川添愛『言語学バーリ・トゥード』を読む

 川添愛『言語学バーリ・トゥード』(東京大学出版会)を読む。本書は東京大学出版会のPR誌『UP』に連載していたものをまとめたもの。「はじめに」に相当するところで、「この連載に登場しがちなイカしたメンバーを紹介する」とある。

 

筆者(川添):かつて研究者として働いていた人間で、数年前からフリーで本などを書いて生計を立てている。専門は言語学で、訳あって人工知能の分野にもしばらくいたことがある。昭和生まれのプロレス好き。東京大学とは無関係。

 

T嬢(仮名):東京大学出版会の編集者。この連載の担当をしている。後述のSTO先生の担当でもある。一度も携帯電話を持ったことがないらしい。

 

STO先生(仮名):東京大学の先生で、宇宙物理学がご専門。『UP』で、長寿人気連載「注文(ちゅうぶん)の多い雑文」を担当している。同連載は、物理学や科学全般に関するトピックを親しみやすい形で取り上げつつ、膨大な注に爆笑ネタを仕込むという独自のスタイルを確立している。(後略)

 

 STO先生は須藤靖さん、川添の連載の初期にSTO先生からクレームが付けられたと、それを取り上げている。そのクレームは、「連載タイトルに含まれるバーリ・トゥードという用語について、まったく説明がない」というものだった。

 「バーリ・トゥード」とはポルトガル語で「何でもあり」の意味で、ルールや反則を最小限にした格闘技の一ジャンルを指す、とのこと。言語学に関する何でもありのエッセイという意味になるのか。

 たしかに川添のエッセイは須藤靖の「注文の多い雑文」と似たスタイルを狙っているようだ。しかし連載時に一度読んでいるはずなのに、ほとんど覚えていなかった。そういう意味では須藤靖が一枚も二枚も上なのだろう。このブログでも須藤の「注文の多い雑文」を何度も紹介してきたし、T嬢に関しても採り上げたことがあった。