shiseido art egg という公募展

 資生堂が主催する「shiseido art egg 」という美術の公募展、新人賞がある。資生堂のホームページによれば、shiseido art egg とは、

shiseido art egg(シセイドウアートエッグ)は、広く資生堂ギャラリーの門戸を開放する公募展です。発表の場を求める新進アーティストの皆さんに、資生堂ギャラリーのスペースを個展会場として3週間無料で開放し、展覧会開催に向けて様ざまなサポートを行います。
応募の際に提出していただくのは、資生堂ギャラリーでの展覧会プランとこれまでの活動内容をまとめたポートフォリオです。作品のクオリティーだけでなく、資生堂ギャラリーの空間で何をどのように表現しようとしているのかという点を評価の重要なポイントとして審査を行い、3人(組)のアーティストを選出します。入選者は、資生堂ギャラリーで開催される通常の企画展と同様、学芸員、専門スタッフと話し合いを重ね、共に展覧会を作りあげていきます。
また、展覧会を開催して終了、ではなく、展覧会終了後に3つの個展の中からshiseido art egg賞を選出、その成果を新たな評価へとつなげる仕組みとしています。
このように、資生堂ギャラリーは、公募展という活動を通じて、「新たな美」によって次代を切り開く先進性をもったアーティストのキャリアアップをサポートしていきたいと考えています。

 その展覧会が終わり、まもなくshiseido art egg賞が発表されるだろう。今年は宮永愛子、佐々木加奈子、小野耕石の3人が個展を行った。
 宮永はナフタリンでオブジェを作り、透明なケースの中でナフタリンは昇華してゆきケースに結晶を作る。
 佐々木加奈子はボリビアにある沖縄村を取材したビデオ作品を展示した。戦後多くの沖縄の人達がボリビアに移住したという。
 小野耕石は床面に敷かれた大きな版画状の作品を展示した。
http://www.shiseido.co.jp/gallery/exh_0901/html/index.htm
 私は何もこの企画を貶そうと思っているわけではない。これだけ異色のものにどうやって優劣をつけることが出来るのかと思うのだ。
 小学校低学年の頃、担任の先生がバナナとりんごの味は比べられないと言った。違うものを比べることはできないと。私にはそれが分からなかった。当時バナナは高級な果物で、りんごはわが家の庭に大きな木があった。バナナがいいのに決まっていると思ったのだ。
 現実にわれわれはバナナとりんごを比べている。自分の嗜好によって、あるいは価格によって。価格に換算すればどんな異質なものもひとつの価値観に置き換えることができる。しかし、それは交換価値に置き換えただけなので、バナナとりんごの優劣が決定したわけではない。
 shiseido art egg賞の審査員たちも大変だなあ。