難波田史男の作品

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 いただいたカレンダーが壁に掛かっている。今月は難波田史男の「ある日の幻想」だ。難波田史男は難波田龍起の次男、瀬戸内海を航行中の船から転落死する。享年31歳。

 たくさんのペン画を残した。史男の作品を数多く収蔵している東京オペラシティアートギャラリーの常設展などで、作品は何度も目にしてきたが、あまりじっくりと見ることはなかった。

 カレンダーに取り上げられたことで、2月は毎日史男の絵を見ている。17.5×15cmの小さな作品だという。どこかクレーを思わせるのは、史男がクレーを好きだったのだろう。だが史男の作品は子どもの落書きとか、電話をしながらの手すさびのような印象だ。美術市場で流通したり美術館に収蔵されるようなレベルとは思えない。父親の威光で評価されているのだろうか。

 もっとも美術市場では、石井一男などという三流の画家の絵もそこそこ高値で流通しているから、市場で流通することが作品の価値を担保するわけではない。画商としては、売れれば取り扱うだろう。両腕がなく、口に絵筆をくわえて描いている画家もいる。作品の質とは別に、それが話題になっている画家もいる。足で描いて、そのことで欧米で評判になった具体美術の白髪一雄という画家もいる。白髪の作品は現在1点で億を超えているのではないか。やはりつまらない作品が億を超えている草間彌生の例もある。美術市場で流通することも、作品が高値で取引されることも、作品の質を担保するわけではないことの証明だ。