言葉

金田一春彦『美しい日本語』を読む

金田一春彦『美しい日本語』(角川ソフィア文庫)を読む。2002年に角川oneテーマ新書21として刊行された『日本語を反省してみませんか』を改題したもの。5つの章からなっていて、「『常識度』模擬試験」「周りを引き付ける人の日本語力」「『話せばわかる』…

黒田龍之助『その他の外国語 エトセトラ』を読む

黒田龍之助『その他の外国語 エトセトラ』(ちくま文庫)を読む。初めてのエッセイ集の由で、4つの章に分かれていて、「33文字の日常」「22の不仕合せ」「海外旅行会話11の法則」「11年目の実践編」からなっている。 黒田はロシア語から始めて、ウクライナ…

瀬戸賢一『時間の言語学』を読む

瀬戸賢一『時間の言語学』(ちくま新書)を読む。「はじめに」より、 本書は小著だが、一般に世にある時間論とは一線を画する。私たちが頭の中で時間をどのように考えるのかを、数多くの実際のことばの分析によって明らかにし、無意識的に使われるメタファー…

鈴木孝夫『教養としての言語学』を読む

鈴木孝夫『教養としての言語学』(岩波新書)を読む。同じ著者の岩波新書『ことばと文化』『日本語と外国語』を読んできたが、本書は題名ほど硬い本ではない。 記号、あいさつ、指示語、人称、言語干渉の5章からなっている。鈴木は少年の頃から野鳥が好きで…

鈴木孝夫『日本語と外国語』を読む

鈴木孝夫『日本語と外国語』(岩波新書)を読む。鈴木はアメリカのホテルでレンタ・カーを呼んだとき、オレンジ色の小型車が行くからと言われた。ところが車はなかなか現れなかった。ハッと気がついて、さきほどから停まっている茶色の車がそれかもしれない…

鈴木孝夫『ことばと文化』を読む

鈴木孝夫『ことばと文化』(岩波新書)を読む。先日、鈴木孝夫・田中克彦『【対論】言語学が輝いていた時代』を読んで、鈴木孝夫をもっと読みたいと思って手に取った。期待どおりのおもしろい本だった。 ことばの意味や使い方には構造があって、それが言語に…

田中克彦『名前と人間』を読む

、 田中克彦『名前と人間』(岩波新書)を読む。もう21年前に出版されている。おそらく出版されてすぐ読んだはずだから21年ぶりの再読だけど全然記憶がなかった。しかし地味な題名で損をしていると思う。内容はとても面白いのに。 田中は本書で固有名詞につ…

鈴木孝夫・田中克彦『【対論】言語学が輝いていた時代』を読む

、 鈴木孝夫・田中克彦『【対論】言語学が輝いていた時代』(岩波書店)を読む。鈴木は慶応大学名誉教授で優れた言語学者。田中は鈴木より8歳年下でモンゴル語専攻のこれまた優れた言語学者だ。その二人の対談が【対論】と題されている。単なる対談ではない…

小島剛一『漂流するトルコ』を読む

小島剛一『漂流するトルコ』(旅行人)を読む。副題が「続「トルコのもう一つの顔」」とあり、中公新書の『トルコのもう一つの顔』の続編。前著が1991年に発行されているが、その前に小島はトルコから国外追放になっている。 その後国外追放が解除されて小島…

小島剛一『トルコのもう一つの顔』と『トルコのもう一つの顔・補遺編』を読む

小島剛一『トルコのもう一つの顔』(中公新書)と『トルコのもう一つの顔・補遺編』(ひつじ書房)を読む。小島は言語学と民族学の専門家。もう50年近くフランスに住んでいる。『トルコのもう一つの顔』は25年前の発行。トルコを研究するようになったのは、…

『超明解! 国語辞典』を読んで

今野真二『超明解! 国語辞典』(文春新書)を読む。読売新聞の書評欄で出口治明が推薦していた(6月7日)。 本書は、7つの小型国語辞典を辞書探偵(著者)がとことん調査したものである。一見無味乾燥とも思われる辞書の比較が、これほど楽しく面白い読み物…

『新編 日本語誤用・慣用小辞典』を読む

国広哲弥『新編 日本語誤用・慣用小辞典』(講談社現代新書)を読む。本書は以前『日本語誤用・慣用小辞典』として同じ新書で発行した正編と続編を併せたものという。全5部から構成されていて、「意味の誤用」「表現の誤用」「語形の誤り」「漢字をめぐる諸…

ロジャー・パルバース『驚くべき日本語』がおもしろかった

ロジャー・パルバース/早川敦子・訳『驚くべき日本語』(集英社インターナショナル)が面白かった。パルバースはアメリカ生まれ、ロシア語とポーランド語を学び、23歳で来日し日本語を学んだ。いまでは4カ国語を話すという。とくに日本語では小説も書いて…

ちょっと気になる言葉の使い方

たまたま目にしたSNSの掲示板に、ちょっと気になる言葉の使い方があった。 飼っている猫が太りすぎて、獣医からドクターストップがかかってしまったという。それで買いだめしておいたキャットフードが使えなくなった。「少し割高な未開封×××2kg2袋、○○7袋…

過度な敬語使用の弊害を憂う

最近過度な敬語の使用が目立つ印象がある。とくに職場での敬語や店の店員の使用する敬語が多すぎるように思う。上司が部下に敬語を使っている例さえまれではない。おそらく敬語使用に関して自信がないのではないか。過度に使うことで敬語を使わないミスを防…

片岡義男『日本語と英語』を読む

片岡義男『日本語と英語』(NHK出版新書)を読む。なかなか楽しかった。片岡は祖父がハワイの日系移民、父が日系2世で、少年時ハワイで過ごした経験があるという。幼い頃から日英の言語に親しみ、また二つの言語の微妙な違いにも関心を持ってきたようだ。日…

外国語の難しさ

朝日新聞2011年11月7日朝刊に、朝日の記者にもウイルスが組み込まれたメールが来たと紹介されている。北京駐在の峯村記者あてに、なりすましメールが来た。その一部、 峰村先生 先生の中国航空母艦についでのニュスを拝読したいことがあります。先生の頑張…

田中克彦「漢字が日本語をほろぼす」を読んで

田中克彦「漢字が日本語をほろぼす」(角川SSC新書)を読む。私は当用漢字などの漢字制限に反対で、安易に漢字を制限すべきではないと思っているから、このようなタイトルの本は手に取ることもしないのだが、著者が私がもっとも尊敬する言語学者の田中克彦さ…

「英語と日本語のあいだ」を読んで

菅原克也「英語と日本語のあいだ」(講談社現代新書)を読んだ。文部科学省が2013年から高校の英語教育を大幅に変えることを決めたという。新指導要領で名前を「コミュニケーション英語」に変え、会話を主体とし授業も英語だけで行うことにした。そのことを…

想定外とは

原発事故に関連して、「想定外」という言葉が聞かれる。それが何だかうさんくさい感じがする。なぜなんだろう。 日本語は主語を省くことができる。省いても誰の発言なのか普通はわかるだろう。その構造を利用して、本来必要なのにあえて「誰の発言なのか」を…

教えを乞う

どなたか教えていただきたいことがある。 もう10年来の疑問なのだが、「取りにうかがいます」という言い方について、その正誤を知りたい。 「〜うかがいます」だったら「頂きにうかがいます」ではないのだろうか。あるいは「頂きにまいります」とか、「頂き…