村松画廊とギャラリー山口の閉廊

 昨年暮れから今年1月にかけて、現代美術の中心的な画廊が2軒閉廊した。68年の歴史を持った村松画廊と30年の歴史のギャラリー山口だ。2月23日の読売新聞に編集委員の菅原敦夫がこの辺のことを書いている。

 昨年、東京・京橋で数軒の貸画廊が閉店した。その代表格は年末に閉じた村松画廊。1942年、東京・銀座にオープン、以来活動を続け、堀内正和、李禹煥(リウファン)氏ら、現代美術の歴史に残る作家の仕事を紹介してきた。
 また、先月いっぱいでやはり京橋に会ったギャラリー山口が閉じた。80年に銀座にオープン、野見山暁治、篠原有司男氏らベテランから若手までを意欲的にバックアップしてきたが、経営難による閉廊と見られる。これには先月中旬、画廊主が自らの命を絶つという痛ましい出来事も重なった。

 村松画廊は開催した展覧会の全記録を作った。それは見事なデータベースだ。以前閉廊したときわ画廊がすばらしい全記録集を作ったが、その何倍もの厚さがあり、大きな意味があると思う。
 ギャラリー山口の最後は痛ましいものだった。彦坂尚嘉氏のブログにこの山口さんのことが紹介されていた。「訃報 山口光子さん」
http://hikosaka2.blog.so-net.ne.jp/2010-01-21
 山口光子さんの名前の漢字は、正確にはイ(にんべん)に光。
 年末、野見山暁治さんに、1月で閉廊することになったので、預かっている作品を返したいと連絡し、亡くなる前には飼っていた猫を知人に譲ったという。12月まで翌年の貸画廊の予約を受け付けていたから、1月の閉廊は本当に急なものだったのだろう。予約した作家たちから預かった前金も一切返せなかったようだ。