東京八丁堀のFUMAコンテンポラリー東京/文京アートで小山田二郎展「欲望と安寧1950s-‘60s」が開かれている(11月16日まで)。ギャラリーのテキストから、
小山田二郎(1914 -1991)は2歳で顔に大きなアザが現れるウエバ―氏病を発症。
周囲から奇異の目に晒され差別を受けたことで、内向的になっていったことは想像に難くない。
文学や絵画に没頭し、空想の世界に浸ることで心の平穏を保ち、まるで描くことが生きることそのものであるかのように、多くの秀作を生み出した。
また戦後、社会への不条理にも目を向け、1950年代初頭には「いやなやつ」や「食卓」のシリーズを世に送り出す。際限のない欲望が諸悪の根源であるかのように、時の権力者や人間の業の深さを時にはユーモラスに、時にはこの上もなく憎悪に満ちた人間像として作り上げた。
本展では、これらのシリーズを主に生涯にわたり描き続けた「鳥女」シリーズを加え、油彩画・水彩画、約20点を展示し、画業前期を回顧する。
小山田二郎の代表作は鳥女シリーズだ。小山田の病気の下顎から生まれたような鳥の顔を持った人の姿は痛ましく、残酷な印象で、同時にそれが美しい色彩で描かれている。鳥女は小山田自身でもありながら、人間の根源的な悲惨をも表しているのだろう。優れた画家だと思う。
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小山田二郎展「欲望と安寧1950s-‘60s」
2024年11月5日(火)-11月16日(土)
12:00-19:00(日月祝日休廊)
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フマ コンテンポラリー東京/文京アート
東京と中央区入船1-3-9 長崎ビル9F
電話03-6280-3717