櫟画廊の窪田美樹展「移送」を見る


 東京銀座の櫟画廊で先週窪田美樹展「移送」が開かれた。窪田は1975年、神奈川県生まれ。2001年に武蔵野美術大学大学院彫刻コースを修了している。主な個展・グループ展は、2006年第3回府中ビエンナーレ、2008年資生堂ギャラリーの第3回shiseido art egg、所沢ビエンナーレ・プレ展「引込線」、2009年第1回所沢ビエンナーレ「引込線」、2010年あいちトリエンナーレ2010など、また最近はhpgrpギャラリー東京で個展を開いている。
 今回櫟画廊での個展では6日間毎日窪田が画廊に置かれた品物を少しづつ動かしていくという。DMはがきから、

一つの空間に置かれていたものを移送する。紙、彫刻、板、絵画、砂、瓶、写真、その空間では二つの営みが交差していた。個人経営の小さなバーと、一人の常連が企画した美術展。そこから取り出した作品と、作品かもしれないものを展示する。

 私は4月17日(2日目)と19日(4日目)、20日(5日目)、21日(6日目)に画廊を覗いてみた。2日目、画廊の正面の壁の下部から左に向かって何やら雑然としたものが並べられていた。右端に紙をくしゃくしゃにした大きな塊を置き、そこから徐々に小さなものが列状に並んでいる。布切れ、倒立した椅子、花瓶、小枝、ぬいぐるみの動物、鍵、袋、紐、絵などなど。
●2日目



●4日目


●5日目




●6日目(最終日)




 最終日には映画の上演があるということで、私が行った時刻はすでに片付けが始まっていた。毎日ものを少しづつ動かして、最後にそれらが何かに変わるというようなある種のカタストロフ=大詰めがあるのかもしれないと思っていたが、肩透かしされた。淡々と進められた「移送」のパフォーマンスは淡々と終わるのだった。
 すると大事なことは毎日ただ少しづつ動かしているということなのだろうか。50年近く前に発行されたという都立大学学生運動の新聞というのがあったが、反日武装戦線発行というその新聞も今回の展示とは何の関係もないらしかった。残念ながら私にはよく分からない展示だった。
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窪田美樹展「移送」
2018年4月16日(月)〜4月21日(土)
11:00〜19:00(最終日14:00まで)
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櫟画廊
東京都中央区銀座7-10-12
電話03-3571-0347