっている茶色の車がそれかもしれない…

鈴木孝夫『ことばと文化』を読む

鈴木孝夫『ことばと文化』(岩波新書)を読む。先日、鈴木孝夫・田中克彦『【対論】言語学が輝いていた時代』を読んで、鈴木孝夫をもっと読みたいと思って手に取った。期待どおりのおもしろい本だった。 ことばの意味や使い方には構造があって、それが言語に…

田中克彦『名前と人間』を読む

、 田中克彦『名前と人間』(岩波新書)を読む。もう21年前に出版されている。おそらく出版されてすぐ読んだはずだから21年ぶりの再読だけど全然記憶がなかった。しかし地味な題名で損をしていると思う。内容はとても面白いのに。 田中は本書で固有名詞につ…

鈴木孝夫・田中克彦『【対論】言語学が輝いていた時代』を読む

、 鈴木孝夫・田中克彦『【対論】言語学が輝いていた時代』(岩波書店)を読む。鈴木は慶応大学名誉教授で優れた言語学者。田中は鈴木より8歳年下でモンゴル語専攻のこれまた優れた言語学者だ。その二人の対談が【対論】と題されている。単なる対談ではない…

小島剛一『漂流するトルコ』を読む

小島剛一『漂流するトルコ』(旅行人)を読む。副題が「続「トルコのもう一つの顔」」とあり、中公新書の『トルコのもう一つの顔』の続編。前著が1991年に発行されているが、その前に小島はトルコから国外追放になっている。 その後国外追放が解除されて小島…

小島剛一『トルコのもう一つの顔』と『トルコのもう一つの顔・補遺編』を読む

小島剛一『トルコのもう一つの顔』(中公新書)と『トルコのもう一つの顔・補遺編』(ひつじ書房)を読む。小島は言語学と民族学の専門家。もう50年近くフランスに住んでいる。『トルコのもう一つの顔』は25年前の発行。トルコを研究するようになったのは、…

『超明解! 国語辞典』を読んで

今野真二『超明解! 国語辞典』(文春新書)を読む。読売新聞の書評欄で出口治明が推薦していた(6月7日)。 本書は、7つの小型国語辞典を辞書探偵(著者)がとことん調査したものである。一見無味乾燥とも思われる辞書の比較が、これほど楽しく面白い読み物…

『新編 日本語誤用・慣用小辞典』を読む

国広哲弥『新編 日本語誤用・慣用小辞典』(講談社現代新書)を読む。本書は以前『日本語誤用・慣用小辞典』として同じ新書で発行した正編と続編を併せたものという。全5部から構成されていて、「意味の誤用」「表現の誤用」「語形の誤り」「漢字をめぐる諸…

ロジャー・パルバース『驚くべき日本語』がおもしろかった

ロジャー・パルバース/早川敦子・訳『驚くべき日本語』(集英社インターナショナル)が面白かった。パルバースはアメリカ生まれ、ロシア語とポーランド語を学び、23歳で来日し日本語を学んだ。いまでは4カ国語を話すという。とくに日本語では小説も書いて…

ちょっと気になる言葉の使い方

たまたま目にしたSNSの掲示板に、ちょっと気になる言葉の使い方があった。 飼っている猫が太りすぎて、獣医からドクターストップがかかってしまったという。それで買いだめしておいたキャットフードが使えなくなった。「少し割高な未開封×××2kg2袋、○○7袋…