2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

会田誠「カリコリせんとや生まれけむ」

会田誠「カリコリせんとや生まれけむ」(幻冬舎)を読む。幻冬舎のPR雑誌「星星峡」に連載されたいるものをまとめたらしい。会田誠は売れっ子の現代美術作家。ミズマアートギャラリーの専属で、2007年には上野の森美術館で「会田誠・山口晃展」も開かれた。…

東京スカイツリー338メートル

建築中の東京スカイツリーが3月29日338メートルとなって、東京タワーの333メートルを超えた。この写真は3月28日328メートルの時に撮影したもの。撮影した場所はスカイツリーから1キロメートルほど東に離れた、北十間川に沿った道路上。西に向かって撮って…

「人人展」の大熊雅博 追悼

毎年「人人展」の招待状を送ってくれる大熊雅博さんから、ここ何年か送られてこなかった。それが今年田端麻子さんから送られてきた人人展の招待状に「特別展示 追悼・大熊雅博」とあった。 会場で係の人に問い合わせると、大熊さんは昨年1月に癌で亡くなっ…

上関原発に関して、三たび

昨年、「上関原発に反対します」(2009年9月24日)を書いたが、最近朝日新聞でも「上関原発 開発か保護か」と題されて取り上げられた(2010年3月25日)。 小見出しが「瀬戸内海 希少種の宝庫、学会が『待った』」というもの。 瀬戸内の希少生物を守りたい−…

中村不折の書

朝日新聞に中村不折の書「龍眠帖」が紹介された(3月24日)。5月9日まで東京・根岸の台東区立書道博物館で「中村不折と明治の書 文豪たちとの交流を中心に」が開かれており、この作品も出品されているという。 初めて目にした人は、さぞ驚いたに違いない…

ディック・フランシス

今年のバレンタインデー2月14日にイギリスのミステリ作家ディック・フランシスが亡くなった。作家を悼んでいくつかの追悼文が書かれた。その一つに、ディック・フランシスの最高傑作は「大穴」だとあった。元競馬騎手だった経歴から競馬に関するミステリを…

アートギャラリー環の坂崎香織展、再び

神田のアートギャラリー環で昨年に続いて坂崎香織展「あやぶむ」が開かれている(3月27日まで)。昨年も紹介したが、作品はますます妖しく魅力的になっている。作家は1984年東京生まれ、女子美術大学卒業。作品に繰り広げられる性的な妄想は若い娘のそれで…

田毎の月の謎

信州姥捨の田毎の月が有名だ。何十枚だか何百枚だかある小さな棚田に月が映るのを愛でる話だ。長い間疑問に思ってきたことがある。田毎の月というのは、見る者が移動するにつけ、月が次々と映る田を変えていくのか、あるいは一挙に何十枚の田に月が映るのか…

羽藤雅敏@ギャラリー現:久しぶりに優れた抽象作品を見た

銀座1丁目のギャラリー現で羽藤雅敏展が開かれている(3月27日まで)。 羽藤は1977年神戸市生まれ、大阪芸大美術科を卒業後、関西では活躍していたようだが、東京での発表は初めてだという。久しぶりに優れた抽象表現主義の作品を見ることができた。 アク…

「邪馬台国」はなかった

3月21日の朝日新聞にミネルヴァ書房の全面広告が載っていた。その3分の2が古田武彦の書籍の広告だった。「古田武彦・古代史コレクション」全6巻。 1. 「邪馬台国」はなかった 2. 失われた九州王朝 3. 盗まれた神話 4. 邪馬壹国の論理 5. ここに古代王朝…

「作家はつぶやく」の吉田哲也に関するテキスト

先日紹介した佐倉市立美術館の「作家はつぶやく」の吉田哲也に関して、同展を企画された学芸員の黒川公二さんが、本展図録にテキストを書かれている。了承をいただいたので、「吉田哲也」に関する全文を掲載する。 本展に出品された吉田の作品は針金やトタン…

ヤブザクラ満開

近所のヤブザクラが満開、というより盛りを過ぎている。 2年ほど前、この桜の下に落ちているサクランボを拾って播種したら、1本発芽した。昨年それが30センチほどに伸びたので、秋に半分くらいの高さで剪定した。桜の盆栽を作るつもり。現在の姿がこれ。 …

サリンジャーの新作?

ネットのニュースで、サリンジャーがマイケル・ミッチェルに宛てた手紙が公開されたと報じていた。マイケル・ミッチェルは「ライ麦畑でつかまえて」の装丁をしたデザイナーとのこと。1966年10月16日付けのその手紙に、サリンジャーがすでに小説2冊分の草稿…

村松画廊とギャラリー山口の閉廊

昨年暮れから今年1月にかけて、現代美術の中心的な画廊が2軒閉廊した。68年の歴史を持った村松画廊と30年の歴史のギャラリー山口だ。2月23日の読売新聞に編集委員の菅原敦夫がこの辺のことを書いている。 昨年、東京・京橋で数軒の貸画廊が閉店した。その…

作曲家中田喜直の評伝「夏がくれば思い出す」

朝日新聞3月6日「be on saturday」の「歌の旅人」は中田喜直特集だった。中田は「夏の思い出」「ちいさい秋みつけた」「雪の降る街を」など誰でも知っている歌曲を作った作曲家。たくさんの歌曲や童謡のほかに何百もの小学校中学校高校などの校歌、合唱曲…

