片山杜秀の「音盤考現学」(アルテスパブリッシング)を読んだ。著者はあの「近代日本の右翼思想」(講談社選書メチエ)を書いた人だ。
「音盤考現学」は雑誌「レコード芸術」に「傑作!? 問題作!?」というタイトルで連載されていていつも読んでいた。しかしちょっと半端な扱いをされていて、雑誌の後ろの方に小さな活字でぎっしりと組まれていた。内容は少し変わったクラシック音楽のCDの紹介で、取り上げる作品はマイナーなものが多かった。ただ随分物知りな人だなあと思っていたが、一昨年だったか突然右翼思想に関する優れた本を書いて、現在は慶應義塾大学の法学部準教授になったらしい。
経歴を見ると、200枚以上のCDのライナー・ノートを手がけ、ナクソスというレーベルの「日本作曲家選輯」の企画構成を担当、日本近代音楽研究の業績により京都大学人文科学研究所から人文科学研究協会賞を受けたとある。
本書の続刊が「音盤博物誌」でその宣伝文句が、
シューベルトは近眼派音楽の元祖? 金満的ヴィブラートの淵源はクライスラー?? ショスタコは恋愛映画御用達??? ますます冴え渡る着想と、畳みかける文体に溺れる快楽。
と、ある。しかしタイトルのだささはどうにかならなかったのか。
- 作者: 片山杜秀
- 出版社/メーカー: アルテスパブリッシング
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