洋裁をおぼえたい


 資生堂がPR誌『花椿』を発行している。この雑誌が好きでデパートなどの資生堂の化粧品売り場へ行ってもらっていた。そのうち、以前の勤務先で定期購読するようにした。化粧とかにはほとんど興味がないのに、モードの動きみたいなのが面白かった。流行の映画や演劇なども小さく載っていた。
 あるときマチスの絵が切手くらいの大きさで何枚か紹介されていたことがあった。ニューヨークでマチスの大回顧展があったときだとすれば1992年になる。切手ほどの小さな絵は金魚を描いた有名な作品だ。このとき初めてマチスをすばらしいと思った。『花椿』のおかげだった。
 昨年だったか突然『花椿』が休刊になり、以後ネットに移ったのだった。あきらめていたら半年ばかり前、月刊だった『花椿』が季刊になって戻ってきた。銀座の資生堂ギャラリーに行くと無料で手に入った。季刊になって薄っぺらだが文庫サイズの詩集が付録につくようになった。
 先日資生堂ギャラリーへ行って『花椿』の夏号をもらってきた。詩集の代りに「URBAN SURVIVAL BOOK」という小冊子が付録に付いていた。そこに11の項目が立てられ、イラストと簡単な解説がついていた。
 「歩く」では交通機関はないと考えて、歩ける範囲に行くときは自分で歩くとある。
 「見る聞く嗅ぐ味わう」では、電灯をつけず、電気製品は使わず、一日暮らしてみようとある。
 「水を確保する」では、自分が歩き回れる範囲に何があるか知っておきたいとある。家の周囲を探検して、井戸の場所を確認するなどと。
 「安全な場所」では、シュラフ(寝袋)で寝てみようとか、鍋で米を炊いてみようと提案している。
 「裁縫」の項で、裁縫道具を揃え、積極的に継ぎはぎしようとある。「廉価で量販される衣類を買い替えるのではなく、気に入ったよいものを繕って着続ける。本当はそれが豊かで格好いいことである」とあり、これにはまってしまった。そのイラストを下に引用する。ミシンの使い方を覚えたいと思った。

 その他刃物の研ぎ方、アジの下ろし方、野草の食べ方、「生き物」の項では、アメリカザリガニミシシッピアカミミガメヒキガエルやかたつむりの簡単な料理法が載っている。その他野生を感じる本が紹介されている。
 いや、どこかでミシンを手に入れて洋裁を習ってみようか。