言語

故郷のイントネーション

穂村弘が「絶叫委員会」という連載コラムに「発音の話」を書いている(『ちくま』7月号)。 トンカチのイントネーションはトンカチと思い込んでた本当はトンカチ エース古賀 「トンカチのイントネーション」には具体的な説明がなく、読者の想像に任されてい…

田中克彦『ことばは国家を超える』を読む

田中克彦『ことばは国家を超える』(ちくま新書)を読む。田中はモンゴル語が専門の言語学者で、広く言語学全般、民族学、社会学にも造詣が深い。私の最も好きな言語学者で、私は田中の著書を20冊近く読んでいるファンなのだ。クレオール語やモンゴルの歴史…

「ファクトで会話する」??

日本経済新聞の地下鉄の広告がこれだ。 多くのジャンルに対してファクトで会話する。これだけで仕事上の評価も違う。だから日経電子版。「質の高い特集」と毎日、触れておく。365日分の差は、大きい。月4,277円の価値は、ある。 「ファクトで会話する」って…

島泰三『ヒト、犬に会う』を読む

島泰三『ヒト、犬に会う』(講談社選書メチエ)を読む。副題が「言葉と論理の始原へ」で、タイトルとそぐわない。実は本書は言葉の発生を追求している。ヒトは犬との共生によって言葉を得たという驚くべき仮説を論証するのだ。 全体の20%を占める第1章が「…

「入水」という言葉の意味

NHKニュースを見ていたら、水泳の跳び込み競技でアナウンサーが、跳び込んだ選手が「入水(にゅうすい)の前に云々」と叫んでいた。入水と発音するのは読みも意味も違うのではないかと思った。 もう60年近く前になるが、私が中学生のころ、夏休み前に学校か…

『現代ヨーロッパの言語』を読む

田中克彦・H. ハールマン『現代ヨーロッパの言語』(岩波新書)を読む。田中とハールマンの名前が並んでいるが、二人の共著で、田中はモンゴル学と言語学が専攻の優れた言語学者、ハールマンは12歳年下のドイツの言語学者である。 前半半ば近くが第1部「言語…

再び、日本語のピジンイングリッシュ化を危惧する

白井恭弘『ことばの力学』(岩波新書)に、渋谷の街で英語の広告を見かけた話が紹介されている。 先日、渋谷の街を歩いていたら、目の前に巨大な広告塔があり、すべて英語でコンサートを宣伝していました。外国のアーティストかなと思って近づいて行ったら、…

『言語学の教室』を読む

西村義樹・野矢茂樹『言語学の教室』(中公新書)を読む。副題が「哲学者と学ぶ認知言語学」というもの。認知言語学なんて本書で始めて知った。これはチョムスキーの生成文法に対する批判から80年代に生まれた新しい言語学とのこと。認知言語学者の西村に哲…

大野晋「日本語の源流を求めて」を読んで

4年前、発行されたばかりの時に買っておいた大野晋「日本語の源流を求めて」(岩波新書)をやっと読んだ。日本語の源流に南インドのタミル語が深く影響しているという著者の主張が何だか信じられないような気がしていて、それでなかなか手に取る気になれな…

日本語の基盤にアクセントはない

詩人の藤井貞和「日本語と時間」(岩波新書)を読んだ。副題が「〈時の文法〉をたどる」として、古代人が使い分けた過去の表現を分析している。かつては過去を表すのに「き」「けり」など6種もの「助動辞」を使い分けたのが現在では「〜た」一辺倒になって…

千野栄一の「外国語上達法」がすばらしい

千野栄一「外国語上達法」(岩波新書)がすばらしい。名著と言っていいのではないか。1986年に初版が出て昨年暮れまでの23年間に38刷りを発行している。著者は外国語にコンプレックスを持っていたと書きながら、語学が不得意だと言いながら、 考えてみると、…

国家とは陸海軍をそなえた方言、田中克彦「エスペラント」

私の最も好きな言語学者、田中克彦「エスペラント」(岩波新書)より。 これらの新しい書きことばは、民族の独立を準備し、民族が民族であると主張できる根拠・シンボルとして新しい価値を獲得した。ルーマニア語、エストニア語、フィンランド語、スロヴェニ…

イントネーション

初めて東京に来た頃、あんたは訛りがないけれどどこの出身? と聞かれた。複数の人たちから何度も。訛りがないのならどうして東京の出身? と聞かないのだろうと不思議だった。その答は十年以上経ってから分かった。産業用スライドのナレーション録りをした…