タイトル「本の見方」は羊頭狗肉であることをまずお断りする。大したことを書くわけではない。
本を見るときの手順を書いてみたい。最初に見るべきページは奥付である。最後のページだ。書名、発行年月日、著者、発行所、ときに発行者、印刷所、製本所、著作権者、ISBNなどが印刷されている。これがその本の基本情報だ。これを見ればいろいろなことが分かるだろう。
ぼくらの頭脳の鍛え方
2009年(平成21年)10月20日 第1刷発行
2009年(平成21年)11月10日 第4刷発行
著 者 立花隆・佐藤優
発行者 木俣正剛
発行所 文藝春秋
印刷所 理想社
付物印刷 大日本印刷
製本所 大口製本
(C)Tachibana Takashi, Sato Masaru 2009 Printed Japan
ISBN978-4-16-660719-8
「ぼくらの頭脳の鍛え方」は私が買ったのが4刷り、1刷りから4刷りまでわずか20日しかかかっていない。よく売れているのが分かる。発行者は普通出版社の社長の名前を使う。戦前の治安維持法の名残で、何かの時は発行者が罰せられた。現在は発行所のみで発行者を表示しない出版社も多い。
(C)表示は以前アメリカがベルヌ条約だったかに加盟してなかったので、著作権のために必要だった。現在はアメリカもその条約に加盟しているので表示しなくても著作権は自動的に発生する。そのこととは別に著作権者と著作権が発生した年を表示するので便利だ。
ISBNは国際的な図書の個別番号を表す。-4-は国籍日本を表し、-16-は出版社記号、早川書房では-15-、平凡社では-582-となる。-660179-は書籍に固有の番号、最後の-8は数字の正誤をチェックする記号。
奥付は日本では最後のページになるが、欧米では本扉の裏を当てている。欧米の左開きで本扉の裏は、日本の右開きでは物理的に最後のページになる。それで日本の奥付の位置が決まったのではないかと推測している。ただし、日本の書籍でも翻訳書の場合は、奥付とは別にしばしば本扉の後ろに英文の奥付を入れている。ディック・フランシス「大穴」(ハヤカワ文庫)の場合、
日本語版翻訳権独占
早川書房
(C)1976 Hayakawa Publishing, Inc.
ODDS AGEINST
by
Dick Francis
Copyright (C)1965 by
Dick Francis
Translated by
Mitsu Kikuchi
Published 1976 in Japan by
HAYAKAWA PUBLISHING, INC.
This book is published in Japan by arrangement
with JOHN JOHNSON through
TUTTLE - MORI AGENCY, INC., TOKYO
となっている。ディック・フランシスの原文での初版発行が1965年、東京のタトル・モリ・エイジェンシーを通じて早川書房が翻訳権を取得し、日本での初版発行がキクチ・ミツ(菊池光)訳で1976年ということが分かる。
タトル・モリは翻訳権の代理店では日本の老舗、元はタトル商会と言った。タトルさんが英国だかへ帰国する際、一緒にやっていた森さんに会社を譲って以後タトル・モリ商会と名乗るようになったのではなかったか。神田の岩波ホールの裏手に会社がある。