羽藤雅敏@ギャラリー現:久しぶりに優れた抽象作品を見た

 銀座1丁目のギャラリー現で羽藤雅敏展が開かれている(3月27日まで)。
 羽藤は1977年神戸市生まれ、大阪芸大美術科を卒業後、関西では活躍していたようだが、東京での発表は初めてだという。久しぶりに優れた抽象表現主義の作品を見ることができた。



 アクリルで描いている。色彩が美しい。抽象にも関わらず画面に奥行きが感じられる。雑誌「PARFUM」2009年10月号に見開きで紹介されている。羽藤の言葉から、

筆線を画面に重ね、あるときには大きな半透明なフィルム状(サランラップ)の面で直接画面上に置き接触する。矩形画面に従いオールオーバーに線と面の交差の表情に従いながら試している。画面との距離を保ちはするものの、完成するための秩序あるプロセスもなく、具象的に想定することもない、ただ画面の表面の表情だけを描き続けていく。完成は見えなく、優柔不断、判断基準も曖昧模糊としていきつくことなく、これ以上すすめていいのか、自己裁定がきかなくなったとき筆を置いている。次の制作ににと、リレータッチするように次に継げていくように反復する。

 画廊には、あまり自信なさそうな画家が控えている。彼は知らないのだ。自分がどんなに優れた画家だかということを。こういう画家に会えるから画廊回りはやめられない。今日は29軒の画廊を回ったのだったが。


羽藤雅敏展
2010年3月22日(月)〜27日(土)
ギャラリー現
東京都中央区銀座1-10-19 銀座第一ビル3F
電話03-3561-6869
http://www.jpartmuseum.com/g_gen/