上関原発に関して、三たび

 昨年、「上関原発に反対します」(2009年9月24日)を書いたが、最近朝日新聞でも「上関原発 開発か保護か」と題されて取り上げられた(2010年3月25日)。
小見出しが「瀬戸内海 希少種の宝庫、学会が『待った』」というもの。

 瀬戸内の希少生物を守りたい−−生態系の研究者らが集う学術3学会が、山口県上関町の中国電力上関原子力発電所の建設計画に「待った」を求めている。絶滅危惧種の宝庫で、瀬戸内海の再生に支障が出るというのだ。
(中略)
 原発計画が進む上関町は周防灘にある。ここに、約14ヘクタールの海を埋め立てて上関原発を造成する計画だ。
 周防灘は、かつての瀬戸内海の象徴だった干潟や自然海岸が残っている。クジラの一種で希少種のスナメリが生息。スナメリのエサとなるイカナゴも群れ、「生きた化石」と言われるナメクジウオもすむ。国内では絶滅が危ぶまれているハマグリやアオギスなども生息する。
(中略)
 日本生態学会、日本鳥類学会、日本ベントス学会は今年1月に広島市で、3月には東京でシンポジウムを開催。予定地を含む周防灘を「瀬戸内海の豊かさが残る最後の場所」とし、「国際的合意の見地から環境保全に格段の配慮が必要」と指摘。埋め立て工事の一時中断や環境影響調査のやり直しを訴えた。

 埋め立て以上に、専門家らは運転時に出る「温排水」による周辺環境への悪影響を懸念しているという。

 瀬戸内海は閉鎖性水域だ。京都大学大学院の加藤真教授(生態学)は、「内海に原発を作るのは生物多様性にとって最悪の選択肢。瀬戸内海再生の可能性を葬り去ることになりかねない」と指摘する。

 以前のエントリーで書いたように、原発予定地の対岸に位置する祝島の住民たちにも大きな影響がある。住民の賛否を問うとき、安易に現在の多数決をとるだけではなく、住民たちが将来持ちうる意識=可能意識まで見据えて、慎重に結論しなければならない。
「ホンダのオートバイ開発、また可能意識という概念」(2007年7月31日)