2度の満月

今日3月16日は新月だ。だから15日ずつ前後する3月1日と3月30日は満月となる。今月は満月が2回もあるのだ。しかし、そのため2月は満月が1度もなかった。同様に1月も満月が2回あったのだ。

辛口美術コラム集「当世美術界事情II 1990-1999」

安井収蔵「当世美術界事情II 1990-1999」(美術年鑑社)は安井が「新美術新聞」に1990年から1999年まで連載したコラムをまとめたもの。もう10〜20年も前になるし、コラムという時事性の強い性格から古くなった話も多い。しかし、著者の強い批判精神からまだ…

佐倉市立美術館の吉田哲也

佐倉市立美術館で「作家はつぶやく」という展覧会が開かれている(3月22日まで)。出品作家は喜舎場盛也、戸來貴規、宮嶋葉一、吉田哲也、和田淳の5人。この内、戸來と喜舎場がアール・ブリュット、和田がヘタウマの極みのアニメ、宮嶋が単純な線と形のタ…

高所恐怖症ではできない撮影

阿佐ヶ谷のギャラリー香染美術で飯村昭彦写真展を見た。「芸術状物質の謎」と題して、コンクリートの壁面にできた汚れや建物の破損などを芸術状物質と名付けて撮影している。同名の写真集の出版記念展だ。 案内のハガキによると、飯村はあのトマソンの煙突写…

本の見方

タイトル「本の見方」は羊頭狗肉であることをまずお断りする。大したことを書くわけではない。 本を見るときの手順を書いてみたい。最初に見るべきページは奥付である。最後のページだ。書名、発行年月日、著者、発行所、ときに発行者、印刷所、製本所、著作…

成金と相手の余裕の見分け方

再び、中島誠之助「ニセモノ師たち」(講談社)から役に立つエピソードを。 1990年代初頭のバブル期終焉の頃、関西のある高級住宅地に住むご婦人から、骨董品を鑑定してほしいという依頼が舞い込んだことがあります。一度は断ったんですが、10万円お支払いす…

骨董商は信用できないか

中島誠之助の「ニセモノ師たち」(講談社)を読んだ。骨董の世界のニセモノの数々の例と、それを作るニセモノ師、ニセモノを流通させる骨董商の世界を描いている。著者は「開運! なんでも鑑定団」の陶磁器の骨董品に関する名物鑑定士だ。「いい仕事をしてま…

カキのバタ焼き

カキフライのメニューを用意している店はそこそこあるが、カキのバタ焼きがある店は少ない。フライだと衣?がある分、カキ自体が大きくなくても量感が出せるし、あるいは数が少なくても恰好がつく。バタ焼きでは大きなカキを使用しなければならないので、必…

宮岡伯人「エスキモー 極北の文化誌」を読む

千野栄一が「ことばの樹海」(青土社)で、青木晴夫「滅びゆくことばを追って」(岩波同時代ライブラリー)が面白いと推薦していたので読んだら実に面白かった。そのことは私も先日(3月4日)紹介した。千野はもう1冊、宮岡伯人の「エスキモー 極北の文化…

街で見かけた秀逸なコピー

探偵社AGのポスターが街に貼られている。そのコピー(キャッチコピー)がよくできている。 「負けないで!」 AGがあなたを応援します。 コピーは「負けないで!」と呼びかけている。これが秀逸だ。探偵社に相談しようとする人は、自分の行為を恥じる気持ちが…

「悩みのるつぼ」の車谷長吉のユニークな回答にコメントする

朝日新聞の人生相談コラム「悩みのるつぼ」の3月6日の回答者はいつも奇抜なアドバイスをする直木賞作家の車谷長吉だ。相談者は40代の独身女性会社員、相談のタイトルが「結婚に性交渉は必須ですか」で、もうのけ反ってしまう。 30歳で、子宮の病気がわかり…

郷隼人氏の本名は?

3月1日の朝日新聞の朝日歌壇に馬場あき子選で郷隼人の短歌が採られた。郷隼人はこの欄の常連だが、殺人を犯してアメリカの刑務所で服役中だ。名前はペンネームらしい。 桜島がドカンと噴いて〈火山雷〉疾る夜空を瞼に描く (噴いて=ふいて、火山雷=かざ…

権代敦彦のピアノ曲「無常の鐘」

先月27日に杉並公会堂小ホールへ矢沢朋子ピアノ・ソロ(〜現代音楽への誘い〜)を聴きに行った。当日のプログラムは、ラヴェルの「夜のガスパール」から「絞首台」を演奏した他はすべて現代音楽だった。最初に委嘱作品で世界初演のヨハン・ヨハンソンの「題…

青木晴夫「滅びゆくことばを追って」が面白い

言語学者千野栄一の言語に関するエッセイ「ことばの樹海」(青土社)が面白かったが、そのなかで千野が、青木晴夫の「滅びゆくことばを追って−−インディアン文化への挽歌」を推薦している。 ある一人の日本人がアメリカのカリフォルニア大学の言語学科を卒業…

山崎省三の「回想の芸術家たち」を読む

山崎省三「回想の芸術家たち」(冬花社)を読む。山崎は1930年生まれ、新潮社に入社し、長く「芸術新潮」の編集長を務めた。文章がうまい。本書で取り上げられた芸術家たちは、林芙美子、石井鶴三、厳本真理、岡本太郎、瀧口修造、土方定一、利根山光人の7…