マンションの結露の問題

 昨年の冬〜春頃、集合住宅の管理の仕事をしていたとき、住民の一人から結露がひどいから見てほしいと言われて、上司と二人で賃貸契約の民間マンションへ出かけた。すぐ玄関脇の北側の廊下に面した部屋を見せられた。4帖半くらいの部屋は荷物で一杯になっている。床はフローリングだ。上司が部屋に入っていくと床に濡れた足跡が付いた。この人こんなに脂足なんだ、ちょっと嫌だなと思ったら、脂足ではなく床にびっしりと付いた結露のせいだった。窓際の壁には水滴が付いてところどころ床まで垂れている。
 冬はもっとひどいんです、床に水たまりができますから。衣類もカビだらけで、子どもたちが使っていたおもちゃなんかもこの部屋へ置いておいたものはどれも使えなくなりました。箪笥の後ろの壁はカビだらけです。
 上司の指導はとにかく換気をするように、できるだけ窓を開け、換気扇も24時間回しっぱなしにすること。
 住人は水商売をしていて、朝仕事から帰って食事をし、風呂に入って1時間タイマーをセットして換気扇を回して寝てしまうという。1時間で止めるのは電気代のためらしい。浴室は窓がなく換気扇が止まれば湯気は室内に回るほかはない。床に水たまりができるほどの水分は風呂から蒸発する水蒸気が供給源だった。結露する部屋の外に面した壁はきちんと断熱材が入っている。
 帰途、上司が言うには、(浴室が密閉されている)あの構造では浴室の換気扇は24時間回し続けなければ結露してしまうだろう。建物の構造が原因の半分、もう半分の原因は住み方に問題があることだ。
 このマンションは築10年くらいで、外見はオシャレできれいに見えた。ただ庭への門扉と鉄柵はチャチで早くもガタがきており、いかにも安上がりの造作に思えた。結露の問題は意外と多くて対策は難しいのだそうだ。